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2015 IGC meeting を終えて
Team Maru-WGC
(2024/12/25 18:57:23)
2015 IGC meeting を終えて (2015/3/29 21:26:38)
ローザンヌにて二日間の IGC
meeting
が終わりました。チューリッヒに向かう電車の中でこのメモをまとめはじめましたが書き終わらず、半分は帰国後に書いています。それくらいに盛りだくさんでした。
今回は 28カ国の参加、4カ国は proxy(代理投票)を設定してました。(出席できない国は代理で他国に議決権を渡すことができます。たとえばアイルランドはイギリスに代理投票を依頼していました)
決定事項のサマリーは こちら (IGC Plenary summary of decisions) に記載されております。
(3ヶ月くらいで詳細な議事録がリリースされます)
FAI のニュースリリースにも こんな感じ でまとめられています。
会議開催中も Twitter の FAI Gliding を通じて実況中継されていました。
以下に決定事項と私の感じたところをまとめていきます。
FAI と IGC の方向性
過去数年参加されていた甲賀さんは下記の印象を持たれたそうです。
・ FAI の方向性 (FAI vision & mission) が明確にされたのは初めて
FAI - the global organisation for the promotion of air sports and recreational flying
A world where safe participation in air sports and recreational flying is available to everyone at reasonable cost
・FAI の方向性に沿った形で IGC が動くようになったように見える
IGC は FAI の下部組織ですので、会社組織で考えると親会社の方針に子会社が従うのは当然のことのように思えますが、従来は FAI と IGC はそれぞれの方向性で動いていることが多かったそうです。
このように FAI と IGC の方向性がアラインするようになってきたのは昨年 FAI の General Secretary(事務方代表) に Susanne Schödel 氏 が選出されたことも一つの要因かもしれません。Suzane 氏は女子グライダー世界チャンピオンに2回。一般の世界選手権にも出場しているドイツの女性です。FAI には8名のフルタイムスタッフがおり、気球、スカイジャンプの出身が多いといったことでした
FAI としては一般の認知度をあげることで、成長につながる、といった成功循環モデル(コンサルティング会社が作っていそうなモデルです)を提唱しており、それに基づいて認知度を高めることにフォーカスしているように見えました。やはり一部の趣味人を対象にした業界は廃れることは他のスポーツの事例をみても明らかで、FAI としても航空スポーツ全体の今後の危機感を持っているように見えました。
以下 Susanne 氏のプレゼンテーションからです。
IGC の方向性 SGP
そういったなかでグライダースポーツ(IGC) がどの方向に進むのかというと、やはりIGC も認知度を高める方向に動いており、その一つが Sailplane Grand Prix です。( グランプリレースの簡単な解説はこちら をご覧ください)Grand Prix レースを統括しているのが 1st VP の Brian Spreckley氏(イギリス)で、グライダーレースについてはこの業界での強い発言力があり、カリスマであることを感じました。そんな Brian 氏がSGP については1時間半の時間を割いて、SGP の現状を説明しました。これも今回初めてのことのようです。
SGP は2年ごとにシーズンが設定されていて、すでに5シーズンを終えました。各地で実施されるレースが予選となっており、予選の上位3名が最終戦に出場できる形になっています。2014-2015シーズンはシーズン6となっており、予選レース8戦のうちすでに6戦が行われていて、2015年春から夏の間に残り2戦の予選を行い、最終戦は2015年9月にイタリアの Varese で行われます。北イタリアの湖水地方に位置する風光明媚なところです。
従来はばらばらのインターフェース(大会毎に設置されたweb page)でユーザーに情報が提供されており、一つ一つのSGPレースのすごさは伝わってくるものの、正直今まではシリーズ戦の状況がイマイチ分かりづらいページでしたが、昨年から SGPレースのweb が作成され、統一されたインターフェースで情報が提供されるようになりました。
また、これも初めてらしいのですが、メディアに対してどのように情報を提供していくかとその結果についても説明がありました。
提供されているチャネルとその内訳は下記になります。
youtube 560
facebook 3200
twitter (faisgp) 300
世界選手権の Facebook サイトで 2500 いいね! くらいなので、3200 いいね! はグライダー以外のユーザーにも700 人くらいはアクセスできているのかもしれません。他、アクセス回数の履歴の紹介などもありました。(SGP のシリーズ戦の時はアクセス数が多くなるが、他の時はアクセス数が低い)このあたり、Team MARU の facebook を運営している経験からすれば、大会と大会の間の期間中にも定期的に情報提供をすることの必要性を感じました。webマーケティングの専門家の方から見れば改善点はもっとたくさん見えると思いますが、従来の趣味人(閉じた世界)への情報提供のための手段だったことから、認知度を上げるための活動に変わりつつあることは良いことと思いました。
何度かに渡り、 we need to improve media quality を繰り返していました。また、スターを作る必要がある、とも言っていました。(インタビューページや、パイロットの経歴ページなどを作ったりもしています)
最後に2枚の写真を並べて、誰もがグライダーの写真(1枚目)を見ると、格好良さにワクワクするのだが、地上の人たちの写真(2枚目)はおじさんたちの写真で、楽しそうではあるのだけど、これではメディアに受けない、といったことを言っていました。
昨年の Team MARU の活動でも、格好良さを訴えることはリーダーの重要なポイントになっており、モンベル様からチームウエアの提供を受けて、統一感のあるチームを演出したことの効果は思っていたよりも大きく、メディアに受ける形での演出の重要性を改めて理解しましたが、IGC もその方向に進みつつあることを理解しました。河川敷乞食と自虐的に自分たちを言うことの多い我々日本のグライダーパイロットも華やかさのある服装をすることからまず始めて見ませんか?
なお、 2016年の第7シリーズの日程も発表されました 。2016/1月に チリ で始まり、 スペイン 、ロシア、 イタリア 、フランス、 オーストリア 、 イギリス 、 アメリカ 、 ドイツ で行われ、最終戦は11月に 南アフリカ で行われるようで、楽しみですね。
World Air Game 2015
world air game に協力する話もありました。2015/12にドバイで world air game が行われますサッカーの世界選手権も誘致していますが、スカイスポーツの大会も行われます。 有名な Palm の横にスカイダイビング専用の飛行場 を海の上に作り、競技をするそうです。IGC としては World Air Game 大会に協力を打ち出しています。とはいえ、海の上、12月なのでサーマルもほとんど無し、5km 四方の制限された空域のみの利用らしく、クロスカントリーレースはできないし、曳航機も無いので、セルフランチ複座機で決められた規定高度、速度で飛んで早いものが勝ち、といったような、フィギュアスケートの規定演技とパイロンレースが組み合わされたような課目を考えているそうです。これも普通の人が発言したら反対意見がでそうなものですが、レジェンド Brian 氏の発言なので、皆さん協力の方向を示していました。
ルール改訂
ルール改訂は Year 1 proposal と Year 2 proposal に分かれます。改訂提案があって、いきなりルールに盛り込むのでは無く、まずは1年目に方向性を確認し(Year1) 2年目に実際にルールに組み込むことの是非(Year2)を決定します。
Year1 で受け入れられたからと言って、必ずしも Year2 で通るわけではないところがおもしろいところです。
たとえば 8.1.2 Start Gate closure 「スタートゲートクローズは通常日没」の追記について。元々は2013年のヨーロッパ選手権において、競技最終日に競技フライト + フェアウエルパーティ、閉会式(表彰)が行われるスケジュールになっていて、競技時間が短縮されたことからこの提案がなされています。
世界選手権のスケジュールを知るためには世界選手権での結果発表の流れを知る必要があります。競技結果は以下の流れで段階的に発表されます。
1. Preliminary Results(とりあえずの発表)
2. Unofficial Results(ペナルティを加味したもの)
3. Official Results(プロテストがあった場合その結果を加味した最終成績)
世界選手権においては採点についてのプロテスト(抗議)期間が設定されており、通常はプロテスト期間を加味すると競技最終日の翌日に最終結果が確定してから表彰を行うのが通常の世界選手権のスケジュールになります。
ですが、2013年のヨーロッパ選手権では通常と異なり、最終日に表彰も行うスケジュールが設定されていたため、競技時間を短く(タスクを短く)し、早めにフィニッシュさせるためにスタートゲートクローズ時間を早める、といったことがなされました。
現行ルールではこれは可能になりますが、スポーツとしてを考えると最終日なのでショートタスクにしてしまうのは競技性が損なわれるとして、スタートゲートクローズ時間を通常日没に(The start gate shall be closed at the end of legal daylight, or when all competitors are accounted for.) といった提案がなされました。
昨年はYear1 proposal で採択され、今年が Year2 proposal になり、このまま採択されるのだろうとみていると、昨年 should normaly の言葉をつけることが提案されたうえで可決されていたのですが、今年もshould normaly を付け加えずに提出してきたことで「場合によってはゲートクローズを早める必要があるときがあるため、Year 2 では否決されました。(フランスで開催された女子世界選手権ではツールドフランスのコースとスケジュールが重なってしまい、空域を早めにクローズする必要があり、このようなケースが使われたことがあるそうです)
競技会関連の改訂
競技会関連 Year 1 Proposalで通過した提案
バッジ、記録飛行関連の改訂
日本の皆さんに関連が深いものとしては「銀賞距離飛行」のルールの改訂があります。従来は50km 以上の直線レグがあれば良かったので、極端に言えば 25km 西へ行って、25km 東へ行って、といった形でも 50km の距離飛行となりましたが、今後は離陸した滑走路から 50km 以上離れることが距離飛行のルールとなります。改訂予定のSC3 をよく読んでもそのようには書かれていないのですが、趣旨としては1st クロスカントリーでホームの滑空場が見えなくなるところに行く、のが趣旨、とのことです。また、従来は LoH(Loss of Height 損失高度)の計算は着陸するまでの全レグで行われましたが、今後は 50km 対象のレグのみが LoH の計算対象となります。
日本の実情を考えると難しいところはありますが、世界の方向性がそうであれば、世界の流れに合わせる必要性を感じました。
他の改訂点
バッジ、記録飛行関連で否決された提案
2018年世界選手権大会開催地決定
今回はスタンダード、クラブ、20m クラス開催地に ポーランドの Ostrow 、15m, 18m, open クラスの開催地に チェコの Pribam が立候補していました。それぞれ一カ所しか立候補しておりませんでしたので、どちらが、というのでは無く信任投票になっています。
プレゼンテーション前にお土産の配布(メモ帳、ボールペン、USBメモリ、ポストカード)、プレゼンテーション、翌日に信任投票の流れです。
ポーランド のプレゼンテーションにはなんと Team MARU パーティでの写真が "Friendly" のなかで使われていました。
チェコについては、滑走路の長さはアスファルトで 2000m あるものの、滑走路の幅が狭いことから、着陸機がかぶったときの安全についてのコメントがあり、機対数を減らすことの話し合いが凭れました。
結果、18m, open, 20m クラスをチェコで、スタンダード、クラブ、15mクラスをポーランドでの開催と変更になりました。(20m クラスは各国1機のため機数が20機程度になります)
役員改選
役員は下記の流れで選出されます。
1. 各国が紙で推薦者を提出
2. 提出された推薦者を集計して、本人に受諾の意思確認後、電子投票機を使って電子投票、その場で集計、決定
President, 1st Vice President については改選無く Eric Mozer (US) , Brian Spreckely(UK) の継続になりました。Eric Mozer は 1978 - 1987 のUS代表選手 、英語も分かりやすく、会議の仕切りも非常に適切です。Brian は1987年のベナラ大会の世界チャンピオン、前述の通りのレジェンドです。
VP は他イタリア、チリ、オーストラリア、ドイツが継続、新任でギリシャから入りました。
Secretary は11年間担当してた Peter Ericksen が退任となりました。
会計報告
IGC の会計報告もありました。過去の会計報告も議事録にはあるのですが、いったい収入がどこから来ているのかがイマイチ分かりません。会計用語の英語にキャッチアップしないと質問するにしても質問できないので、来年に向けて要勉強です。
委員会報告
country development レポートに期待したのですが、まだ集計途中でした。
他の委員会はそれほど大きな報告はありませんでしたが、結構な年齢(70代~)の方が新しいテクノロジーにキャッチアップされて報告をしているのは驚きでした。
2014年大会開催報告、2015, 2016 年大会準備状況進捗報告
世界選手権、ヨーロッパ選手権については例年ですとスチュワードのレポートが掲載されているのですが、今年はレポートの掲載がありませんでした。私が参加したポーランドレシュノでの大会についてはポーランドの代表がオペレーションがまずかったことについての謝罪がありました。私の印象としては謝罪するほど悪いことは無かったと思うのですが、せっかくの世界選手権なのに賑わいが全くない(開会式、閉会式を除くとイベントが無く、おそらくスポンサーがとれなかったためと思いますが賑わいが欠けていた点はせっかくの世界選手権と要ったイベントを活用する点でもったいない印象がありました)
2015年大会については曳航料が高い(ハンガリー大会は 65 euro) なことが責められていて、会議期間中に60ユーロへの値下げが発表されていました。イタリア大会は 70ユーロなのですが、これは税金の関係で~的なことを言っていました
表彰
IGC の表彰は FAI by Law の中で下記3つが定められています。( 航空協会ページに翻訳あり 。恥ずかしながら初めて知りました。)
(以下抜粋)
7.4.1. リリエンタール・メダル
7.4.1.1. 歴史:本メダルはグライダー先駆者として有名なオットー・リリエンタールにちなみ、1938年にFAIにより制定された。
7.4.1.2. 資格:グライディングにおいて特に優れたパフォーマンスを行った、あるいはグライディングに対して顕著な貢献を行った現役のグライダーパイロットに対して授与される。
7.4.1.2.1. -前年中に国際的な記録を樹立した者、あるいは
7.4.1.2.2. -先駆的な飛行(グライダー及び/あるいはグライディング技術に関し、新しい可
能性を切り開いた飛行)を行った者、あるいは
7.4.1.2.3. -グライディング・スポーツに関して、長期間に亘り顕著な貢献を行った者
7.4.2. ペラージャ・マジョースカ・グライディング・メダル
7.4.2.1. 歴史:本メダルはペラージャ・マジョースカ夫人を偲んで、ポーランド航空クラブからの提案に基づき、1989年にFAIにより制定された。ペラージャ・マジョースカ夫人はポーランドの著名なグライダーパイロットであり、1960年にリリエンタール・メダルを授与され、17のグライダー世界記録保持者であったが、1988年、航空事故により死亡した。メダルはポーランド航空クラブからFAIに提供される。
7.4.2.2. 資格:本メダルは、下記の女性グライダーパイロットに毎年授与される。
7.4.2.2.1. -前年中に、グライダーで特に顕著なパフォーマンスを行った、あるいは
7.4.2.2.2. -長期間に亘り、グライディングに顕著な貢献があった
7.4.3. ピラート・ゲーリガー・ディプロマ
7.4.3.1. 歴史:本賞は、国際グライディング委員会初代会長ピラート・ゲーリガーを偲んで 2000年にFAIにより制定された
7.4.3.2. 資格:国際的なグライディングへの顕著な功績に対し、毎年授与される。国際航空連盟 定款付則(BY-LAWS)2015年版 19
ピラート・ゲーリガー・ディプロマ はスペインのAntonio Martinez-Moneo Rico 氏になりました。
反省事項
「状況のキャッチアップ」と「顔を売る」ことを目標に行きましたが、「顔を売る」ことについては正直50点くらいです。。時差の関係で 18:00 (日本の2:00) を過ぎると眠くなり始め、20:00 (4:00) はもう起きていられないくらいです。初日のディナーは23:00まで続いたのですが、最後の一時間は起きていられませんでした。。二日間で前日入りですとまったく時差調整ができず、昼間のセッションは大丈夫ですが、、、。
英語は議論になってしまうとやはりついていけないので、まだまだ勉強が必要です。(IT の簡単な言い回しとはちょっと違いますね。。)
議論に参加するためにもルールの背景の考え方の理解が必要と思いました。深い理解が足りないため、「まあ、良いんじゃ無い」的に賛同してしまっている点もあったのですが、深い理解が無いと議論に参加できません。特に以前からの話の流れのキャッチアップが必要です。
また、提案時は特に考え方のコンセンサスを得られるような議論の持って行き方が必要と思いました。
来年の開催は 2016/2/26-27 が予定されています。来年に向けて、まずは知り合いになったDelegate とは facebook でつながりを保ち、議事録を再度復習して、世界の潮流から日本の滑空界に広めていくべきことを考えていきたいと思っています。
当面の目標を下記に定めました。
RSSセンター
メイン | 簡易ヘッドライン |
2015 IGC meeting を終えて (2015/3/29 21:26:38)
Hotel Movenpick での会議の様子 |
今回は 28カ国の参加、4カ国は proxy(代理投票)を設定してました。(出席できない国は代理で他国に議決権を渡すことができます。たとえばアイルランドはイギリスに代理投票を依頼していました)
決定事項のサマリーは こちら (IGC Plenary summary of decisions) に記載されております。
(3ヶ月くらいで詳細な議事録がリリースされます)
FAI のニュースリリースにも こんな感じ でまとめられています。
会議開催中も Twitter の FAI Gliding を通じて実況中継されていました。
以下に決定事項と私の感じたところをまとめていきます。
FAI と IGC の方向性
過去数年参加されていた甲賀さんは下記の印象を持たれたそうです。
・ FAI の方向性 (FAI vision & mission) が明確にされたのは初めて
FAI - the global organisation for the promotion of air sports and recreational flying
A world where safe participation in air sports and recreational flying is available to everyone at reasonable cost
・FAI の方向性に沿った形で IGC が動くようになったように見える
IGC は FAI の下部組織ですので、会社組織で考えると親会社の方針に子会社が従うのは当然のことのように思えますが、従来は FAI と IGC はそれぞれの方向性で動いていることが多かったそうです。
このように FAI と IGC の方向性がアラインするようになってきたのは昨年 FAI の General Secretary(事務方代表) に Susanne Schödel 氏 が選出されたことも一つの要因かもしれません。Suzane 氏は女子グライダー世界チャンピオンに2回。一般の世界選手権にも出場しているドイツの女性です。FAI には8名のフルタイムスタッフがおり、気球、スカイジャンプの出身が多いといったことでした
FAI としては一般の認知度をあげることで、成長につながる、といった成功循環モデル(コンサルティング会社が作っていそうなモデルです)を提唱しており、それに基づいて認知度を高めることにフォーカスしているように見えました。やはり一部の趣味人を対象にした業界は廃れることは他のスポーツの事例をみても明らかで、FAI としても航空スポーツ全体の今後の危機感を持っているように見えました。
以下 Susanne 氏のプレゼンテーションからです。
High Profile Event(注目を浴びるイベント) -> Spectator Interest(観客の興味) -> Media Coverage(メディアの注目) -> スポンサーシップ の循環を回す |
一般の興味をあげることにフォーカス 1. ライブトラッキング 2. スマホアプリ 3. キャラクター商品販売 4. VIP 向けパッケージ 5. Young artist Contest 6. みえないな。。 |
注目を浴びるイベントのために 1. WAG2015 Dubai の成功 2. キーイベント(SGP) のサポート 3. FAIカテゴリー1イベントのプロフェッショナル化 4. 航空コミュニティ外(スポーツ団体、市、コンベンション)へのプレゼンス |
IGC の方向性 SGP
そういったなかでグライダースポーツ(IGC) がどの方向に進むのかというと、やはりIGC も認知度を高める方向に動いており、その一つが Sailplane Grand Prix です。( グランプリレースの簡単な解説はこちら をご覧ください)Grand Prix レースを統括しているのが 1st VP の Brian Spreckley氏(イギリス)で、グライダーレースについてはこの業界での強い発言力があり、カリスマであることを感じました。そんな Brian 氏がSGP については1時間半の時間を割いて、SGP の現状を説明しました。これも今回初めてのことのようです。
SGP は2年ごとにシーズンが設定されていて、すでに5シーズンを終えました。各地で実施されるレースが予選となっており、予選の上位3名が最終戦に出場できる形になっています。2014-2015シーズンはシーズン6となっており、予選レース8戦のうちすでに6戦が行われていて、2015年春から夏の間に残り2戦の予選を行い、最終戦は2015年9月にイタリアの Varese で行われます。北イタリアの湖水地方に位置する風光明媚なところです。
従来はばらばらのインターフェース(大会毎に設置されたweb page)でユーザーに情報が提供されており、一つ一つのSGPレースのすごさは伝わってくるものの、正直今まではシリーズ戦の状況がイマイチ分かりづらいページでしたが、昨年から SGPレースのweb が作成され、統一されたインターフェースで情報が提供されるようになりました。
また、これも初めてらしいのですが、メディアに対してどのように情報を提供していくかとその結果についても説明がありました。
提供されているチャネルとその内訳は下記になります。
youtube 560
facebook 3200
twitter (faisgp) 300
世界選手権の Facebook サイトで 2500 いいね! くらいなので、3200 いいね! はグライダー以外のユーザーにも700 人くらいはアクセスできているのかもしれません。他、アクセス回数の履歴の紹介などもありました。(SGP のシリーズ戦の時はアクセス数が多くなるが、他の時はアクセス数が低い)このあたり、Team MARU の facebook を運営している経験からすれば、大会と大会の間の期間中にも定期的に情報提供をすることの必要性を感じました。webマーケティングの専門家の方から見れば改善点はもっとたくさん見えると思いますが、従来の趣味人(閉じた世界)への情報提供のための手段だったことから、認知度を上げるための活動に変わりつつあることは良いことと思いました。
各インターネットメディアチャネルの購読数 twitter は思ったより高くない |
Youtube で 11万 view |
Youtube ページ view の変化。SGP が行われる際は高くなるが大会の間は高くない |
何度かに渡り、 we need to improve media quality を繰り返していました。また、スターを作る必要がある、とも言っていました。(インタビューページや、パイロットの経歴ページなどを作ったりもしています)
最後に2枚の写真を並べて、誰もがグライダーの写真(1枚目)を見ると、格好良さにワクワクするのだが、地上の人たちの写真(2枚目)はおじさんたちの写真で、楽しそうではあるのだけど、これではメディアに受けない、といったことを言っていました。
昨年の Team MARU の活動でも、格好良さを訴えることはリーダーの重要なポイントになっており、モンベル様からチームウエアの提供を受けて、統一感のあるチームを演出したことの効果は思っていたよりも大きく、メディアに受ける形での演出の重要性を改めて理解しましたが、IGC もその方向に進みつつあることを理解しました。河川敷乞食と自虐的に自分たちを言うことの多い我々日本のグライダーパイロットも華やかさのある服装をすることからまず始めて見ませんか?
We need to improve the quality of the media output 見せ方を気にしている |
なお、 2016年の第7シリーズの日程も発表されました 。2016/1月に チリ で始まり、 スペイン 、ロシア、 イタリア 、フランス、 オーストリア 、 イギリス 、 アメリカ 、 ドイツ で行われ、最終戦は11月に 南アフリカ で行われるようで、楽しみですね。
World Air Game 2015
world air game に協力する話もありました。2015/12にドバイで world air game が行われますサッカーの世界選手権も誘致していますが、スカイスポーツの大会も行われます。 有名な Palm の横にスカイダイビング専用の飛行場 を海の上に作り、競技をするそうです。IGC としては World Air Game 大会に協力を打ち出しています。とはいえ、海の上、12月なのでサーマルもほとんど無し、5km 四方の制限された空域のみの利用らしく、クロスカントリーレースはできないし、曳航機も無いので、セルフランチ複座機で決められた規定高度、速度で飛んで早いものが勝ち、といったような、フィギュアスケートの規定演技とパイロンレースが組み合わされたような課目を考えているそうです。これも普通の人が発言したら反対意見がでそうなものですが、レジェンド Brian 氏の発言なので、皆さん協力の方向を示していました。
ルール改訂
ルール改訂は Year 1 proposal と Year 2 proposal に分かれます。改訂提案があって、いきなりルールに盛り込むのでは無く、まずは1年目に方向性を確認し(Year1) 2年目に実際にルールに組み込むことの是非(Year2)を決定します。
Year1 で受け入れられたからと言って、必ずしも Year2 で通るわけではないところがおもしろいところです。
たとえば 8.1.2 Start Gate closure 「スタートゲートクローズは通常日没」の追記について。元々は2013年のヨーロッパ選手権において、競技最終日に競技フライト + フェアウエルパーティ、閉会式(表彰)が行われるスケジュールになっていて、競技時間が短縮されたことからこの提案がなされています。
世界選手権のスケジュールを知るためには世界選手権での結果発表の流れを知る必要があります。競技結果は以下の流れで段階的に発表されます。
1. Preliminary Results(とりあえずの発表)
2. Unofficial Results(ペナルティを加味したもの)
3. Official Results(プロテストがあった場合その結果を加味した最終成績)
世界選手権においては採点についてのプロテスト(抗議)期間が設定されており、通常はプロテスト期間を加味すると競技最終日の翌日に最終結果が確定してから表彰を行うのが通常の世界選手権のスケジュールになります。
ですが、2013年のヨーロッパ選手権では通常と異なり、最終日に表彰も行うスケジュールが設定されていたため、競技時間を短く(タスクを短く)し、早めにフィニッシュさせるためにスタートゲートクローズ時間を早める、といったことがなされました。
現行ルールではこれは可能になりますが、スポーツとしてを考えると最終日なのでショートタスクにしてしまうのは競技性が損なわれるとして、スタートゲートクローズ時間を通常日没に(The start gate shall be closed at the end of legal daylight, or when all competitors are accounted for.) といった提案がなされました。
昨年はYear1 proposal で採択され、今年が Year2 proposal になり、このまま採択されるのだろうとみていると、昨年 should normaly の言葉をつけることが提案されたうえで可決されていたのですが、今年もshould normaly を付け加えずに提出してきたことで「場合によってはゲートクローズを早める必要があるときがあるため、Year 2 では否決されました。(フランスで開催された女子世界選手権ではツールドフランスのコースとスケジュールが重なってしまい、空域を早めにクローズする必要があり、このようなケースが使われたことがあるそうです)
競技会関連の改訂
競技会関連 Year 1 Proposalで通過した提案
- 20m クラスの最大離陸重量制限の増加
- 現行の 750kg を 800kg にする提案がされました。当初 DuoDiscusX は 750kg が最大離陸重量でしたのでこの重量になっていたと思われますが、ArcusT/M で 800kg, AS32Mi では 850kg と機体重量が増えてきており、エンジンを下ろさないと750kg の範囲内に入らないケースが出てきたため、このような提案が出てきました。ですが、滑空機は JAR22 で最大離陸重量 750kg までとなっているからピュアグライダーには不利になる云々、といったあたりのやりとりがあり、見直しはする方向だが、数字の具体的な見直しは来年に持ち越されました。
- 距離点のみの日(タスクフィニッシュ者がいない場合)の得点を減じる措置
- こちらも 2014年の Leszno での世界選手権で、あったケースです。
- チームカップの計算式の見直し
- 現行計算式だとチームの総力を正しく計算する形式になっていないため
- コンテストID の読みやすさの見直し
- 新しいスタート方式の採用
- Year 2
- Year 1
- 13.5m クラスのタスク成立の最小距離を 100km -> 60km に短縮
- これは 2012年のアルゼンチンでの世界選手権 world クラスにおいて、気象条件が悪く、ワールドクラスの機体で 100km 以上の飛行ができない日があり、タスク成立日が減ってしまったことから昨年提案がありましたが、13.5m クラスは L/D 40 程度あるからということで否決になりました。
- スタートゲートオープン後のタスクキャンセル
- 2014年のレシュノの世界選手権でゲートオープン後にサンダーストームによりタスクエリア全体がタスク継続に厳しいコンディションになりました。オーガナイザーもキャンセルするかを悩んでいたそうですが、ルールにキャンセルについてが明記されていなかったため、結局キャンセルできなかったようです。この反省を踏まえて、スタートゲートオープン後にキャンセルできる条項を盛り込む提案でした。
- 提案の仕方として、Contest Director (競技責任者)に加えて、Jury と Chief Steward の3名がキャンセルの権限を持つ、といった提案になっていたので、「Jury と Contest Director がキャンセルを決めるのはおかしい」みたいな議論になってしまい、結局否決されることに。
- 安全面からキャンセルできることは盛り込んでも良かったのではと思いました。
バッジ、記録飛行関連の改訂
日本の皆さんに関連が深いものとしては「銀賞距離飛行」のルールの改訂があります。従来は50km 以上の直線レグがあれば良かったので、極端に言えば 25km 西へ行って、25km 東へ行って、といった形でも 50km の距離飛行となりましたが、今後は離陸した滑走路から 50km 以上離れることが距離飛行のルールとなります。改訂予定のSC3 をよく読んでもそのようには書かれていないのですが、趣旨としては1st クロスカントリーでホームの滑空場が見えなくなるところに行く、のが趣旨、とのことです。また、従来は LoH(Loss of Height 損失高度)の計算は着陸するまでの全レグで行われましたが、今後は 50km 対象のレグのみが LoH の計算対象となります。
日本の実情を考えると難しいところはありますが、世界の方向性がそうであれば、世界の流れに合わせる必要性を感じました。
他の改訂点
バッジ、記録飛行関連で否決された提案
- バッジ、記録飛行での旋回点にシリンダー OZ(Observation zone) を無くすこと
- 3旋回点タスクの名称変更
- PR(Position Recorder) をダイアモンドゴール記章での利用
- 一つの飛行における複数の記章飛行の宣言
- GPS高度の制限
2018年世界選手権大会開催地決定
今回はスタンダード、クラブ、20m クラス開催地に ポーランドの Ostrow 、15m, 18m, open クラスの開催地に チェコの Pribam が立候補していました。それぞれ一カ所しか立候補しておりませんでしたので、どちらが、というのでは無く信任投票になっています。
プレゼンテーション前にお土産の配布(メモ帳、ボールペン、USBメモリ、ポストカード)、プレゼンテーション、翌日に信任投票の流れです。
ポーランド のプレゼンテーションにはなんと Team MARU パーティでの写真が "Friendly" のなかで使われていました。
チェコについては、滑走路の長さはアスファルトで 2000m あるものの、滑走路の幅が狭いことから、着陸機がかぶったときの安全についてのコメントがあり、機対数を減らすことの話し合いが凭れました。
結果、18m, open, 20m クラスをチェコで、スタンダード、クラブ、15mクラスをポーランドでの開催と変更になりました。(20m クラスは各国1機のため機数が20機程度になります)
役員改選
役員は下記の流れで選出されます。
1. 各国が紙で推薦者を提出
2. 提出された推薦者を集計して、本人に受諾の意思確認後、電子投票機を使って電子投票、その場で集計、決定
President, 1st Vice President については改選無く Eric Mozer (US) , Brian Spreckely(UK) の継続になりました。Eric Mozer は 1978 - 1987 のUS代表選手 、英語も分かりやすく、会議の仕切りも非常に適切です。Brian は1987年のベナラ大会の世界チャンピオン、前述の通りのレジェンドです。
VP は他イタリア、チリ、オーストラリア、ドイツが継続、新任でギリシャから入りました。
Secretary は11年間担当してた Peter Ericksen が退任となりました。
会計報告
IGC の会計報告もありました。過去の会計報告も議事録にはあるのですが、いったい収入がどこから来ているのかがイマイチ分かりません。会計用語の英語にキャッチアップしないと質問するにしても質問できないので、来年に向けて要勉強です。
委員会報告
country development レポートに期待したのですが、まだ集計途中でした。
他の委員会はそれほど大きな報告はありませんでしたが、結構な年齢(70代~)の方が新しいテクノロジーにキャッチアップされて報告をしているのは驚きでした。
2014年大会開催報告、2015, 2016 年大会準備状況進捗報告
世界選手権、ヨーロッパ選手権については例年ですとスチュワードのレポートが掲載されているのですが、今年はレポートの掲載がありませんでした。私が参加したポーランドレシュノでの大会についてはポーランドの代表がオペレーションがまずかったことについての謝罪がありました。私の印象としては謝罪するほど悪いことは無かったと思うのですが、せっかくの世界選手権なのに賑わいが全くない(開会式、閉会式を除くとイベントが無く、おそらくスポンサーがとれなかったためと思いますが賑わいが欠けていた点はせっかくの世界選手権と要ったイベントを活用する点でもったいない印象がありました)
2015年大会については曳航料が高い(ハンガリー大会は 65 euro) なことが責められていて、会議期間中に60ユーロへの値下げが発表されていました。イタリア大会は 70ユーロなのですが、これは税金の関係で~的なことを言っていました
表彰
IGC の表彰は FAI by Law の中で下記3つが定められています。( 航空協会ページに翻訳あり 。恥ずかしながら初めて知りました。)
(以下抜粋)
7.4.1. リリエンタール・メダル
7.4.1.1. 歴史:本メダルはグライダー先駆者として有名なオットー・リリエンタールにちなみ、1938年にFAIにより制定された。
7.4.1.2. 資格:グライディングにおいて特に優れたパフォーマンスを行った、あるいはグライディングに対して顕著な貢献を行った現役のグライダーパイロットに対して授与される。
7.4.1.2.1. -前年中に国際的な記録を樹立した者、あるいは
7.4.1.2.2. -先駆的な飛行(グライダー及び/あるいはグライディング技術に関し、新しい可
能性を切り開いた飛行)を行った者、あるいは
7.4.1.2.3. -グライディング・スポーツに関して、長期間に亘り顕著な貢献を行った者
7.4.2. ペラージャ・マジョースカ・グライディング・メダル
7.4.2.1. 歴史:本メダルはペラージャ・マジョースカ夫人を偲んで、ポーランド航空クラブからの提案に基づき、1989年にFAIにより制定された。ペラージャ・マジョースカ夫人はポーランドの著名なグライダーパイロットであり、1960年にリリエンタール・メダルを授与され、17のグライダー世界記録保持者であったが、1988年、航空事故により死亡した。メダルはポーランド航空クラブからFAIに提供される。
7.4.2.2. 資格:本メダルは、下記の女性グライダーパイロットに毎年授与される。
7.4.2.2.1. -前年中に、グライダーで特に顕著なパフォーマンスを行った、あるいは
7.4.2.2.2. -長期間に亘り、グライディングに顕著な貢献があった
7.4.3. ピラート・ゲーリガー・ディプロマ
7.4.3.1. 歴史:本賞は、国際グライディング委員会初代会長ピラート・ゲーリガーを偲んで 2000年にFAIにより制定された
7.4.3.2. 資格:国際的なグライディングへの顕著な功績に対し、毎年授与される。国際航空連盟 定款付則(BY-LAWS)2015年版 19
リリエンタールメダルは オランダの Dr. Loek Boermans 氏。OSTIV
の長期間の貢献により表彰されました。(委員を長くつとめている方は皆リリエンタールメダル受賞者が多いです)
ペラージャ・マジョースカ・グライディング・メダルはオランダの Mrs. Ritz de Luy
氏。以前タコモール
の経営をされていた方で、最近は http://soaring.eu/http://soaring.eu/ でグライダーニュースの配信をされています。
の経営をされていた方で、最近は http://soaring.eu/http://soaring.eu/ でグライダーニュースの配信をされています。
ピラート・ゲーリガー・ディプロマ はスペインのAntonio Martinez-Moneo Rico 氏になりました。
反省事項
「状況のキャッチアップ」と「顔を売る」ことを目標に行きましたが、「顔を売る」ことについては正直50点くらいです。。時差の関係で 18:00 (日本の2:00) を過ぎると眠くなり始め、20:00 (4:00) はもう起きていられないくらいです。初日のディナーは23:00まで続いたのですが、最後の一時間は起きていられませんでした。。二日間で前日入りですとまったく時差調整ができず、昼間のセッションは大丈夫ですが、、、。
英語は議論になってしまうとやはりついていけないので、まだまだ勉強が必要です。(IT の簡単な言い回しとはちょっと違いますね。。)
議論に参加するためにもルールの背景の考え方の理解が必要と思いました。深い理解が足りないため、「まあ、良いんじゃ無い」的に賛同してしまっている点もあったのですが、深い理解が無いと議論に参加できません。特に以前からの話の流れのキャッチアップが必要です。
また、提案時は特に考え方のコンセンサスを得られるような議論の持って行き方が必要と思いました。
来年の開催は 2016/2/26-27 が予定されています。来年に向けて、まずは知り合いになったDelegate とは facebook でつながりを保ち、議事録を再度復習して、世界の潮流から日本の滑空界に広めていくべきことを考えていきたいと思っています。
当面の目標を下記に定めました。
- OLC の日本での普及促進
- Sporting Code の理解普及促進
- 世界の競技会ニュース配信
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