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feed 2015立山らいちょうバレーカップ (2015/5/30 19:01:12)

藤野 光一

「春の立山は怖い・・・」。良く聞くセリフではありますが、今年も5月下旬にスケジュールされた立山らいちょうバレーカップが5月23日・24日に開催されました。

山岳エリアで春と言えばサーマル活動は活発で怖いイメージですが、昨年は程よく高層雲も張った比較的穏やかな条件だったことを思い出しました。

そして、今年の競技初日も晴れ予報ではあるものの、高層雲が張り若干渋そうなムードを漂わせて始まったのでした。

5月23日(1日目)

今回はナショナルリーグ55名、チャレンジリーグ25名、合計80名の選手が立山エリアで2日間の競技を戦うことになります。当初の気象予報では日曜日が曇りベースで確実に競技が可能と思われるのは初日だけ。選手もそのように思っていたに違いありません。

 

9時30分から極楽坂テイクオフで行われた開会式では、立山パラグライダースクール関沢校長からの挨拶に始まり、北陸電力様から送電線に関する注意事項、岡田競技委員長による競技説明などジェネラルブリーフィングと進みました。

気象条件が整うのは当初予想よりも遅めと判断して、立山エリアが初めてのチャレンジ選手には「エリア攻略セミナー」が急遽扇澤さんにより開講しタイミングを待つことになりました。

ウィンドダミーにより空域を確認すると、高層が張っている割には既にソアラブルな状況となっており、予め予定していたタスクを発表して準備に入ります。

今回は、エリア東側にある北アルプスの獅子岳や北にある上市第二ダム、上滝にある大山寺ゴールのポイントを使ったビッグシリンダーを活用し、選手によるルート選択が可能なタスクにチャレンジしてみました。

D92(テイクオフ)

B06(SSS・1Km)-B06-D91-B04-B34(10Km)-B09-A82(8Km)-B33(13.5Km)-A82(8Km)-A77-A78-A77-A78-B13-A72(ESS・1Km)-A72

タスク距離:48.4Km

今回は大きなシリンダーを使ったことと、タスク後半のA77とA78の往復が大きなポイントとなります。そして、予想どおりにドラマがありました。

 

チャレンジリーグは例年どおりに「より多くの選手にゴールしてもらいたい」と言う思いと、初日で風が強くなる懸念もあったことから最終パイロンの美女平を粟巣野に変更しての立山ゴールドパスタスクアレンジ版。

D92(テイクオフ)

B27-B03-B02-B27-B03-B02-D91-B24-A72

タスク距離:15.9Km

ナショナルリーグは11時15分ウィンドウオープン、12時デパーチャーオープンのゴールレース。時間と同時に選手が一斉にテイクオフして行きますがエリア内のサーマルは思った程高度が取れず、エリア東側の瀬戸蔵や大品山付近で上げていたダミーを見て選手がそちらへ移動しました。殆どの選手が2000mオーバーの高度でスタートまでの時間を過ぎしつつ、雄大な北アルプスの景観を楽しんだ様です。待機中に通常のエリア内には誰も選手が居ないと言う不思議な光景ではありましたが、スピードレースになることは確実でした。

 

時間と同時に55名の選手がB06与四兵衛山のSSをカットし序盤の三角コースを周回して行きます。B06からB09の手前まではワングライドでこなし、B09付近で再び高度を上げてエリア西側のA82・8Kmシリンダーを目指します。団子状態ではコース取りはほぼ同一となり、大きな差は生まれません。B33・13.5Kmもほぼ同様な展開となり、レースが動いたのは2度目のA82からA77へのコースでした。

安全を期すならばエリア側で高度を取ってA77、再びエリア側で高度を取ってA78とこなすのがセオリーですが、勝負師である扇澤選手はじめ数名はダイレクトで対岸へ渡り最短コースでA77へ。しかし、対岸の南斜面は働いておらずみるみる高度を失ってトップ争いから脱落してしまいます。

エリアには戻らないが常願寺川上のリフト帯を上手く使ってタスクをこなしたのが宮田選手。途中のリフトも拾いつつ効率の良い飛びでトップゴール。僅かに遅れた高杉選手が2番手。3番手には地元の中島選手が飛び込み、その後も続々と選手がゴールして半数以上の35名がゴールする素晴らしいタスクとなりました。

 

チャレンジリーグは12時45分ウィンドウオープン、13時15分デパーチャーオープンのゴールレースでしたが、強めの風に翻弄されてテイクオフには苦労した様です。どこの大会でも同じですが、テイクオフは最も重要なパートの一つ。どの様な場所や状況であっても、日頃と同じ様に出られるよう練習しましょう。

 

チャレンジリーグもデパーチャーオープンからは条件が良くなり、スピードレースとなりました。この条件でこのタスクは簡単だったようで、警戒して設定した最終パイロンの粟巣野は美女平でも良かったのかな?と思いましたが、それもあってかトップの清水選手は

31分45秒と超ハイペースでのゴール。2位は地元立山の広瀬選手で32分51秒とほぼ1分差でした。14名の選手がゴールメイクして、こちらも良いタスクとなりました。

立山山麓家族旅行村で行われた夕方からの懇親会バーベキューは、みなさん今日のフライトの話で大いに盛り上がりました。不安だった翌日の天気予報も良い方向に変わっているのも良い情報でしたね。ミニライブもあって、楽しいひと時を過ごすことが出来ました。

5月24日(2日目)

大会2日目は予報以上の快晴。雲一つない青空が待っていました。

今日も9時30分から極楽坂テイクオフでブリーフィングですが、日中は高層雲がやや多くなる予想となっているため、可能ならば前倒しで競技が出来ればと考えていました。

 

テイクオフは早い時間から良い風が入っていますが、日中は北風が強くなる予想。

条件も昨日とは違って春の立山らしいものになりそうな気配があり、ブリーフィングで仮タスクの注意点や気象状況を共有しました。

 

ウィンドダミーが飛ぶ前から、スクールツアーで訪れているフリーフライトの機体がソアリングを始めていることから、予定どおり早めの展開となりました。

ナショナルリーグは昨日と同様ビッグシリンダーを活用したタスクながら距離はそこそこの仮タスクをそのまま正式採用しました。

D92(テイクオフ)

B06(SSS・1Km)-B06-B04-B09-A82(8Km)-B33(13.5Km)-B20(4Km)-B31(2.5Km)B20(4Km)-B13-A72(ESS・1Km)-A72

タスク距離:36.8Km

B20とB31の往復をどのコースでこなすかがポイントとなります。そして、昨日同様ここでドラマがありました。

 

チャレンジリーグは今日こそ美女平を使ったタスクを設定。

D92(テイクオフ)

B02(SSS・600m)-B02-B04-D91-B02-B04-D91-B02-B04-D91-B13-A72(ESS1Km)-A72

タスク距離:27.8Km

練習も兼ねてスピードセクションを設けたタスクとなりました。

ナショナルは10時30分ウィンドウオープン。11時スタートのゴールレース。今日もエリア内はそれ程高度が取れない状況でしたが、やはり昨日と同じ瀬戸蔵山や大品山方面では2000m付近まで上昇することが出来ました。大半の選手はこの付近でスタートを待ちます。

そして時間に合わせて今日もB06へ向けたグライダーの列を見ることが出来ました。

 

前半から集団を引っ張るのは扇澤選手。猛スピードで先頭を突き進み次々にターンポイントを回って行きます。エリア主稜線のコンディションも時間が進みにつれてバンバンになり、何もせずに上昇する状況でタスク後半のB20とB31の往復レグを迎えました。

高さも十分で扇澤選手を含むトップ数人は対岸コースを選択。しかし対岸は今日もそれ程上がらず高度を下げながらB31をリターンしB20方面で見えなくなりました。後を追っていた高杉選手は川の上を直線的に飛び成功。その他の選手は一旦主稜線に戻るセオリー通りのコース取りでゴールを目指しました。

結果、高杉選手が1時間7分5秒とトップゴール。2番手が宮田選手は1時間12分ジャスト。3番手には稲見選手が1時間17分30秒と続き、2日目もリフライトでゴールメイクした亀山選手を含めて40名ゴールとなりました。

チャレンジリーグは11時15分ウィンドウオープン11時45分スタートのゴールレースとなりました。昨日よりも距離もエリア内の周回も多いハズですがバンバンの条件によってハイスピードレースとなり、トップゴールの有田選手が45分30秒、2番手芦田選手・樋口選手が45分54秒、初日トップの清水選手は4番手46分12秒、5番手平松選手が46分25秒となだれ込むようにトップグループがゴール。その後もゴール者は続き、美女平から至福のファイナルグライドを手に入れた選手は15名でした。

終わってみれば2日間ともに最高のコンディションに恵まれ、両リーグともに素晴らしい競技が成立しました。

選手のみなさんは勿論ですが、いつも裏で支えて下さる大会スタッフのみなさまには本当に感謝いたします。

来年も5月下旬の大会開催を計画していると関沢校長からお言葉をいただきましたので、また違った立山のタスクを提供できるように研究しておきたいと思います。

次回も多くの選手が参加されることを願って大会レポートとさせていただきます。

結果

ナショナルリーグ

総合

優勝 高杉慎吾選手
2位 宮田 歩選手
3位 中島 伸也選手
4位 稲見 祐二選手
5位 大澤 行英選手
6位 薬師寺 哲選手

女子

優勝 小森 さちよ選手
2位 吉川 朋子選手
3位 水沼 典子選手

チーム

優勝 立山Team-C
2位 とちおとめ
3位 瀬戸内少年飛行団

チャレンジリーグ

総合
優勝 清水 浩一選手
2位 中村 裕昭選手
3位 芦田 智昭手
4位 樋口 栄二選手
5位 平松 久選手
6位 岸 幸民選手

オープン
優勝 河野 美樹選手

女子

優勝 八子 文恵選手
2位 籾山久美子選手
3位 高瀬美代子選手

チーム

優勝 CK2
2位 MAX JR
3位 チャレンジバーズ



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