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feed 第37回デサントバードマンカップ獅子吼2018 (2018/8/7 22:41:14)

レポート:藤野 光一

7月上旬に梅雨明けを迎えた北陸地方でも毎日が30℃を超える猛暑、酷暑の日が続き、夏の大会として定着した「デサントバードマンカップ獅子吼」は、好天と暑い日差しに加え、今年は例年になくカラッとした爽やかな風が選手たちを迎えてくれました。

第37回を数えるこの大会が夏開催になったのは2012年からですが、少しデータを紐解いてみると抜群の成立率に気付くことができます。

2012年7月26・27日開催 2本成立

2013年8月10・11日開催 2本成立

2014年8月2・3日開催 1本成立

2015年8月1・2日開催 2本成立

2016年8月6・7日開催 2本成立

2017年8月5・6日開催 2本成立

と、全日程12日中11本のタスクが成立し、その成立率は91.7%になります。昨年から成立に恵まれていないN2リーグの選手にとっては、今年のリーグ戦を左右することはもちろん、両リーグ共に日本グランプリ対象大会にもなっていることで、この大会が成立しもたらされる結果は、選手にとって重要な意味を持つことになるでしょう。

1日目

朝から強い日差しが照り付ける獅子吼高原ですが、選手たちは受付を済ませて開会式が行われるパーク獅子吼まで徒歩で移動です。

開会式では来賓の方々からお祝いのお言葉を頂戴した後、昨年のチャレンジリーグチャンピオンである谷藤公明選手による選手宣誓で戦いの幕が切って落とされました。

気象予想としては北から西よりの風が終日続き、サーマルトップは1200mくらいと想定。タスクコミッティーは日本グランプリと言うことはもちろん、暑い地上よりも空中の涼しい獅子吼高原をたくさん飛んで満喫して欲しいと言うコンセプトのもと、N2リーグは実距離28.8Km、チャレンジリーグは実距離17.1Kmのいずれもレースタスクを設定しました。

チャレンジリーグのWindow openは10時45分、Departure openは11時15分。N2リーグのWindow openは11時15分、Departure openは12時ジャスト。N2リーグは今年ナショナルリーグで試験的に取り入れているアーリーバードも採用しました。両リーグ共に長く飛ぶことができるように、リフライトを認めてTask Close時刻を18時としました。

先にテイクオフして行ったチャレンジの選手たちは、思うように上がらないコンディションに苦労しながらも、果敢にタスクをこなそうと機をうかがいながらステイを続けます。しかし、中には力尽きてランディングしてしまいリフライトに臨む選手も見受けられましたが、みなさん諦めずにフライトを楽しんだようです。
そんな予想に反して厳しいコンディションの中を着実に駒を進めた秋田のゼッケン522貝田選手が初日見事にトップゴールを決めました。17Kmタスクで1時間18分は、かなり渋いコンディションだったことをうかがわせます。2位は富山のゼッケン557関口選手、3位は同じく富山のゼッケン535渡部選手がフィニッシュ。チャレンジリーグは13名の選手がゴールを決めてくれました。

N2リーグも同じく前半戦は厳しいコンディションの中、我慢を強いられる展開となりました。予想されたスピードレースにはならず、着実かつ効率的に先へ進んだ選手が勝利を手に出来るシチュエーションとなりました。そんな中、今年ナショナルリーグでも絶好調のゼッケン26中島選手がスタート直後から先行することに成功。他の選手を寄せ付けずに終始安定したフライトでダントツのトップゴールを決めました。その中島選手を追走したのがゼッケン44田村選手。中島選手に遅れること僅か57秒でフィニッシュ。以降も続々とゴール者が続き、N2リーグは16名の選手がゴールとなりました。
そんな中、こちらもリフライトに臨んだ選手が最後まで諦めずにフライトを続けていました。ゼッケン70関根睦選手は、弱くなりつつあるコンディションを丁寧に飛びながら、タスククローズの18時ギリギリまで頑張っていました。夏の獅子吼とは言えさすがに18時前になるとサーマルはなく、最終TPであるB76を取ることは叶わず無念のランディングとなりましたが、その姿は既にランディングして一息ついていた選手たちが応援しながら見ていたことをお伝えしておきます。
N2リーグの初日は26中島選手がトップ、44田村選手が2位、51田前英代選手が3位となりました。

タスク後は、ランディング横に用意されたカキ氷や冷たい飲み物、トコロテンや冷たいスイカが選手に振る舞われ、フライトに疲れた選手の喉やお腹を満たしていました。

明日は少々風が強い予報になっていますが、果たしてどうなるでしょうか?

2日目

2日目の朝も快晴。コンディションは昨日よりも抜群に良さそうに見えます。しかし、気象データはやや強めの西風を示していました。テイクオフでも9時過ぎと言う早い時間ながらも、既に風は強めの西風が入っており、今後の推移に注意が必要でした。

西風の場合、獅子吼は多少強めであってもフライトに支障がないケースが多く、今回もそうであることを願いながら、選手にはブリーフィングで状況を説明。タスクを行う方向であることと、タスクは昨日と同じものを予定していることを伝えてダミーフライトの状況を確認することに。

テイクオフにいると時折強めの風が吹き付けるものの、フライトしていればそれ程問題ないと言うダミーパイロットからのレポート。気象データも強めとは言いながらも、今後もほぼ同程度の風で推移することを示しており、十分タスクが可能であると判断して競技を行うことになりました。

2日目もチャレンジリーグからスタート。Window openは10時45分、Departure openは11時15分。N2リーグのWindow openは11時15分、Departure openは12時ジャストと昨日と同じ設定。

時折強めの風が入ることがあるものの、選手は果敢に空中へ飛び出していきます。

昨日と違って風は強めながらも上昇成分はしっかりとあり、稜線よりも後ろに行かないように注意さえすれば十分にタスクが出来るコンディション。選手ももれなく高度を取って高いところからレースをスタートして行きます。強めの風が作り出すリッジリフト帯は、上げなくてもコースさえ気を付ければ高速でタスクをこなす手助けをしてくれます。それを十分知っているゼッケン501中村選手が飛ばしに飛ばして僅か38分足らずでトップゴールを決めました。追随したゼッケン504斎藤選手がその2分後にゴール、セカンド集団を形成していたゼッケン517谷藤幸子選手が3位でゴールし、今日も16名の選手がゴールメイクです。

N2リーグは完全なスピードレースとなりました。スタートの12時と同時にSSSをカットし、B65の200mシリンダーをカットした選手の中からゼッケン9中島選手、ゼッケン26中島選手、ゼッケン16関根選手、ゼッケン17藤野選手の通称「大人げない」集団がトップグループを形成してタスクを進めます。ナショナルリーグにも参戦しているこの4名の機体はBoomerang10とENZO3と言うCCC機。後続を置き去りにしてまったく回すことなく直線的にタスクをこなすものの、終盤のB73白山町交差点で大波乱。先頭を引っ張っていた9中島選手を追走した26中島選手、17藤野選手は期待した六角タンク付近のサーマルに見放されてランディング。これだからパラグライダーの大会はわかりません。ただ一人高く移動していた16関根選手だけがB73を高くリターン。事実上のファイナルグライドへ入り余裕のトップゴールを決めました。それを見ていた後続の選手は、しっかり高度を取ってタスクをこなし今日は28名の大量ゴールとなりました。
2位は昨日に引き続きゼッケン44田村選手、3位にはゼッケン22高木選手が入りました。

結果

終わってみれば、初日は渋いながらも尻上がりのコンディションでタスククローズギリギリまで飛ぶことができ、2日目は心配された強風にはならず終日素晴らしいコンディションで競技を行うことができました。選手からは「同じタスクなのにコンディションの違いでまったく違う攻め方になることが分かって勉強になった」とか「たくさん飛べて楽しかった」と言う嬉しい声が聞かれました。

チャレンジリーグ総合

優勝 504斎藤 光秋 Gin-EXPLORER

準優勝 557関口 敏夫 Nova-MENTOR5

3位 522貝田 仁 Gin-Carrera+

4位 535渡部 祥 Nova-MENTOR5 Light

5位 502岩野おさむ Advance-IOTA2

6位 501中村 裕昭 Niviuk-ARTIK3

チャレンジリーグ女子

優勝 517谷藤 幸子 Advance-SIGMA10

準優勝 524小名木伸枝 Nova-MENTOR5 Light

チャレンジリーグチーム戦

優勝 今井浜(斎藤、谷藤、岩野)

優勝 チーム立山(関口、渡部、東、小名木、中村)

3位 コンタ君(阿部、飯塚)

N2リーグ総合

優勝 44田村 昌久 Niviuk-PEAK4

準優勝 16関根 順 Ozone-ENZO3

3位 325小熊 健 Gradient-Aspen5

4位 26中島 義雅 Ozone-ENZO3

5位 22高木 弘志 Niviuk-ARTIK5

6位 17藤野 光一 Gin-Boomerang10

N2リーグ女子

優勝 51田前 英代 Niviuk-ICEPEAK7

準優勝 20小森さちよ Niviuk-ICEPEAK6

3位 335柏倉 恵美 BGD-CURE

4位 311千葉 恵 Gin-EXPLORER

5位 70関根 睦 Ozone-LM6

6位 39河野 美樹 Niviuk-PEAK4

N2リーグチーム戦

優勝 KPS(中島、清水)

優勝 とちおとこ(関根、田村、谷藤、西川、園部)

3位 PinCOO(平松、中川、中久喜、工藤)

N2リーグWinner

日本グランプリ

2018年チャレンジリーグ日本グランプリチャンピオン

2018年のチャレンジリーグ日本グランプリチャンピオンは、斎藤光秋選手と谷藤幸子選手に決まりました。おめでとうございます。お二人は昨年に引き続き2度目の日本グランプリ受賞となります。

2018年N2リーグ日本グランプリチャンピオン

2018年のN2リーグ日本グランプリチャンピオンは、田村昌久選手と田前英代選手に決まりました。おめでとうございます。

第37回デサントバードマンカップ獅子吼2018は、素晴らしい天候と素晴らしいフライトによって無事終えることが出いました。参加いただいた選手の皆様を始め、長きにわたり協賛いただいておるデサント社には心より御礼申し上げます。また、白山市や地元関係者の方々、スカイ獅子吼パラグライダースクールと大会スタッフの皆様にも、この場をお借りして御礼申し上げます。

来年もここ獅子吼の地で、皆様の素晴らしいフライトが見られることを期待しております。



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