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feed Dolomiti Open 後半 (2015/7/21 4:53:49)
Day 5
大会日程は12日までとなっているが、12日は予備日で競技は11日(Day 7)で終了らしい。
今日は雨も上がって良く晴れているが、4000m以上で風速20m以上の可能性があるということで、約100kmのタスクが組まれたもののウエイティングの後キャンセル。フリーフライトで飛んだが、下層の風はそんなに強くないものの上層のウエーブの影響があるのか、空気の挙動が不安定で次に何が来るのか予測できない。一回雲底3600mまで上がったが、やはり風が強めなので、怖い目に合う前に降りることにする。
フライト中ベースバーをしっかりと握っていたせいで手がパンパン、首もガチガチ。

Day 6
前半の条件と打って変わってブルー、サーマルトップは3000mと低めで弱めの予報。 タスクは西風アゲンストに18km、リッジ?沿いに10km南下した後北東に35km行き、メインの谷を再度西に進む105km

15kmエントリーのシリンダーをどこから入るかがポイントだが、メインの谷を対岸の北側に渡ってから西にプッシュし、シリンダーの北側からエントリーする作戦を試してみる。
自分が一番に谷を渡ったと思っていたが、実はクリスチャンやアレックスなど4,5機が同じ事を考えて先行していたようだ。予定していた尾根までは割とすんなり進めたがここで思ったように上がれず最初のスタートに間に合わず。トップグループはここで私の頭の上からスタートしていたようだが全く気が付かず。
20分後のスタート前には3100mと帳尻を合わせていい感じでスタートするが、大気があまり動いている気配がない。1stパイロンの遥か下に取り付いて、渋い中えっちらおっちら時間をかけて上げ直し、何とか復活。予報通りトップ3000mの条件で海抜3000mの崖の横を飛んでゆく。怖いけど、これくらいが一番ドロミテを満喫できる高度かもしれない。カメラを付けなかったことをちょっと後悔する。
ブルーなのでそれほどスピードを上げられず、に北東の3rd ターンポイントに向かう。ターンポイントがドロミテの山塊から離れた谷の中で少しいやらしい場所で、しかも少し先を急いで途中であまり上げずに進んだので、「風下のターンポイントは高くとれ」の鉄則に反して2300mまで下がってしまい、少し焦る。幸い辺りが上昇エリアであまり風下に流すことなく2900mまで復活。もう5時近くで時間的に谷側の低めの丘が機能していると判断して、岩山には戻らず、谷沿いに真っ直ぐ進むルートを選択。アゲンストで1900mまで下げるが予定していたポイントで直ぐに上げ直すことが出来、テイクオフの山にダイレクトに戻って3100mまで目一杯上げる。ここで20分前スタートの機体にかなり追いつき追い越したはず。少し低めに出た先行グループが先で上げ直しているのを横目に見ながら最終ターンポイントをダイレクトにとってそのままファイナルグライド。少し低くてリスクもあったが最後の谷は期待通り殆ど沈まなかったので、ゴールを切ってワンターンでランディング。
リーディングポイントが低いのでトップグループとは点差がついたが、タイム的には4位相当とそんなに悪くなかった。スタートのアイデアが結果的にトップグループと同じだったので良い選択だったと自己満足。

Day 7
タスク最終日だが、小さくまとめる気配はなく、 ドロミテ満喫ルートの135km 。但し、テレビクルーがゴールしてくる機体を絵になる西方向で撮りたい、ということでゴールを4kmほど行き過ぎた所にターンポイントが追加された。この往復8kmが結構いやらしいかも、と思いつつスタート準備する。
気象条件は素晴らしく、雲底4200m、サーマルもスムーズ。
今日は今大会で初めて大きなガグルが一斉スタート。このガグルがなかなかカオスな感じで、あまり振り回せない機体に乗っている身としては遠慮がちに外側を大きく回る。
さて、ここまで半分観光とエリア完熟を兼ねて飛んでいた面があったので、この日はレースに集中してみようと決めていた。
スタート後は中位の高度で切って先頭を走る。1stターンポイントは4番くらいでクリア、2nd ターンポイントに向かう前の谷渡りはやはり4,5番手。少し上にアレックスとクリスチャン。この二人のサーマルの探し方は本当に独特というか、本当に広いエリアをサーチする。
2nd ターンポイントは少し後ろから高めにクリアして、そのままリターンし、高原の上で上げ直す。この時点で単独先行になるが、次のポイントで低めの高度から上げ直していると3機ほど上に被ってくる。1stターンポイント後、南回りのルートで進んできたグループのようだ。
次のサーマルで追いつき、3rdターンポイントをとって上げ切った時点で自分とフレックス2機がほぼ横一線。ダビデ・グイディーチとエリオ・カタルディ。次のサーマルも3機で上げ切った後、その次は私が(これまでに比べて)弱いサーマルを見つけるが、後の2機は止まったものの大して上げもせず走りだす。でもその先は谷全体がオーバーキャストだよ。。。
まあこの状況でサーマルを見つけてくれたら有難いのだが、案の定この2機はその後ほぼノーヒットで降りてしまった。
自分はここは弱くても上げきる事が大事とみて、4000mまで上げてからグライド開始。上げ切った頃に下の方にアレックスがやって来たので後続とのマージンも十分。問題は次にどこで上げ直すか。最後から2つ目のターンポイントを3200mでとったら、残り25km、ゴールからの対地高度2200m。少し足りない感じ。高度もあるし一つ西側の尾根を越えれば何とかなるだろう、とダイレクトのルートで進む。が期待のポイントでノーヒット。そのうちややシンク気味の大気にも捕まり、大きい谷を渡って尾根につけても吹おろし気味なのか全く上げてくれず、ゴールを2km程過ぎた所(ターンポイント2km手前)で断念し、無念のランディング。
テイクオフ前の嫌な予感が当たってしまい、最後の8kmにやられた。
30分後くらいにアレックスがトップでゴールしてきた。この日のゴール4名は皆テイクオフの山に迂回して低く戻り、渋く上げ直してというルートだった。他の選手は皆ダイレクトルートで私の後は誰もゴールランディングにも届かず、非常にトリッキーな終盤だった。
それにしても悔しい一本だった!

大会の成績は こちら
クラス1はクリスチャンがブッチギリで優勝、私は1本も勝てなかった。2位はここがお膝元のアレックス。3位も地元のエキスパート、カール・ライヒガー。
私は一応クラス5優勝、スコア的にはクラス1に混ぜると3位相当。いや、機体性能のお陰です。
女子はコリーナ1位、ついでサーシャ、磯本さん。
今回コリーナは圧倒的な浮きを見せていた。


エリアについて
ドロミテは夏に飛ぶのは条件が強すぎて非常に危険、とヨーロッパのハング界では割と広く信じられている。
今回実際に飛んで思ったのは、条件の過激さはグライフェンブルクと同じくらい。フライトで感じるプレッシャーのレベルはフランスのサンタンドレに並ぶ、かな。グライフェンブルクの方がどこに行っても谷が広い分少し安心感がある。
雲底が高くても風が弱ければサーマルは比較的安定していて、大気の挙動もそれほど不穏な気配はない。
ただし、風が18km/hも吹けばかなり荒れる可能性がある。これもグライフェンブルクやサンタンドレと同様。私は幸い遭遇していないが、北風のサンタンドレはかなり悪名高い。今回キャンセルになった日もフリーフライト中は気が抜けなかった。

テイクオフはいくつかあるようだが、今回大会のスタートとなったKronplatzはドロミテの北端に位置していて、北側にはオーストリアアルプスを望むことができる。上にはケーブルカーで登る。一回16ユーロくらい。ここは高度が高いので無風時にはテイクオフに気を使うが、サーマルは穏やか。ランディングはケーブルカーの駅の横と、10kmくらい離れたFalzesにある。どちらも広くて問題なし。
ドロミテに入ってもランディングはあるが、ほぼ100%スロープランディングになる。ランディングの場所を知らないと入っていけないような山もあるので、事前に情報を持っていた方が良い。今回の大会でダウンロードしたウエイポイントの1/3くらいはアウトランディングスポットだった。
ランディングスポットを知っていても初めてでここの山に入っていくのはかなり勇気がいる。アルプスの他のエリアなどで山岳飛行の経験があるパイロットなら多分問題無い。
Kronplatz の弱点はテイクオフが北向きのため、始まりが遅いこと。パラはTask3で入っていった谷の東向きの斜面から10時前にテイクオフして200-300km のトライアングルを飛んでいるが、Kronplatzからでは厳しそう。
もう一つのメジャーなテイクオフは Kronplatz から30kmほど南にある Canazei という所。ここは秋に穏やかに高く上がれるエリアとして人気がある。サンタンドレと似てる。
ちなみにクリスチャンもこの近くの出身らしい。世界チャンピオンを目指すならドロミテで飛ぶのが近道、かもしれない。

大会について
これまでに出た大会の中でも5本の指に入る素晴らしい大会だった。
何と言っても条件に恵まれたのが大きいが、オーガナイザーのフラビオ、タスクセッターのアレックスを始めとして運営が素晴らしく、また選手のレベルも非常に高かった。世界一のイタリアチームがメインだから当然か。。

今回初めて知ったのは、イタリアでのフライトにおいてはライブトラッキングが義務付けられている、ということ(”As disposed by the Italian National Regulations, the Live tracking System is MANDATORY”)。
安全の為なのかエアスペース監視の為なのかは分からない。
大会においてはライブトラッキングなしでフライトした場合にはそのタスクのスコアは0点になる、とお達しがあった。実際には現状100%信頼できるシステムではないので減点はなかったが、来年あたりはそういうペナルティが現実になりそう。来シーズン以降にヨーロッパ遠征を考えているフライヤーは、ライブトラッキング対策を万全に!
また、この大会では Livetrack24 のライブトラッキングのログをスコアリングに使用した。Flymaster のライブトラッキングはパラのコンペではスコアリングに使われているが、Livetrack24 の利用は私が知る限りでは初めて。初日はLivetrack24 のシステムが上手く動かなかったので全員バリオからのダウンロードだったが、その後はライブトラッキングが上手く行ったパイロットはログのダウンロード不要だった。ちなみに私は2勝2敗。スマホのアプリ(Richard Hunt Tracker)を使っていたが、1回はスタート直後にサーバーにログが送られなくなったというエラー、もう1回はログは問題なかったがターンポイントのシリンダーに入ったと認識されなかった(多分ギリギリでとったため)ためだった。
Livetrack 24 のログでスコアリングが済むようになると選手もスコアラーも随分と楽になるので、これはもっと広まってくれると皆ありがたいのではないだろうか。スマホでログをとっても、SeeYou Recorder とか GPSDump とかでG-record付きのIGCファイルが生成されれば正式にログとして認められるので、同じスマホでとったLivetrack24 のログだけがダメとされる理由はあまり無いように思う。











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