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link 呉本圭樹blog 呉本圭樹blog (2025/1/10 10:39:10)

feed 大会3日目 オーバーキャストに苦しむ (2017/6/21 13:25:24)
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確かに予報されていた通りの天気になってきた。
朝から快晴。


選手たちの動きも朝から早いのです。
昨日とは違い、標高の高いT.O.(離陸場)からのスタート。
ここは練習日に飛びに来たT.O.。しかし、ここから130人が飛ぶには狭い。
案の定、T.O.へ入るのにゲートが作られ、昨日のトップ15人と女性パイロットの後にしか出られないという
ことに。
あー早く飛びたいのに・・・・。


この日のタスクは90㎞。
最初にT.O.の山から10㎞程離れたターンポイントまで北上し、その後T.O.からさらに南側のターンポイントに戻ってきて、
また北上しながら平野へ、あとは風を背負って南東へ行くというタスク。
やはり、天気予報は好転している様子。


あとは準備も万全。飛ぶだけ!なのに、なかなか離陸時間が決まらない。
どうやらNisの空港へ降りる飛行機の時間を待っているとかいないとか。

空にはもうおいでおいで~と呼んでいる雲があるのに・・・・・。
ようやく時間がきまり、T.O.のゲートにさっさと並ぶも、今度はトップ15と女子のプライとリティが
先だという。あぁ、そうじゃないかとそれより早く出てしまおうとさっさと準備していたのに・・・・。

そこからさらに飛ぶのに40分くらい待たされる。
上にはもう先に飛んだグライダーが高度を上げていく。

私の周りのパイロットも焦れてイライラとしてくる。

ようやく順番になり、離陸。
しかし、最初にでた選手たちにあったような上昇はなく、弱い上昇でゆっくり上がるしかない。
スタート時間までもそんなに時間がないのに。

ようやく雲の高さまで上がるが、既に大きく風上の沖のほうでスタート時間を待っている集団の場所まで
行って上げなおす時間的余裕はなく、少し北上してスタートライン近くの空域で待つ。
しかし、サーマルが本当に弱く、上がるか上がらないかのサーマルにのって高度を維持するのみ!

スタート時間になって、北上開始。
既にオーバーキャスト(上昇気流が活発過ぎて雲が発達し、空を覆ってしまう状態。)してしまって、上昇が
ほとんどない為、先頭から少し下がって先に進む。


最初のターンポイントに到達したとき、先を行くヤッセン選手から順に、ロケットの発射のような上昇に乗るのが
前に見え、一気にスピードを上げていく。
それに続くグライダー達も上昇開始。

私も!!とその下に入るも「あれっ???」
弱い上昇しかない。

私より100mほど高度の高いグライダーはその上昇に入れた模様。
バブル(泡状)のサーマル。
それに入れなかった私は、ここで上昇するのに時間がかかってしまう。
バブルは一回上昇してしまった後にまた同じように上昇の塊が出ることがある、
それまで待つか、先に進むか・・・・。

しかし、進む先は完全にオーバーキャストしてしまって上昇の気配さえない。
やはり、この場所で上昇しなおさないと。

ここで先頭を行く集団に完全に遅れてしまった。
しかし、慌てても仕方ない。


弱いコンディションならながいタスク中、まだ遅れを取り戻すチャンスもある。
そう言い聞かせてまずはじっくり高度を高めることに専念。

この日はほとんど廣川選手と行動を共にしていた。
お互いにサーマルを見つけあっては上昇し、そしてようやく南下していく。


先には次のターンポイントを取りに行く遠いところのトップグループが雲の高さまで上げている。
あそこには追いつけないな。
それどころか、そこにたどり着く前に一度上昇しないといけない。

まだ対して距離を飛んでいないのに、やたらと時間がかかる

第2集団を形成していたグループに追いつくことができ、そこでなんとかかんとか上昇をしてその先の
ターンポイントに向かう時には既にトップグループは再び北上していくのが見えていた。

展開的には苦しい。
というか、上昇がとにかく弱い。



ターンポイントを取って我々も北上!!
というところでまたしても高度が低く、T.O.近辺の山へ。
ここでまた上昇するまでに時間がかかる。

20機近いグループが上昇しあぐねておなじような空域にたまる。
あがるとも上がらないともしない空域の中、ようやくいい上昇に入って高度を上げるのに
また30分近い時間をロスしてしまった。

そこからは平野に。

先のグループを探すが、一向に見えない。
もうだいぶ進んでしまったのだろうか。
仕方ない。自分の今のポジションで効率よく飛ぶしかない。

進む方向は曇っているがそこから西方向には明らかに雨が降っているカーテンのような景色。
あれが迫ってきたらいやだな。
そう思いながら進む。

途中弱い上昇に当たり、高度を少し回復するが、上昇に力なく、それほど高度も上がらないので、
見切って先に。

平野を飛んでいるので、先に行く集団が見えそうなのに一向に見えない。
それほど離れてしまったのだろうか??

新しいグライダーは滑空性能も素晴らしい!
その滑空性能が一番いいスピードを探りながら飛んでいくが、高度は少しずつ少しずつ落ちていく。

ターンポイントをとって切り返す。
私の前にいた数機はその付近で高度が尽きて着陸していく。
私も余裕などない。

その先に1機だけ、上昇しているグライダーを発見。
何とかその下までたどり着くが、高度差があるその下にはもう上昇がない。
最後の高度を使ってそこまで行ってしまった私はもうどこにも行けず、その場に着陸。

振り返ると、共にいた集団が全員同じ近辺に着陸している。
実は先に行った集団も同じ周辺に降りていた。

同じ場所に降りてしまったJost選手

どうやら私が最後に見たグライダーだけが最後のサーマルを捕まえ距離を稼ぎ、さらに20㎞程進んだらしい。
ゴールができないレースはどういった内容であれ、悔しい。

降りた場所は、本当の意味での「田舎」
ここに来ると、日本の田舎の都会さがわかる。

携帯が圏外で、集落まで歩いていくも、人の気配がない。
ようやくいたおじいさんと話そうとしても私はサッパリコミュニケーションが取れない。
Jost が話をして(Jostはスロベニア人で、セルビアとは言葉が近いのだという)この村には
何もないから数キロ移動した町に行かないと何もないよということ。


しかし、30kgのグライダーを担いで5㎞以上の移動は得策でなく、その場で回収を待つことに。
結局この日帰ってきたのは21時を回っていた。

どうも明日はもっとコンディションがよくなるらしい。
それを期待してこの日は眠りについたのでした。





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