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邂逅 (2018/5/9 18:32:01)
トラが逝ってしまってからは、なにもする気がおきなかった。
しばらく無気力状態が続いた。思い出しては涙ぐむ始末。覚悟していたつもりだったが、つもりだけだったと思い知らされた。
約18年の歳月、ご飯をあげるルーチンはもうする必要がなくなっても、今もそのまま続けている。
仏様へのお供えみたいなものだと行動を正当化している。
いなくなってしまった現実は受け入れているつもりだけど、いわゆるペットロスになっていることは間違いない。
しかし何もしないわけにはいかず、無理やり仕事をこなしていく毎日。
文字通り全国を駆け回って、息つく間もなく働き続けた。
今年のゴールデンウィークは珍しく飛べる日が続いた。
あちこちでタンデムのヘルプをしたりして忙しく過ごし、連休も無事に終盤を迎えた。
京都パラパークにてタンデムフライトを終えると、どこからともなく仔猫の鳴き声が聞こえてきた。
最初は幻聴かと思ったけれど、間違いなく聞こえる。
鳴き声のする方へ導かれていくと、ケージの中になにやら黒っぽい塊がうごめいている。
中をのぞくと一斉に顔を上げ「ミャーミャーミャーミャー」の大合唱が始まった。まだ産まれて間もない仔猫たち。
校長に仔猫のことを尋ねると、お客さんの自宅で生まれた仔猫で誰かにもらってほしいとのことだった。
なぜか涙があふれ出した。
また慌ただしい子育ての日々が始まるのと、いつかは必ずやってくる別れの日。
この子たちが先に逝くか、ジブンが先に逝くか微妙な年頃だ。
そんな考えがグルグルと頭の中を巡り、トラに連れて帰るよと心の中で告げた。
5匹産まれたうちの一匹は既にもらわれていき、残る4匹のうちの2匹を家に連れて帰ることにした。
まだ病院へ連れて行っていないので、男の子か女の子かも分からないし名前も付けていない。