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link 飛行中年 飛行中年 (2024/5/21 17:25:08)

feed 信じられない事故が起きました…。 (2018/5/28 22:16:25)
先日、某エリアで今では信じられないような、基本的なミスが原因のハンググライダーの事故が起こりました。

原因は、カラビナのかけ間違い…。それによりパイロットは飛行中のハンググライダーから脱落…。

幸い、パイロットは脱落時にベースバーを握りしめ、そのまま地面近くまでぶら下がった状態だったため一命はとりとめましたが、落下衝撃により重傷をおいました。

で、その原因なのですが…。



本来は上の写真のようにカラビナをかけるはずだったのですが…。

実は…。



パイロットが間違えてこのようにかけてしまったようなのです…。

つまり…。

スイングラインの長さが合わなかったため、付け焼刃で別のスイングラインを二つ折りで付け足し、その上、そのスイングラインが外れないように紐で束ねていたようなのです。

で、その束ねた紐の方に、誤ってカラビナをかけてしまったようなのです…。

これではひとたまりもありません…。

紐は簡単に切れてしまうでしょう…。



この事故。あまりにミスが多く、問題点がありすぎます。

第一に、なぜこのような付け焼刃的なスイングラインのつけ方をしたのでしょうか?

これではカラビナのかけ間違いが起こりやすいため、事故になって当たり前です。


二番目に、なぜスイングラインを紐で結わえていたのでしょうか?

このようなことをしては、その紐にカラビナがかかってしまう可能性があり、大変危険です。


三番目に、なぜサブラインをとっていなかったのでしょうか?

ハンググライダーのスイングラインというものは、メインとサブと二つとるのが常識です。

これは、航空機でいう「フェールセーフ」の考えで、メインがだめになってもサブが効いてくれるという考えですが…。

今回の事故では、サブをとっていなかったためにパイロットが落下してしまいました。


四番目に、なぜこのような危険な状態でパイロットがハンググライダーを乗っていたのに、周りの人間が注意しなかったのか?という事です。

これはあからさまに危険です。

こんな危険な状態で、もし仲間が空を飛ぼうとしていたならば、私ならば即座に注意しています。

なぜ、この危険なスイングラインの状態でのフライトを、まわりの人間は注意しなかったのか…。


今回のこの事故については、正直、なぜこんな初歩的ミスが原因の事故が起こってしまったのか、あまりに疑問点が多すぎるのです…。

上記の四つがすべて重なり合わないと、このような事故は起こり得ないのです。




ここからは私の推測なのですが、今、ハンググライダー界では「知識の空洞化」が起こっているのではないでしょうか?

ハンググライダー人口もかなり少なくなり、必要な情報がハングフライヤーにうまく伝えられない状態になっているのではないのかと思えるのです。

不幸にして近年起こってしまった事故を見てみると…。

ハードウェアが起因する事故はなくなり、代りにヒューマンエラーによる事故が大半を占めているのです。

わかりやすく言えば、人間の不注意による事故といってもいいと思います。

これらの事故は、過去同様の内容で起こったものが多く、そのような事故が起こったという情報が伝わっていないように思えるのです。

今回の事故も、全く同じ内容のものが30年ほど前にありました。

そして、これは特に私がこの業界で仕事をしているから感じるのかもしれないのですが、「空を飛ぶ適正がもともとない方が増えているのではないか?」という事なのです。

人には翼がありません。しかし、人には空を飛ぶための知恵があります。

人はその知恵を使って、空を飛んでいます。

しかし…。

その知恵が無ければ、人は空から落ちてします。

この「知恵」を使わない方が増えているように思えるのです。

一目見て、「これは危険!」と認識することができず、人が空を飛べるのが当たり前のように考えて、ろくに考えずに事故が起こるまで飛び続けてしまう方が増えているように私には思えるのです。



ずいぶん昔ですが、私は若いころ受けた航空整備の授業の始まりの時、先生が決まって生徒に答えさせていたことがあります。

「飛行機は飛ぶものですか?落ちるものですか?」

この質問の答えは「飛行機は落ちるもの…。」

航空機を運用するものが飛行機は飛ぶものなんて考えていたら、事故が起こって大変な事になってしまいます。

いかに事故が起こらないようにするか…それを考えるのが航空機を運用する者の役目なのです。


今のハングフライヤーは、「ハンググライダーは飛ぶもの」と信じ込んでいるのではないでしょうか?

これは大きな間違い!

ハンググライダーは今回のような些細なミスでも、それが重なり合えば、事故につながってしまいます。



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