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link 飛行中年 飛行中年 (2024/5/20 21:18:27)

feed どんな形の飛行機でも飛ぶんです! その2 (2016/5/26 22:17:38)
さてシリーズ2話目は「飛行機の自立安定性」についてお話し致します。

自立安定性とは、本来あるべき正しい飛行姿勢に飛行機自身が勝手に戻ろうとする性質をいいます。

空を飛ぶ飛行機に限らず、人が利用するほとんどの乗り物にはこの「自立安定性」が持たされています。

自動車、バイク、自転車、船…。多くのものが自立安定性を持っています。

それでは、飛行機の場合の自立安定性ってどんなものか…。

それを理解するために、まず下図をご覧ください。





この図でお分かりのように、飛行機にはピッチ、ロール、ヨーの3軸の動きがあります。

飛行機における自立安定性って、このピッチ、ロール、ヨーの3軸がそれぞれもとの安定した水平飛行に戻ろうとする動きのことを言います。

で、これらはそれぞれ独立して水平飛行に戻ろうとする「仕掛け」が持たされているため、飛行機はたとえ操縦者が何もしなくても安定して飛んでくれるのです。

その仕掛けとはどんなものか?

まずはロールからご説明します。


ロールの動きの自立安定性については、上反角、そして、後退角がこの役目を持たせてくれています。

上反角とは翼が上向きに反っているものを言いますが、これがあるおかげで、飛行機が傾いた結果偏滑りに入り、下側の翼の湯力が増え上側の翼の揚力が減る結果となり、元の水平飛行

に戻ろうとします。



後退角は翼が後ろに傾いたものを言いますが、この後退角も上反角とまったく同じように、飛行機が傾き偏滑りに入っても下側の翼の揚力が増え上側の翼の揚力が減るために、元の水平飛行に戻ろうとします。

通常の飛行機は、このどちらか、あるいは両方が翼に与えられているためにロールの自立安定性を持つことができます。






さて、お次はヨーの自立安定性です。

これは今更お話しするまでもなく、垂直尾翼があるために飛行機は常に進行方向を向こうとします。

風切り羽をもつ矢がきれいに前に向かって飛ぶようなものですね!

しかし、実はもう一つヨーの安定を保つ方法があります。

それは、重心位置より後ろの抵抗を大きくしている場合です。



写真はステルス爆撃機のB2ですが、ステルス性を高めるため、垂直尾翼を取る手段として重心位置より後ろの抵抗が大きくなるように設計し、ヨーの安定を維持しています。

実はハンググライダーもこれとまったく同じ理屈でヨーの安定を保っているんです!

さて、ここで面白い飛行機をご紹介します。

それはⅩ-15という極超音速実験機です。



この飛行機、B-52という爆撃機を改造したものに吊り下げられ、目いっぱい高度を上げたところで離脱。

あとは自身の持つロケットエンジンで数分間だけの極超音速飛行をするもので、だいたいマッハ6程度のスピードで飛ぶそうです。

この飛行機、機首部分に発生する衝撃波が翼に当たると翼に大きな負荷がかかるため、目いっぱい翼の位置を後ろにしています。

そうなると、重心位置より前の胴体の側面積が大きくなるためヨーの安定が悪くなってしまうんです。

そのため、目いっぱい垂直尾翼の面積を大きくしていますが、B-52に吊り下げられる関係で上には垂直尾翼が伸ばせず、下にも垂直尾翼を取り付けましたがそれでも面積不足…。

考えたあげくとった手段がクサビ形の断面の垂直尾翼をつけることでした

こうすることで重心位置より後ろの抵抗が増えるため、ヨーの安定が確保することができました。

凧のシッポと同じ理屈ですね!


残りの自立安定性ピッチについては次回ご説明いたします!





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