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link 呉本圭樹blog 呉本圭樹blog (2025/1/10 10:39:10)

feed 世界を取るための道具を悩む (2016/11/16 23:38:04)
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さて、本日は少しマニアックなパラグライダーの話。
パラグライダー以外の人にはわかりにくい話になるかもしれないけれど、自転車でもスキーでも
道具を使うスポーツ選手には必ず突き当たる手の話。


今のパラグライダーのXCというレースでは、道具のチョイスパイロットの腕と同じくらいに重要。
特にパラグライダーの本体についてはそれが言える。
どんなに腕の良いパイロットでも「勝てる」グライダーに乗っていないと、勝負にならない。
だからメーカー付きのパイロットが、他のグライダーに乗っているということがしばしば起きたりもする。

パラグライダーのメーカーは現在大小合わせて20以上のブランドがあるけれど、
ワールドカップクラスで勝つためのグライダーを作れているのがOZONEとGINという2社。


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OZONE社の3年前に発表した私の愛機でもあるENZO2


そしてGIN社が2年前にリリースしたBoomerang10



ENZO2はもう丸々2年たっているのにかかわらず、トップに立ち続けているのだが、
グライダーの進化が激しく進んでいる中、ようやくFAI(国際航空連盟)の競技グライダーの新しいレギュレーションが
この夏に決まり、メーカーもようやくそのルールにのっとったグライダー作りをできることとなり、
ENZO3のテストが進んでいることはわかっていた。
もちろん他のメーカーもそれを越えるグライダー作りを行っている。
OZONEのライバル社であるGINもBoomerang11の発表が同じく次のスーパーファイナルになるのではないかと言われている。

そんな中、OZONEはZENOという新しいグライダーを発表して販売を開始した。
これは位置づけとすればフラッグシップモデルであるENZOシリーズの下、競技グライダー入門のようなものだと多くのトップフライヤーは
考えていた。なぜならENZO3の発表が今か今かというところだったからである。

Seiko-Fukuoka-OZONE-Zeno-1024x683-mwwmqa7oe0p3kuduqfp6wty80cdicln3b9cw3b5udc.jpg ZENO

2017年は、1月にワールドカップスーパーファイナル、7月に世界選手権という大きな大会が控えている。
メーカーはそのグライダーの最大の評価を得るためにその大きな大会の前にリリースする。
そのタイミングはメーカーが最大の効果を得られる時に出す。
ENZO3は多くのパイロットが今か今かとリリースをまっていて、SF前にはそのグライダーが手に入ると思っていた。
しかし、ここにきてOZONEは、グライダーのリリースを世界選にするという発表をした。

さて、そうだとするとENZO2のまま戦うしかないかと思うけれど、そこで先日発表されたZENOが問題になってきた。
ZENOはENZO3の開発の過程で生まれたグライダーで、ここ2年の技術がつぎ込まれている。
ENZO2に比べて非常に安定している。
確かに滑空比はENZO2に劣る。そして上昇にかんしても比べると少し悪いということだ。しかし、トップスピードは
ENZO2に勝るということだ。
コンディションが弱いエリアなら迷うことなく今のENZO2がいい。しかし、コンディションが強いブラジルのシチュエーションでは
安定度が高く、トップスピードが勝るZENOでも十分な勝機がある。
パイロットがどう性能を使って戦うかという選択。

もちろん私はまだZENOに乗っていないので、どうだといわれるとわからないのですが、
ブラジルまで行くのは勝つためなので、道具選びから戦いは始まっているのです。






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