ホーム
>>
RSSセンター
>>
とったどーーー!! 九州の空
呉本圭樹blog
(2025/1/10 10:39:10)
とったどーーー!! 九州の空 (2017/3/21 19:51:24)
ポッドキャスト : image/jpeg
RSSセンター
メイン | 簡易ヘッドライン |
とったどーーー!! 九州の空 (2017/3/21 19:51:24)
ポッドキャスト : image/jpeg
九州別府から西へ30㎞程行ったところにある玖珠町。
大会での開催は初めての土地。
この土地で2017年の国内2戦目の試合が行われました。
私は九州自体、数回しか来ていないのですが、特に阿蘇から玖珠、別府にかけての地形に
非常に興味を持ちました。
テーブルマウンテンと呼ばれる山の上が平で、数万年前はここが平野だったと思われるところが、
火山活動等によって本当に独特な地形をしています。
さて、この玖珠町は「童話の里」として町を売り出しているほどに、多くの童話がある場所。
大会の離陸上になった伐株山(きりかぶやま)も、その姿から、かつて雲を突き抜ける楠木が
生えていて、大男がそれを切り倒した痕なのだとか。
その木が倒れた先が長崎(長先)だったとか。
こういった話は面白い!!
さて、ともかくこんな土地での大会。初めての場所はいつでもワクワクします。
大会で使用する空域は限定的であまり広いとは言えないですが、そこからクロスカントリー(遠くまで飛ぶ)を
していけば、阿蘇や、湯布院まで飛ぶこともできるそうです。
1日目
この日はコンディションがいいとは言えない空でした。
風はテイクオフ(離陸場)の裏から入ることが多く、先に出たウィンドダミー(選手の前に風を見るために出るフライヤー)
達は、一気に上昇するものの、空域はあれあれ・・・。
選手が出ようとする時間には完全に風が後ろから・・・・。
私は2番手に準備していたのですが、さすがにこんなコンディションでは出れない。
しかも空はなんだかどよーんとしています。
ようやく風が安定し始めて離陸するものの、今度はコンディションがしぶしぶに。
離陸後こそ何とか上昇していたものの、ようやく1㎞先のスタートを取って戻るともう高度はかつかつ。
それでも頑張って上昇をしていったものの、その先、山から離れると、高度は落ちるばかり。
そうはいってもその先のターンポイントを取らねば話にならない。
ギリギリ取れて帰れそうな高さで突っ込んでみるも、思いのほか滑空は悪く、
一緒にポイントを取りに行った数機とともに仲良くランディング。
こりゃいかん!!と急いでたたんでもう一度飛びに行くが、
2度目のフライトもほとんど変わらず。
結局、トップでさえ70点(1000点中)12位で終わったものの、点数差は数十点。
そして2日目
夜に少し降った雨が雲海を作る朝。
日が昇るのと同じくして湿った空気はこの谷から出ていってくれた様子。
九州ではこの人あり!そして次回のX-ALPSにも出場するカナダ人のリックさんが予想するこの日のコンディションは
最高!!!とのこと。
朝からT.O.にもばっちり風が入っていて、いつでも飛ぶ準備できてます!!と言っているよう。
この日組まれた45㎞のタスク。
タスクコミッティー(競技内容を決める)は、できるだけ長く飛ばしたい!けど、確実に大会を成立
させたい!!と、悩みに悩んで作ったタスク。
玖珠町を東西南北往復する一見テクニカルなタスク。
ポイントは入ってくる北風が地元の人たちのいうセオリーに入ってくるのか!?
離陸後、高度を上げるのにT.O.より後ろに入るが、確かにあがるし、流される。
これはセオリー通りきた風が入っているのか?
最初のスタートは山ではなく北に向かった谷の中。
ふむふむ。
では前で高度を稼がないと。
そう思って沖へ沖へと北上。
途中途中サーマルに当たる。
がっつりと上がるわけではないけれど、もやもやと上昇帯がある。
ではもっと風上にそれがどこまであるのか??
とどんどん北上。
すると今度はどんどん下降。
しかもスタート時間まで時間が無くなってきた。
「はて、地元のパイロット達がいうよりも上昇の帯は沖にあるな。」
とか思っているのと、「やばい!スタートに遅れる」
と同時に思っていながら結局上昇もできずに折り返してスタートを切る羽目に。
スタート後、2つ目のポイントを取ってまた沖へ。
トップグループになった人たちが次々と進むのをみるものの、T.O.周辺は+4m/sを超える上昇。
前にはそんな上昇はなかった。ここではこの上昇に時間をかけて問題ない。
1400mまで高度を稼いでターンポイントを取りに行く。
予想通り、先に行ったグループは少し高度が低くいっていたので折り返してきた時には追いつく。
そのまま南の山の奥のターンポイントをトップを行く4機に追いついて高度を稼がず奥に!!
しかし、北風が入っていたら荒れていそうな空域がなんだかおとなしい。
それよりもT.O.周辺が強いサーマル帯になっているらしく、後続はそれに乗って一気に高度を取り戻していく。
何とかあっちに行ったほうが山よりも効率がいい。そう思った私は高度が低いまま山の中に突っ込み強引にターンポイントを取る。
そして引き返してT.O.へ。
高く上がっていた多くのグライダーは高いまま私がとったポイントを取ってそのまま西へと切り返して
山沿いを次のターンポイントへ。
私はT.O.へ戻って強いポイントで再び高度を稼ぎながら先に行ったグライダーを観察。
なんだかやはり北風のコンバージェンスライン(風がぶつかり合ってできる上昇の帯)ができていない。
それどころか、山からの吹きおろし!?
これは高度を稼ぐだけ稼いで山から離れて直線的に向かうことが正解。
そう踏んで私はこれからのコースを山ではなく沖に取ることを決めていく。
そうすると、私の高度は全く落ちず、西に5㎞行ってくる往復に、山から行って先行していた人たちは
高度をみるみるうちに落とし、さらに向かい風にはまり、進むのも遅い状態。
この時はそれでもまだ山に近いラインを取っていた私、少しずつラインを沖へ沖へとずらしていく。
今度は東へ7㎞。
地元のローカルパイロットのグライダーがさらに沖で高い位置を飛んでいる。
ふむ、私のラインはもっと沖か。
コースを直線からやや遠回りにして谷の真ん中に流れる川の上あたりを飛んでいく。
グライダーは風の乱れで揺れるけれど、上昇音が止まらない。
よし、ラインに乗った。
それからはひたすらアクセルコントロールでグライダーを調整しながら、
グライダーとGPSをみながらの飛行。
周りには誰もいないので私ひとりきり。
さて、これはどういうことか、まさかと思いながらもGPSを見直す。
間違っていない。
よし、そしたらあとはこのラインでひた進むしかない。
あとは直線的にターンポイントを取っていき、最後の山の頂上のターンポイントを取るときだけ
高度を稼いで突っ込む。
旋回しない=スピードが上がる。
結果私だけはこのラインに乗れたようで、2位とは20分もの時間差をつけてトップゴール。
最初に遅れた分、冷静に対応し、自分の判断をしっかり信じて飛べた。
うん、なんだか事故前の感覚が戻ってきた。
結果。
優勝しました!!
よし、この調子で成績を出していくぞ!!
execution time : 0.006 sec