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feed ハンググライダーの整備方法。 (2019/9/8 16:22:02)
現在、JHF(日本ハング・パラグライディング連盟)の、ハンググライダー整備認定者は、その多くが60歳以上!

これでは、近い将来ハンググライダーの整備が行えなくなってしまいます…。

ということで、今回はハンググライダーの整備の基本をご紹介しておきたいと思います。

もし、ご自分で実際にこの作業にチャレンジしたい方は、まずは上記のハンググライダー整備認定者の指導を受けてください。


まずは翼端のセール留めから外します。



ベルトでとまっている機体もありますが、写真の機体はカーブドチップ機なので、クレビスピンで留まっています。

次はノーズ側のセール留め。



このスクリューを外します。

あとはキールポケットのセール留めを外します。

この機体はリアワイヤーと共に留められているので、このボルトを取ることになります。

同時にリアワイヤーも外せるので、作業が楽ですね!



ハンググライダーのセールは、上記の三か所で留められているんですね!

次は、フレームを取り出すために、まずはワイヤーを外していきます。

今回の機体はウイルスウイング社のもののため、コントロールバーの先端や、キングポストの先端で取り外します。

しかし、他のメーカーの場合、フレーム側、つまり、スパーやあるいはクロスバー側でワイヤーを外す方が効率的になります。




まずはコントロールバー先端部の黒いブラケットを外します。

リア、フロントワイヤーが簡単に取れますね!そして、フライングワイヤーも外します。

次はキングポスト側。



中央のスクリューを外せば、左右のランディングワイヤー、フロント、リア、そして、ピッグテールワイヤー(ラフラインを留めるワイヤーのこと。

これ、ウイルスウイング社での正式名称なんです!)が簡単に外せます。

次は、リアスパーを抜きます。



リアスパーを抜いておくと、フレームをセールから抜き取る時が楽です。

組み立てるときはこの逆で、フレーム本体をセールに入れた後にリアスパーを入れると、作業が楽になります。



フレームを抜き取るときに、キングポストが後ろに倒れていないといけないので、後ろに倒します。

この機体の場合は、そのままではキングポストが後ろに倒れないので、仕方がないので根元のボルトを外してしまいます。

以上の作業を済ませて、ノーズの方からフレームを引っ張ると…。



フレームが抜けてくれます。



後は作業台に乗せて、ゆっくりフレームをチェックすれば良いわけですね!

ちなみに、私の場合、ここまでがだいたい20分くらいです。



各ボルトを抜き取って、すべてのパーツをチェックしていきます。

同時にフレームの異常やボルト穴の周りなどのチェックします。(異種金属同士が当たるため、腐食が起こりやすい)。

また、チェック後ボルトを締める要領なのですが、絶対に強い力で締めてはいけません!

ボルトを強い力で締める理由は、ナットが取れないようにするため…。しかし、ハンググライダーの場合は、

セルフロックナットが使われていますから、強い力で締める必要がないんです!

一つの要領として、上の写真のように、指で締める方法があります。この程度の締め付け力が適正になります。



ウイルスウイング社の場合、ボルトの抜け止めはOリングが使用されていますが、私はこのリングが取れるのを防ぐために、上のようにテープを貼って

います。

いくらかはマシになるようです。

フレームのチェックが終わったら組み立てです。

私の場合は下の写真のようにセールをV字型に広げてフレームを突っ込みますが、人によってはセールを横にした状態で入れたりしますね!

最近の機体は、セール内にベルクロやリブがあるので、私は写真のV字型をお勧めします。



ベルクロやリブの内側をフレームが通らないように、フレームを目いっぱいに広げながらセール内に挿入していきます。

次に、外したキングポストを取り付けます。

くれぐれも、ワイヤーの配置に注意してください!

この辺は複雑なことが多いので、オーバーホール前に写真を撮っておくことをお勧めします。



リアスパーを突っ込みますが、ダイブスティックの配置に注意してください。



先ほどとは逆手順でワイヤー、ボルト、ピンを取り付け、最後はノーズのスクリューセール留めを取り付けますが、これは、機体を広げて行

った方が、楽に取り付けることが出来ます。



組みあがった機体は、隅々までチェックしてください。

出来ればこの時、自分だけでなく、もう一人機体に詳しい方にチェックしてもらうと良いです。

これにより、思い込みなどによる機体の組み立てミスを防ぐことが出来ます。

(昔、私が訪問した、オーストラリアのエアボーン社は、必ず二名でチェックしていました。)


だいたいこのような工程で、ハンググライダーのオーバーホールは進められます。

近い将来、ハンググライダー整備認定者の数が激減するはずなので、何とかこの技術をつなげていきたいものです…。

 


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