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どんな形の飛行機でも飛ぶんです! その5
飛行中年
(2024/12/25 18:57:24)
どんな形の飛行機でも飛ぶんです! その5 (2016/9/11 9:43:28)
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どんな形の飛行機でも飛ぶんです! その5 (2016/9/11 9:43:28)
今回は、アンティークな雰囲気の漂う複葉機についてお話しします。
翼が二枚あると、思わず懐かしさを感じてしまいますね!
実は、複葉機の翼が二枚あるのは大きな理由があるのです。
その理由とは…。
昔は強度のあるアルミ合金などの材質が、まだ、発明されていませんでした。
そこで、もっぱら飛行機はスプルース材(米松)などの材料が主に使われて作られていました。
このスプルース材、木材なので、当然その強度はそれほど高くありませんでした。
そこで、それほど強度が高くなくても大きな力に耐えられる構造が、当時の飛行機に要求されたのです。
その結果生まれたのが複葉機だったのです。
この理由を分かりやすく説明したのが下の図…。
この図は紙の板を書いたものですが、上のただの一枚の紙は、力がかかると容易に折れてしまいます。
しかし、下のように段ボールにすれば、大きな力に耐えられるようになります。
この原理が、複葉機に応用されているのです。
同じ紙の板でも、上下の距離を離し、その上下の板をしっかりつなぎ止めれば大きな力に耐えられるようになります。
昔の飛行機は、この複葉という構造を用いることにより、スプルース材という木材しか手に入らない条件でも、必要な強度を保つことが出来たんです。
さて、この複葉機。上の写真をよく見てください。
上下の翼が前後にずれて取り付けられていませんか?
実はこれって大きな意味があるんです…。
この意味の一つは、できるだけ翼の位置を遠ざけることにより、上下の翼の揚力干渉を少しでも少なくするという意味もあるのですが、それ以上に重要なこととして、
実は複葉機の翼の取り付け角を分かりやすく図面にすると、上図のように上側(前側)の翼がほんのわずかですが下の翼に対してプラスの迎角となるように取り付けられているんです。
なぜこのように複葉機は上下の翼の取り付け角が変えられているかというと…。
こうすることで、上の翼の方が先に失速に入ります。そうすると、飛行機は勝手に下を向いて速度を増し、失速から回復してくれるのです。
このとき、下の翼は揚力を保っています。つまり、それだけ失速特性が穏やかで、操縦がしやすく安全な飛行機が作れるのです!
更にいうならば…。
前後にずらされた翼は、その取り付け角も、以前にご説明した「ピッチの安定」を保つ角度の関係となるため、主翼だけでもある程度ピッチ安定が出るので、水平尾翼の面積をその分少なくすることもできます。
複葉機はイメージ的に古臭く思えますが…。
上記で説明したように、複葉機は強度が高く作ることが出来、そのことは結果的に軽い機体を作ることが可能になり、そして、パイロットが扱いやすい穏やかな失速特性を持っています。
加えて、翼幅が短くできることにより、ロールの操縦性も向上します。
これらの利点があるため、現在でも曲技飛行機や、レジャー用のマイクロライト機などでも使われています。
これまでの説明で、少しは皆さんの複葉機に対する見方が変わったのではないでしょうか?
さて、ここでちょっと面白い飛行機をご紹介します。
これ、かつて日本で飛ばされていた九二式超重爆撃機という飛行機で、元はドイツで開発されたユンカースG.38という飛行機です。
この飛行機、ジュラルミンが発明されてすぐに作られた飛行機で、空気抵抗が大きい複葉機から脱するために、無理やり単葉機として作られたものです。
そのため、翼がやたらと厚く、翼の中に人が立って通れる通路があるほどでした。
こうすることで、一枚の翼の中に段ボール構造を作ることが出来、翼の強度が保てたんですね!
(ちなみのこの飛行機、宮崎アニメの「風立ちぬ」で、主人公の堀越二郎がドイツで試乗していた飛行機といえば、お分かりになる方も多いのでは?)
この飛行機、主翼は一枚翼なのですが…。
よく見ると、水平尾翼が複葉なんです!
この、水平尾翼を複葉にした理由について、これはあくまで私の推測なのですが…。
当時の飛行機は、軽くするため、その多くに尾輪式が採用されていました。
こうすることで、前輪をなくすことが出来軽量化できたんですね!
しかし、この尾輪式。その操縦が難しいと言われています。
幸い私の知人にこの尾輪式の飛行機が操縦できる、今では数少ないパイロットの方がいるのですが、話を聞くと…。
「着陸時、ラダーの効きが悪くなり、その操縦が尾輪へと移る時が一番緊張する。ごく短い時間だがほとんどコントロールできない領域があって、そこをどうやり過ごすかが腕の見せ所。」
と、言われていました。
つまり、尾輪式の飛行機は操縦が難しく、ましてやこの九二式超重爆撃機のように大きな飛行機の場合、その慣性力もとても大きくなり、少しでも飛行機のテール部分の重量を軽くしたかったに違いありません。
そのために水平尾翼が複葉になったのでは?と、思うのです…。
更に、水平尾翼を複葉にすると、垂直尾翼も真ん中だけではなく、左右に分けて配置させることも強度を保つ上で容易になります。
このことは、離陸時、エンジンが発生する反動トルクを、プロペラの後流を生かしてラダーで打ち消し易くなるため、離陸も容易になったのでは?と、思えます。
つまり、この九二式超重爆撃機において、水平尾翼を複葉にしたのは、操縦を容易にするうえで大きな意味があったのでは?と考えられるのです。
詳しい図面が既にないため、何とも言えないのですが、ひょっとしたらこの九二式超重爆撃機、尾翼はスプルース材で出来ていたかも知れません…。
ちなみにこの九二式超重爆撃機が登場した当時、こぞって飛行機に応用されたジュラルミン…。
実はもともとは飛行機のために開発されたものではなく、当時、空の王者だった飛行船のために開発された金属でした。
翼が二枚あると、思わず懐かしさを感じてしまいますね!
実は、複葉機の翼が二枚あるのは大きな理由があるのです。
その理由とは…。
昔は強度のあるアルミ合金などの材質が、まだ、発明されていませんでした。
そこで、もっぱら飛行機はスプルース材(米松)などの材料が主に使われて作られていました。
このスプルース材、木材なので、当然その強度はそれほど高くありませんでした。
そこで、それほど強度が高くなくても大きな力に耐えられる構造が、当時の飛行機に要求されたのです。
その結果生まれたのが複葉機だったのです。
この理由を分かりやすく説明したのが下の図…。
この図は紙の板を書いたものですが、上のただの一枚の紙は、力がかかると容易に折れてしまいます。
しかし、下のように段ボールにすれば、大きな力に耐えられるようになります。
この原理が、複葉機に応用されているのです。
同じ紙の板でも、上下の距離を離し、その上下の板をしっかりつなぎ止めれば大きな力に耐えられるようになります。
昔の飛行機は、この複葉という構造を用いることにより、スプルース材という木材しか手に入らない条件でも、必要な強度を保つことが出来たんです。
さて、この複葉機。上の写真をよく見てください。
上下の翼が前後にずれて取り付けられていませんか?
実はこれって大きな意味があるんです…。
この意味の一つは、できるだけ翼の位置を遠ざけることにより、上下の翼の揚力干渉を少しでも少なくするという意味もあるのですが、それ以上に重要なこととして、
実は複葉機の翼の取り付け角を分かりやすく図面にすると、上図のように上側(前側)の翼がほんのわずかですが下の翼に対してプラスの迎角となるように取り付けられているんです。
なぜこのように複葉機は上下の翼の取り付け角が変えられているかというと…。
こうすることで、上の翼の方が先に失速に入ります。そうすると、飛行機は勝手に下を向いて速度を増し、失速から回復してくれるのです。
このとき、下の翼は揚力を保っています。つまり、それだけ失速特性が穏やかで、操縦がしやすく安全な飛行機が作れるのです!
更にいうならば…。
前後にずらされた翼は、その取り付け角も、以前にご説明した「ピッチの安定」を保つ角度の関係となるため、主翼だけでもある程度ピッチ安定が出るので、水平尾翼の面積をその分少なくすることもできます。
複葉機はイメージ的に古臭く思えますが…。
上記で説明したように、複葉機は強度が高く作ることが出来、そのことは結果的に軽い機体を作ることが可能になり、そして、パイロットが扱いやすい穏やかな失速特性を持っています。
加えて、翼幅が短くできることにより、ロールの操縦性も向上します。
これらの利点があるため、現在でも曲技飛行機や、レジャー用のマイクロライト機などでも使われています。
これまでの説明で、少しは皆さんの複葉機に対する見方が変わったのではないでしょうか?
さて、ここでちょっと面白い飛行機をご紹介します。
これ、かつて日本で飛ばされていた九二式超重爆撃機という飛行機で、元はドイツで開発されたユンカースG.38という飛行機です。
この飛行機、ジュラルミンが発明されてすぐに作られた飛行機で、空気抵抗が大きい複葉機から脱するために、無理やり単葉機として作られたものです。
そのため、翼がやたらと厚く、翼の中に人が立って通れる通路があるほどでした。
こうすることで、一枚の翼の中に段ボール構造を作ることが出来、翼の強度が保てたんですね!
(ちなみのこの飛行機、宮崎アニメの「風立ちぬ」で、主人公の堀越二郎がドイツで試乗していた飛行機といえば、お分かりになる方も多いのでは?)
この飛行機、主翼は一枚翼なのですが…。
よく見ると、水平尾翼が複葉なんです!
この、水平尾翼を複葉にした理由について、これはあくまで私の推測なのですが…。
当時の飛行機は、軽くするため、その多くに尾輪式が採用されていました。
こうすることで、前輪をなくすことが出来軽量化できたんですね!
しかし、この尾輪式。その操縦が難しいと言われています。
幸い私の知人にこの尾輪式の飛行機が操縦できる、今では数少ないパイロットの方がいるのですが、話を聞くと…。
「着陸時、ラダーの効きが悪くなり、その操縦が尾輪へと移る時が一番緊張する。ごく短い時間だがほとんどコントロールできない領域があって、そこをどうやり過ごすかが腕の見せ所。」
と、言われていました。
つまり、尾輪式の飛行機は操縦が難しく、ましてやこの九二式超重爆撃機のように大きな飛行機の場合、その慣性力もとても大きくなり、少しでも飛行機のテール部分の重量を軽くしたかったに違いありません。
そのために水平尾翼が複葉になったのでは?と、思うのです…。
更に、水平尾翼を複葉にすると、垂直尾翼も真ん中だけではなく、左右に分けて配置させることも強度を保つ上で容易になります。
このことは、離陸時、エンジンが発生する反動トルクを、プロペラの後流を生かしてラダーで打ち消し易くなるため、離陸も容易になったのでは?と、思えます。
つまり、この九二式超重爆撃機において、水平尾翼を複葉にしたのは、操縦を容易にするうえで大きな意味があったのでは?と考えられるのです。
詳しい図面が既にないため、何とも言えないのですが、ひょっとしたらこの九二式超重爆撃機、尾翼はスプルース材で出来ていたかも知れません…。
ちなみにこの九二式超重爆撃機が登場した当時、こぞって飛行機に応用されたジュラルミン…。
実はもともとは飛行機のために開発されたものではなく、当時、空の王者だった飛行船のために開発された金属でした。
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