ホーム >> RSSセンター >> どんな形の飛行機でも飛ぶんです! その10

RSSセンター

  メイン  |  簡易ヘッドライン  

link 飛行中年 飛行中年 (2024/12/25 18:57:24)

feed どんな形の飛行機でも飛ぶんです! その10 (2016/12/25 15:20:17)
今回は皆さんに奇妙な飛行体をご紹介いたします。



これWOOPYという比較的新しく出来たスカイスポーツです。

構造がとてもシンプルで、翼の中の空気の圧力を高くすることにより、風船のように翼の形を保ち、空を飛ぶことが出来る乗り物です。

この機体、舵などを持っておらず、体重移動だけで操縦することが出来ます。

こんなものがなんで空を飛ぶことが出来るのでしょうか?

ちょっとそんなことを考えてみたいと思います!



まずピッチの安定については、これはプランク翼が飛ぶことと同じ理由であるといえます。

プランク翼とは後退角がない無尾翼機のことで、ピッチの安定をとるため、その翼型は後縁が反り返った形を持っています。



(あまり後縁が持ち上がっていないように見えますが、代わりに翼の下面の方が膨らんでおり、同じ効果が得られています。)

このWOOPYの場合、パイロットの位置から推測すると、結構前に重心位置があるようで、そのような飛行機はピッチ安定が非常に良いものを持っています。

また、重心位置が前にあることにより、重心位置より後ろの翼面積が十分あること、および、大きな垂直尾翼のおかげでヨー、つまり、方向安定も良いと思います。

つまり、WOOPYは奇妙なかたちをしながらも、ちゃんと空を飛ぶ要素を持っているといえると思います…。

が…。

実は、私、このWOOPYが、なぜ体重移動だけできれいに旋回できているのかよく分からないんです…。

考えられる回答として、上にも述べましたが、十分過ぎるピッチ安定を持たせるために、風圧中心位置よりもずっと前に重心位置があるため、バンクがかかった時に重い人間が振り子のように下…、つまり、旋回方向へと向くため、それがヨーの力とな

り旋回しているのかな?と、思ったりもしますが、ちょっと自信ありません…。

どなたかこのWOOPYがなぜスムーズに旋回できているか、その理由が分かる方は教えてください!



さて、今回はもう一つ奇妙なかたちの飛行機をご紹介したいと思います。



これ、ちょっと私がいたずら心で考えてみた飛行機です。

今までになかった形なので、とりあえずW型無尾翼機とでも名付けておきましょうか…。

今までにない奇妙な形の飛行機ですが、これだってちゃんと飛ぶように出来るんです!

飛行機が安定よく飛ぶには、ヨー、ロール、ピッチの自立安定性が必要なことはこのブログでも繰り返しご説明しましたが…。

まず、このW型無尾翼機では、ヨーの安定は垂直尾翼、ロールの安定については翼端が前進翼になっており逆安定となるので、若干上反角を持たせれば大丈夫と思われます。

そして、ピッチの安定については…。

前進翼のため、翼端にねじり上げを持たせれば、自立安定性を持たせることができますが…。

それだと、翼端に大きなねじりの力が加わる可能性や、飛行機にとって危険な翼端失速に入る可能性があるため、垂直尾翼がある辺りの翼型を、上図のプランク翼に使われている後ろがそりあ

がった翼型にしても十分飛ぶと思います。

で、なんでこんな奇妙な形の飛行機をご紹介したかというと…。


そもそも後退翼機の翼には大きなねじれの力がかかります。

それは、下の図を見ていただければお分かりいただけると思いますが、翼を支えている中央部分よりも後ろの位置に揚力中心があるからです。



他にも後退角があると、要端失速に入りやすいなどの弊害もあります。

それではなぜ、そんな悪い特性を持つ後退翼を旅客機などが採用しているかというと…。

音速ちょっと手前ぐらいの速度が、ジェットエンジンの効率が一番良くなって燃費が向上するからなんです。

ジェットエンジンは回転運動だけで、ピストンエンジンのように往復する部品を持たないため、高回転でも機械的なロスがほとんどなく、ラム圧(前からくる空気の圧力)が得られる高速域の方が圧縮比が上がりエンジンの効率が向上するのです。


しかし、ジェットエンジンが一番効率よく回る音速近くで飛行すると、部分的に音速を超える場所が出てきてしまい、そのため、大きな抵抗が発生してしまいます。

それを軽減するために、音速近くで飛ぶ飛行機の多くは後退角が持たされているのです。



でも、先にも述べたように後退角は重くなったり等の様々な弊害を持っています。

ならば…。

前進翼と後退角の二つを持つ飛行機があれば、翼にかかるねじれの力が軽減され、飛行機にとって危険な翼端失速も防げるのではないか?

そんないたずら心でちょっと考えてみました!(笑)

実際は後退角から前進角へと移る箇所に、大きな応力がかかりそうですが、あえてそこにエンジンを配置するデザインにすることにより、翼に厚みを持たせて丈夫に出来るのではないか?なんて考えてみました!

奇妙な形ですが、ちょっとカッコイイと思いません?(笑)



execution time : 0.005 sec