ホーム >> RSSセンター >> 高嶺カップ 2018

RSSセンター

  メイン  |  簡易ヘッドライン  

link 競技事業部|日本パラグライダー協会(JPA) 競技事業部|日本パラグライダー協会(JPA) (2024/12/26 8:58:23)

feed 高嶺カップ 2018 (2018/10/27 14:15:59)

レポート 鈴村恵司(競技委員長)

N2リーグ、チャレンジリーグ併催大会で実績を積み、’17年シーズンからナショナルリーグ、チャレンジリーグ併催大会に様式を変えたこの大会、昨年は、残念ながら二日間とも雨で不成立となった。天気ばかりは…と判っていても、“今年こそは”の思いは強い。
願いはかない、結果としてナショナルは昨年から設定されたエリアのある平谷村の隣の、さらにその隣のマチの新野のゴールに5名が到達し1タスク、チャレンジは2タスクが見事成立した(チャレンジは2タスクともにゴール者が出なかったのは残念だった)。

【一日目】

「何が良いって天気が良い」といった朝。風は西風弱めで、午後から中層雲が濃くなる天気予報。チャレンジは定番のTOのある高嶺山側で三角パイロンを2周し、国道を空中で横切った位置のLD周りの三角パイロンをやはり2周する約17kmのタスク。ナショナルは、LD側から高嶺側に戻り、さらにLD側でも三角パイロンを巡る約38kmのタスク。ナショナルタスクは、新野ゴールを使うタスクの提案に対して、午後から雨を予測している天気予報もありリスク大とタスクコミッティの判断により設定されたものである。
PCL タスクはこちら
PNL タスクはこちら

果たして残念ながら雨予報は当たってしまう。チャレンジデパーチャオープン15分後、ナショナルはデパーチャオープン15分前の12:00に雨によりタスクストップとなる。数年前の大会で急速な雨雲の発達(来襲?)に多くのグライダーが失速におびえながら高度処理していたシーンが思い出される。実際この日もタスクストップ後、1時間近く雨やみを待ってのフライダウンでも雨に祟られた選手が出てしまった。
ともあれチャレンジは15分間の短い試合時間の中、トップの中村選手が9kmを飛び、得点も240点となるタスクが成立。高嶺側の三角パイロン2周をクリアし、LD側に向かう途中でのタスクストップだったようで、つまりこの時、中村選手が先頭だったということだ。
N2クラス選手で構成されたオープンクラスでは袴田選手がトップを取った。
PCL総合TASK1の結果
PCLオープンクラスTASK1の結果

なんだかんだとは言え、飛べた日のパーティは盛り上がる。もともと予報的には日曜が本番だとみんな思っていた。遠すぎてぼんやりしていた「来年こそは」の思いは、はっきりとした「明日こそは」に変わってゆく。
パーティの様子はこちら

【二日目】

昨日は雨の影響で南東風だったが、高嶺山は南西風で飛ぶのが基本である。その通りの風が吹くものと週末前までは思っていた。しかし、この日の予報は、標高800m辺りは南西風ながら高嶺TOの標高1500m辺りは午後過ぎまで北北東風、そして現実も南西向きのTOの裏側から強い北風が入ってきていた。但し、標高1500mからの雲底高度は3000m!、
果たしてどうなるのか、いわゆる胃が痛い状況の中で選手もスタッフも待つことになった。

北風に打ち勝つ南西風の到来、雲底高度3000m。飛べればきっと“とても”良くなる(はず)の予測のもと、ナショナルはLD側から山頂側を2回リターンし、ゴールに向かう45kmタスク。チャレンジはLD側の三角パイロンを1周増やした20kmタスクを設定した。
PCLのタスクはこちら
PNLのタスクはこちら

願いは、かなって11時過ぎから南西風になりウインドダミーも空中待機。11時50分からチャレンジのウィンドウオープンでゲームスタート。予測外だったのがTOに吹きつける風がサーマルまじりで強くなったこと。チャレンジのグライダーでも立ち上げると持っていかれて右往左往。ましてやナショナルの高性能グライダーはヒヤヒヤするTOシーンが展開した(でもトラブルはなかった、良かった。)。さらに予測外がもう一つ、サーマルトップはとても3000mとはいかない、どちらかといえば渋いコンディションとなったこと。
チャレンジの選手たちは高嶺側をこなし、LD側に向かったがサーマルに恵まれずにゴール者なし。飯塚、岩野、谷藤(幸)、松岡の4名が僅差で飛行距離を争った。PCLオープンクラスは谷藤(公)選手がトップ。
PCL総合TASK2の結果
PCLオープンクラスTASK2の結果

ナショナルのトップグループは高嶺側でしっかり上げてLDに向かいLD側サーマルを使わずにリターン。そして後続組は時間経過とともに活発になったLD側のサーマルで上げなおしてのリターンを始める。しかし平均速度があげられないコンディションの中、高嶺側とLD側の2リターンの完遂は大半の選手には難しかった。トップグループ5名の内の高杉、扇澤、中村、稲見の4名が集団でゴール。少し遅れて追従していた薬師寺がゴール行の最終切符を手に入れたもののゴールは5名にとどまった。レース中盤でトップを引いた扇澤選手が高いリードアウト得点を得て、ゴール到達はトップであった稲見選手を抑えて1位。レース序盤を制していた高杉選手もリードアウト得点を活かして2位を得た。女子は’15年の高嶺N2リーグで強い印象を残した片貝選手が1位となった(片貝選手は総合でも9位)。
PNL総合の結果はこちら
PNL女子クラスの結果はこちら

ナショナルはタスク2成績が大会成績だが、チャレンジの大会成績は2タスク合計となる。チャレンジ総合は岩野選手が松岡選手を僅差で抑えて優勝。オープンクラスは谷藤(公)選手がトップとなった。
高嶺カップPCL総合の結果はこちら
高嶺カップPCLオープンクラスの結果はこちら

見事大会成立。しかし課題も残った。チャレンジリーグは高嶺側のパイロンを増やして時間をかせげばLD側のサーマルを楽しんでもらえたのではないか。ナショナルの2リターンは長すぎた。サーマルトップ3000mを本当に信じていたのか、与えられた数値に流されてしまったのではないか。まったく自らを騙すことほど、たやすいことはない。
そう次の「来年こそは」が始まったということだ。

長野県側からでも愛知県側からでも岐阜県側からでも高速を降りて1時間ぐらいはかかる。関東から見れば南アルプスを大きく回りこむ、どこからも近くはないロケーション。一番近いコンビニは車で30分。しかし他では経験できない山岳コンディションでのフライト、晴れた日には伊勢湾が光り、少し上げれば南アルプス越しに富士山が見えるといった、ここならではの特徴も持つ。また、この時期、紅葉もきれいです。今年いらした方、来られなかった方、そして新たに参加を考えている方、どうか今後とも高嶺カップをよろしくお願いします。

>最後に高嶺山頂西側の紅葉、多くのPNL選手は目にしたはず。



execution time : 0.006 sec