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それから数年。
リストラ策が効を奏して会社は持ち直す。
なにせ二番目に尊敬する兄貴が考えていた経営改善策である。

気がつくと、新たに何人か人が採用されていた。拡大路線。
これは違うんじゃない。
親父と改めて話し合う。
進まぬ議論。私より遥かに頑固者。

これは法的に立場を固めて対抗するしかないなあ。
そんな中、伊藤忠人事部の方がブルネイに来られる。
取締役就任、兼業について相談する。
なんと、その方は伊藤忠の兼業規定を作られた方だとか。

提示された許可条件。
①業務時間中にやらないこと
　　　　(> はい.。勿論)
②伊藤忠のビジネスと競合しないこと.
　　　　(> 競合できるなら、競合してみたいです！）
③報酬をもらわないこと　　　　　　
　　　　( > はい。了解。伊藤忠が私の給料を払ってくれれば問題なし。)

その後、紆余曲折はあったものの、かくして社外取締役就任の許可を頂く。
やや置き、出向先のブルネイの会社でも申請。
議論の末、正式に許可を頂いたのは親父が亡くなる一週間前だった。

直ぐに名刺を発注。
この名刺を葬儀直前に受け取ることになる。
神様って、なんて意地悪なんだ。
もっと早く出来ていれば、親父に見せられたのに。

いや、ちゃんと間に合わせてくれたのか。
出来上がった名刺を持って、葬儀後3日目から挨拶回りをすることになる。
これも兄貴の「見守り」の一つなんだろう。

それにしても、人生、不思議なものである。