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feed どんな形の飛行機でも飛ぶんです!その4 (2016/7/28 9:57:53)
飛行機って、要は大事なところが押さえられていれば、どんな形の飛行機でも飛ぶようにできます。

つまり、奇想天外な飛行機もデザインとして考えていくと、将来的に面白い飛行機が作れる可能性があるのです。

このブログの連載は、そのような可能性を探っていく目的で書いているのです。

今後、どんどん奇想天外な形の飛行機をご紹介していく予定ですが…。

まずその前に、今まで一般的に用いられてきた飛行機の形について、それぞれどんな特性を持っているのかについてご説明いたします!



まずは尾翼が後ろにある通常の飛行機。




一番よく見る形の飛行機…。

なぜこの形が良く見かけられるのかというと…。

安全性が高いからなんです。

それはなぜかというと…。

通常型のこの飛行機の場合、まず、重心位置を合わせるため、重いエンジンを前に置きます。

これが、安定を良くしているんです。

金づちを水に沈めると、頭を下にして沈みますよね!

これと同じで、重いものが前にあると、乗り物って安定して前を向く性質があるんです。

更に…。

通常型では尾翼が後ろにありますよね!

このような安定板が後ろにあると、矢がまっすぐ飛ぶように頭を前に向けて飛びやすくなるんです。

そのため、通常型の飛行機は安定して飛びやすいんです!

これが、通常型が一番多く見かける理由なんです。

しかし…。

通常型にも欠点はあります。

その一つとして効率の悪さがあります。

通常型では、普通ピッチの安定を取るために、上図のように風圧中心位置よりも、若干前に重心位置を配し、そのままでは頭が下に向くので、それを水平尾翼のマイナス揚力で釣り合わせて飛行します。

つまり、水平尾翼のマイナス揚力分、余計に主翼で揚力を作る必要があり、効率が悪いのです!

更に…。

プロペラが前に位置するため、プロペラが押した「風」が機体に当たるため、プロペラの推力が効率よく発生できないのです。

安全性の高い通常型の飛行機ではありますが、そんな欠点も持っています。




お次は先尾翼…。



この形の飛行機は、前にある水平尾翼も揚力が発生するため、通常型よりも主翼の面積を小さくでき、効率が良くなります。

が…。

水平尾翼などが重心位置よりも前に位置する、そして、重いエンジンが後ろに位置することにより、方向安定が悪くなるのです。

その他、重心位置の場所の関係で、通常型よりも胴体の強度が必要になります。

ただ、この先尾翼形式では構造体としてのバランスがよく、滑空機などでこの先尾翼機を作ると構造体としての重心位置と風圧中心位置がほぼ一致します。

分かりにくい表現をしてしまいましたが、要は何が言いたいかというと…。

ハンググライダーなどでこの形式を用いると、機体の重心位置に人間が乗ることができるので、担いで走ることが容易になるのです。

その他にも、低速時に前の水平尾翼が、主翼よりも先に失速するため、自然に機首を下げてくれる失速特性が良くなる利点もあります。



最後に無尾機…。



この形の飛行機は、基本的には主翼だけなので、無駄な構造物を少なくでき、飛行機を軽く作れる利点があります。

そのため上昇力などが向上するため、昔、ドイツでは高高度を飛ぶB-29を迎撃する目的でMe-163という飛行機などに採用されています。



ただ…。

上図のように、どうしても尾翼の働きを担う翼端部分と重心位置との距離が稼げないため、ピッチ安定、方向安定が悪くなってしまうんです。

この欠点を補おうと、翼の後退角を大きくすると、翼の効率が落ちる上に、翼に大きなねじりの力もかかり、それに耐えられるように作ると重くなってしまい、無尾翼機の軽く作れるという長所が失われてしまうんです…。

しかし…。

この無尾翼機も先の先尾翼機と同じく、構造体としてのバランスが良いため、やはり、ハンググライダーなどで用いると、担いで走ることが容易になります。



一般的に知られている、通常型、先尾翼機、無尾翼機には上記のような特性があります。


ここでちょっと雑談…。

コウノトリが赤ちゃんを運ぶ時によく書かれている下の様な絵…。



実は、この飛び方、航空力学的な見地でいうと、ものすごく効率が悪く、飛ぶのにエネルギーを要してしまいます!

理由は上記の通常型の飛行機の説明でもある通り、くちばしで重い赤ちゃんを持ってしまうと、その分水平尾翼、つまりシッポでマイナス揚力を作って釣り合いをとらないといけないため、余計に揚力が必要になってしまうんです…。
そのため、猛禽類などが大きな獲物を捕らえた時を思い出してみてもわかりますが、足で重いものを持とうとします。

この方が飛ぶことに要するエネルギーが少なくて済むんです。

つまり…。

コウノトリが赤ちゃんを運ぶ時も、足ではさんで飛んだほうが飛びやすくなるのですが…。

それでは赤ちゃんがまるで獲物…。夢もロマンもないことになってしまいますね!

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