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なんやねん、これは。
立ちはだかる関所。この12時間で4つ目である。
昨日の内に、三つの国境を超え、後は一路、コタキナバルに向かうだけ。
と、思いきや、4つ目の関所が現れた。

その前には　フェリーで川を渡ることを強いられたり、
中々「後はひたすら走るだけ」状態にならない。
（因みにフェリーは１リンギット、25円でした。良心的！）

この関所は、どうもサラワク州とサバ州の州境らしい。
独立色の強いこの二州、州境管理までしているとは。

そもそも国境を車で通過するのは嫌いである。
2015年、マケドニアで行われたプレ世界戦。
その後、アルバニアからギリシャに入る所で徹底的に検問を受けた。
あわやハーネスから緊急パラシュートを引き出されるところまで。
いたずらに権力を持った人は恐い。何をするか、わからない。

「止めてくれ！」
「ガシャン、ガシャン」
これで、このツアーで8つ目のスタンプ。
帰りも考えると、合計16個のスタンプが押されてしまう。
ほんの3年前に作り替え、特別に増やしたページも、わずかしか残っていない。

「Place of Issue (発行地)　スイス」
入国審査の書類に記入する度に、思い起こされる事件。
2014年、フランスでの世界戦を仕事の都合で途中で戦線離脱。
飛行機に持ち込む為に纏めておいた荷物が、空港真近の最後の給油時に
自動車の窓ガラスを割られて持ち去られる。
被害総額65万円相当。
交渉の結果、保険求償で、45万円戻る。
パスポートを失い、スイスで再発行。作成までに（幸い）三日掛かるという。
結果、参加できた世界戦後半戦。
飛ぶ場所に慣れ、後半戦で初めて納得が行く飛びが出来た。

「自作自演でそこまでやるかぁ」
ハング界のみならず、会社でも非難の雨嵐。
「そりゃ、やりますよ、何だって。世界戦ですよ、世界戦。私の夢なんです。」
失った信用を差し引いても、今では良い思い出である。

PS. 教訓そのXX「スイスは安全という迷信を信じるな。特にジュネーブには近づくな」