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feed Youth camp 2019 in Takikawa レポート(サーマル・ウェーブ・リッジでの飛び方) (2019/9/20 9:19:54)
2019年8月12日~16日
Soarist が主催する「Youth Camp 2019」にインストラクター、スタッフとして参加しました。

Soaristは 2018WGCクルーの吉岡利典さん と吉岡名保恵さんが主催する「若いグライダーパイロットにソアリングの楽しみを伝えるために集まったチーム」で、TEAM MARUの丸山と赤石もメンバーとして活動しています。「ユースパイロットを対象としたソアリングの実践の場と魅力を伝える機会を作り、空の魅力を次の世代に伝えることが出来るココロザシのあるユースパイロットを育てる」活動の1つとしてYouth campを行っています。
今年は北海道滝川市にある たきかわスカイパーク でYouth campを行いました。

台風の接近に伴い、フライトコンディションの見通しの難しい週になりましたが、5日中5日間フライトでき、内3日は ソアリングコンディション(サーマル、ウエーブ、サーマル+リッジ+コンバージェンス) になりました。これらの様子と飛び方をレポートします。
*さらにキャンプ終了後に延泊した2名のユースは台風通過後の西風ウエーブコンディションも楽しめました!

【チェックフライト】Aug.12(Mon) / Camp初日
今回はYouth5名が参加。曇り空となりましたが、まずはチェックフライトへ!
たきかわスカイパーク
ヨーロッパのグライダークラブのスタイルで作られており、遊具やベンチもあります。

朝の準備風景。ハンガー(格納庫)からグライダーを出し、車で牽引して滑走路まで運びます。作業は省力化して、フライトを考えることに集中できる環境です

グライダーのチェック中

Maruはインストラクターとして参加です

①【サーマルコンディションで飛ぶ】  Aug.13(Tue) / Camp2日目 
8/13 晴れています
単座のシート慣熟をするユース。フライトコンピューター利用方法、重心位置などをアドバイスするMaru。
キャンプ二日目はサーマルコンディション になりました。010から5m/s位の風です。10:30過ぎに積雲は町の上でスタートしたものの、雲の下を試してみてもイマイチぱっとせず、リフトとしてまとまっているのは滑空場横の川の合流点の手前、暖められた町の空気が北寄りの風で土手と線路の交点からトリガーされているところのみでした。上がりきって別の場所を試してみるものの、トップが2,500-30,00ftで次のリフトに届かず、周りのリフトもあまりよくないことから同じ場所で上げ直す状況が続きました。とはいえ、リフトさえあれば何度でも同じリフトに入り直してクライムすることで以下のような練習は可能です。
サーマリングをする上で大事なことは、前提知識に基づいて、上昇気流のイメージを作り、上昇気流のイメージの中のどこに自分がポジション出来ているかを意識することから始まります。
  • 前提知識
  • リフトソースの理解
    • リフトの発生を理解するには日射、風、トリガーの3つのポイントを常に意識します。リフトに当たったらそのリフトは何から発生しているのか、上記3点のポイントを意識して整理します。整理できていると次回同じ条件にあたったとき、別の滑空場で遭遇してもリフト要素を整理してトライすることが出来、上昇の再現性を高めることにつながります。
    • この日の上昇の場合、町で温められた空気が北寄りの風に流されて、空知川の土手と鉄道(根室本線 滝川から富良野へ向かっている)の土手の交点からトリガーされて上昇しています。同様の状況は板倉の周辺でいえば渡良瀬川の土手と東北自動車道(土盛りされて高くなっている)の橋の交点から発生するリフトがあります。
    • 例えば板倉でフライトするときであれば、南風コンディションであれば藤岡の町で暖められた空気が三本橋の土手でトリガーされている、三毳山のどこの谷に空気が当たってどこの尾根から空気が離れてきているか、太平山ではどうか。東風コンディションであれば佐野の町で温められた空気が秋山川の土手をトリガーにあがってくる、などがあります。
    • 平野に見えても微妙な地面の高低があります。昔からお百姓さんが住んでいる集落は水害を避けて土地が高いところを選択していますのでリフトソースになる確率が高まります。逆に新興住宅地は田んぼを埋めて作っているので、実は湿っていたりします。お寺、神社、お城があったところは土地が高いところが多いです。xx塚、のような地名も土地の高さを表します。
    • スポーツは感覚的なものです。グライダーもスポーツなので感覚が大事なことはその通りです。とはいえ、感覚のみに依存していると感覚がずれたときに良いプレーを再現できません。再現性を高めることはスポーツの上達のコツの一つになり、その手段が言語化です。グライダーに当てはめて考えた場合、どのように再現性をたかめられるか、現象の要因を理解できるが鍵になります。再現性を高める一つのポイントが根拠です。根拠を持った言語化で練習生の再現性を高めさせるための気づきを与えられることはインストラクターの喜びです。
  • リフトの形の理解
    • サーマルのモデルについて、円筒形に書かれたモデルがありますが、実際の形は円筒とは異なります。 下層では狭く、上層では広がり ます。また、コアは一カ所では無く、 広い「リフトエリア」の中に「複数のコア(強弱がある)」が存在 している状況です。その中でも 本当に良いコア(下層から上層まで連続的につながっている)は限られて います(相対的に強いコアが上層までつながる良いコアになります。弱いコアは途中の逆転層で止まってしまってトップまで上がりきれない場合があります)。 低層での狭い複数のコアは高度があがると一つの安定したリフトにまとまり ます(たこ足)。
    • また、 逆転層は思っている以上の頻度で存在 しており、 逆転層の存在はコアのセンターを細かくシフト させます。下から上までまっすぐ続いている上昇気流はほとんどありません。
    • リフト周辺には湧き上がった空気が下がっている沈下帯が存在 することを理解していること。また、その 境目は上下方向のシア(周辺の下降流とリフトの上昇流)による乱流が存在している ことを理解していること。
    • リフトのあたりをつけて目指して 接近している手前で沈下に入り、さらに直前になると乱流域を通過してリフトエリアに入ること を理解すること。この二つを感じられるようになるとリフトに自信をもって接近できるようになります。
    • 人間が感じられるのは加速度です(速度の微分値)、等速度運動に入ると変化していないので人間は感じられません。周辺の沈下からコアの手前までは沈下状態であっても上方の加速度が続きますのでこの段階では感覚だけで無くリフトの絶対値として計器の確認は必要です。コアに入ると等速度運動になります。
    • よくある失敗
    • 当たったらすぐにまわる(周辺のガストで回ってしまう、継続的なリフトになっていない)
    • 持ち上げられたのを認識できていない(緊張状態で加速度を感じる感覚が鈍っている)
    • 回り始めてリフトが続いていないのにターンを続けてしまう(ロールイン時にエネルギーの継続を意識できてない、まわることに意識が行き過ぎている)
    • まだ加速度の段階なのに回り始めてしまう(早すぎてしまい半周しかリフトに入らない)
    • リフトの中でさらにブローが来たことに対応できない(センタリングが一度確立すると安心して気を抜いてしまう)
  • 旋回のサイズ、バンクと沈下率
    • どの速度、バンクで回るとどれくらいの旋回直径になるか?
      • 90km/hバンク20度、30度、45度、60度の旋回の直径はどれくらい違うか?
      • 20度 371m
      • 30度 234m
      • 45度 135m
      • 60度 78m
      • 20度バンクと45度バンクでは倍以上違う!
    • バンク20度、30度、45度、60度旋回時の旋回半径と沈下率はどの程度の違いがあるか?
      • バンク60度旋回が本当にサーマリングで有効か?
      • バンク45度 沈下率1.0m/s
      • バンク60度 沈下率2.0m/s
      • 沈下率が倍も違う!
    • バンク30度~45度を用いるのが有効 。緩バンクではリフトにとどまれない。深すぎるバンクはそれだけ強いセンターが無い限りは有効で無い
  • リフトを感じながらのロールイン、ロールアウト
    • リフト周辺の沈下帯を過ぎて、 「リフトエリア」に入ったら「サーチ、トライ」 です。いきなり回れることはあまりありません。
    • グライダーの旋回の目的は「方向を変えること」だけではありません。 ソアリングの際にロールインする際のエネルギーを感じること がグライダーの旋回の目的の一つです。
    • ロールイン時に継続的な空気の上方へのエネルギーを感じているか ?感じられているか?感じようとしているか?
    • 旋回確立後のセンタリングの話は多々書かれていますが、私が大事に思っているのは ロールイン開始時に継続的にリフトを感じてそのままリフト旋回を継続するか否かを決定すること です(継続的な上方向エネルギーがあり上方向エネルギー変化加速度が一定になったときにターン開始、)、ロールインしながらなおも継続的な上方向のエネルギーがあるか?ある場合はターン継続、 無かった場合はロールアウトして近辺をサーチ します。
    • リフトエリアに入ってから、 持ち上げられると思われる方向に寄せていき、継続的に持ち上げられる感じがあったときにその方向にターンをトライ します、 さらに継続的に押し戻されるくらいに持ち上げられる感じがしたら、持ち上げられる空気に押し負けないようにさらに加速度的に舵を使ってバンクを入れてターンしていきます 。仮にターンし始めたときにターン方向に落ちていく感じ(空気が継続的に持ち上がっていかない感じ)がしたらロールアウトします。ロールアウト時も逆方向から持ち上げられるエネルギーがあるかどうかを感じながらロールアウトします( サーチしている段階では近傍にコアが存在しているケースが多いですのでトライしてみて、逆方向にあることは良くあること です)。いずれにせよリフトエリアに入れていれば近くにはコアはあるはずなので同様に周辺をサーチします。
    • いい感じで継続的に持ち上げられる感じがしたらさらにそのままターン継続。機械バリオでリフトの強さをチェック。 その中でさらにブローが来たらさらに絞り込み ます。
    • ロールイン時のエネルギーを感じるのに大事なことはロールイン時に滑っていないこと です。
    • 加速度的にエルロンを動かすことで空気の流れ(流体)がなめらかに変化していき、舵は効いていきます )。グライダーが思ったように動くように舵を使えるようなることが大事です。
    • 良くある失敗
    • 滑っている状態だとグライダーに人工的なGを作り出している状態になり、空気が上方向に押す力を正しく感じることが出来なくなります。(内滑り→外側にGがかかる。外滑り→旋回内側に落ちていく感じ)
    • ロールイン時に滑らさない操作をできている人、気にしている人は多くありません。これはおそらく ロールインの際に「ソアリングのための空気のエネルギーを感じる」ということへの意識が 低い ためと思われます。(まわろうとして焦って舵を急に動かしてしまい、空気の流れの中に立て板を立てるようにエルロンを動かしてしまうと、乱流が発生するだけで舵は効きません。
    • ロールイン時にエネルギーを感じている人も多くありません。グライダーの挙動を見ているとロールインはしようとしているのですが、リフトに押し返されて、バンクが入っていって無いにもかかわらず、ストロークの半分くらいしか家事を使っていなくて、それ以上舵を使えるのに使わず(使えずに)に待ってしまっている人が多いです。この場合は押し返しに負けないようにさらにエルロンとラダーで押し込んでバンクしていきます。
    • ロールインでフルストローク使い切れないのは何故でしょうか?おそらく、練習初期の段階で「小さな舵を使う」ことをすり込まれすぎているために、 舵をフルストローク使ってグライダーを自由自在に動かすことへのメンタルバリア になっていると思われます( 思い込み、固定概念、心の壁 )。
    • フルストローク使えないメンタルバリアを打ち破るためのトレーニングとして私が練習生に実施させているトレーニングは、 バンク45度180度蛇行をフルストローク使って、蛇行の切り返しの際に止まらずにそのまま逆側に連続的に切り返してロールインしていくトレーニング を実施させています。ポイントは以下です
    • 最初に正しいデモを見せることはとても大事 です。見て、真似る、のはとても大事なことです。デモの際にどこにポイントを置くかを補足説明します。これによりどこに注意点を置けば良いか、何が正しい操縦かを理解してもらいます。
    • 間違ったデモを見せると間違ったインプットになります。間違ったインプットは修正するのに時間がかかります。デモを見せることで、どこまでのストロークで舵を使えば良いのかを理解させることも大事なことです(メンタルバリアで暗黙的にここまでしか舵を使うべきで無いと思っている気持ちを超えさせる)
    • 速度は95-100k/h程度で行うのが楽です。
    • 切り替えしの停止方向は最初はそれほど意識しなくて良いです。それよりもスムーズにノーズが流れていくことに意識 させます。
    • ノーズの流れ方に意識 を置きます。通常ターン開始はエルロンから入っていき、エルロン抵抗でノーズが逆方向に流れて行くのを打ち消すためにラダーを踏んでいき、バンクがついて仮想Gが増えてノーズが下がっていくのを打ち消すためにエレベーターとトップラダーでノーズを釣っていきます。この動きを理解して、スムーズに流れるように各舵を使います。
    • 切り返しのロールアウトの際は上記の逆になります。トップラダーとエレベーターで釣ったままのノーズは釣ったままロールアウトすると速度抜けになるのでプッシュしていきます。エルロンを逆方向に切りながら、ラダーを踏み込んでいきます。ラダーの踏み込みが足りないと切り返し時にノーズがついていかず、逆方向に流れます。ノーズをスムーズに流して行くには加速度的なラダーの踏み込みとエルロン操作が必要です。
    • 最初からフルストロークは難しいと思います。また、フルストローク使うことが目的ではありません。切り返しのレートを早くしていき、結果的にフルストロークまで使えるようになります。ですが、多くの人はここで先ほどのメンタルバリアが働いてハーフストロークで待ってしまいます。待っている状況があるようでしたらインストラクターはフルストロークまで使うサポートをして見せます。練習生はいかに舵を使い切れていないかを理解できると思います。
    • 上記を実施しながらアイポイントに意識を置いてみてください。初期はまずは正面を見て、滑らさないロールイン、ロールアウトが出来ているかに重点を置いてください。滑っていないことが前を見ていなくても体感で分かるようになってきた(滑っている横Gを感じられる、ピッチ変化を音から理解できる)ら、旋回のやや内側にアイポイントを置いて、旋回外側下方の周辺視野で計器板をみられるようになると、ルックアウトしながらの切り返しができるようになります。滑らないロールインロールアウトが体感で理解しながら出来ていない段階でルックアウトに気を遣いすぎると滑ったままのロールインロールアウト操作になってしまいます。 まず初期段階では滑らせないロールインロールアウトを意識 するようにしましょう(ルックアウトを軽視するという訳ではありません。練習の段階ごとにフォーカスポイントを変えましょうという意味です)
  • リフト内の定常旋回
    • 定常旋回に入ったらトリムをあわせて、右手はスティックを握りしめず、指を添えているだけにして、あおられるエネルギーをエルロンから感じるようにし、あおられるエネルギーが来たときにバンクを戻されないようにエルロンで支え、さらに強いブローが来て絞り込む必要が感じられたときは絞って いきましょう。 左手は常にトリムに置いて、ピッチを変更した際にはすぐにトリムを合わせて右手に力をかけずにグライダーの姿勢が安定できているいるようにトリムをこまめに使いましょう 。焦ってくる、緊張してくると、体は強ばり、縮こまりますので、スティックを引いてしまい、速度が抜けていきます。この状態に入っていることに気がついたら 右手の力を抜いて、トリムに任せてピッチを最初のピッチに戻しましょう。トリムが合っていれば最適なピッチに自動的に戻ります。 ピッチを引きすぎてしまったことに気がついたときに、「ピッチを引きすぎた、戻さなきゃ!」とプッシュすると逆に速度がつきすぎて、旋回半径が大きくなり、リフトからはみ出てしまいます。
    • トリムさせておくことで、無駄な握りしめがなくなり、握りしめがなくなると、右腕の筋肉が弛緩状態になりますので、全身の皮膚感覚での平衡感覚がより敏感 になります。また、 上空での探り舵(貧乏揺すり、エルロンカタカタ)が無くなります 。上空での貧乏揺すりはグライダーの挙動にも現れ、ガグルで一緒にまわっているとエルロンがパタパタして見え、 無駄な乱流を生み出すことで上昇率が悪くなり、ガグルで置いて行かれます。ガグルで置いて行かれると余計に心理ストレスがかかり、疑心暗鬼になり、さらにパフォーマンスが下がります
    • シュンプヒルトの機体のような、トリムがコックピット左側面にボール型のレバーがある場合、左手の手のひら(腹)でトリム先端の緑のボールを動かすと、左手に力をかけずにトリムが動かせます(左手指先で動かそうとすると力が左手にかかってしまいます)。
    • デジタルアベレージャーは自分の上昇率を客観的に理解するための有効なツール です。デジタルアベレージャーでコンスタントな上昇率をキープできているか、先ほどより上昇率が悪くなっている(例1.6m/sが1.3msになった)として、サーマルトップまでまだ高度があるとしたら、それはセンターがシフトしたことに対応できていない(ないしは自分が流された、バンクを緩めてセンターをはずしてしまった)ケースが多いです。再度センタリングを試みましょう。
    • XCSoar の平均上昇率はあまり実際の値にあってない印象があります。動圧連動のフライトコンピューターでないと細かい表示は内蔵GPSからだけでの計算だけだと不十分なのかもしれません)
    • 同様に オーディオバリオはルックアウトの割合を増やすための必須ツール です。
  • リフト旋回時の最適な速度レンジ。
    • グライダーによっても異なりますし、リフトのコンディション(狭い、強い)によっても異なりますし、翼面荷重によっても異なりますし、重心位置によっても異なります 。一般論として言えることは、現代のスタンダードクラスのグライダーでは速度を抜きすぎると、失速はしていませんが、剥離は始まっているので、揚力を発生せず、リフトの中で上昇していかなくなります。「サーマルの中で最小沈下速度でまわる」、はクラッシックな翼厚なグライダーでは良かったかもしれませんが、スタンダードクラスでは最小沈下速度ではすでに剥離が始まっている感じがすることと、マニューバブルでないためサーマルの中でのこまめなセンタリングに対応できなくなります。
    • 「夏のサーマルは緩いバンクで」といった一般論も、コアがきちんとしてればきちんと絞った方が良く、絞るには速度を抜きすぎているとマニューバブルでないので操作が追いついてこないことになります 。クラブクラスとスタンダードクラスのポーラーカーブを比較してみるとサーマリングに使う速度域での違い(沈下率、カーブの曲がり方)に気がつく点があるので並べて観察してみると良いと思います。
    • まわっているとどうも速度がついていく感じがする、引っ張っていないとノーズが下がっていく気がする、ようであれば重心位置を見直してみましょう。機首ごとに最適な位置があります。
  • センタリング
    • バンクを緩めるのか、バンクを入れるのか、答えはどちらの場合もあります。大事なことは強く感じる方向に寄せることです。上述の通り、寄せるときの操作で強さを感じるので、旋回中、ロールインロールアウト時に強さを感じるのがポイントになります。
    • バンクを緩めたときにどれくらい実際に軌跡が移動しているのかは、GPSログから確認してみるとよく分かります。
  • リフトセンターの移動
    • リフトコアのセンターの移動は主にウインドシアによって発生します。ウインドシアは思っている以上に多くの高度で多段階のシアがあります。センタリングは一度完了したら終わり、ではありません。常に継続し続ける必要があります。
    • アベレージが悪くなってきたと認識したら、まずは少しだけバンクを緩めて大きめにまわってみます。おそらく今までと異なる方向に強さを感じる方向があると思うのでそちらに寄せてみましょう、再び良い上昇率で上昇できるはずです
  • リフトサイクルの理解
    • リフト発生には一日を通じたサイクルがあります。常にまとまったリフトが発生しているわけではありません。サイクルを理解して、サイクルに対応した探し方が必要になります
    • 一日を通じたサイクル
    • 午前中のサーマルできはじめのタイム
      • 熱が溜まるまで時間がかかる
    • 午後はじめの、コンディションがまだ良くなっていく(気温が上がっていく途中)で、いきなり弱くなるタイム。
      • 得てしてトップが上がるときに、逆転層が上がることで対流層が少し深くなり、一時的にサーマルを発生させるための地面を温めるエネルギーが足りなくなり、日射は十分にあるのに少しだけ温度が下がる時間帯があります。このタイミングでリフトは発生しづらくなりますので、さっきまで安定して発生したリフトに急に当たらなくなって、まだ時間帯が早いのに降りてしまう、なんて場合があります。
    • 午後中盤、サーマルが安定するタイム。一定のサイクルでサーマルが発生します。
    • 午後遅く、日射が減ってくるが、地上に溜まっている熱が放射されるタイム。サイクルは長くなります。
    • パッチ状の上層雲の影響で日射が出ていたのが弱まり、再度日射が出てくるケース。
    • 一度中層雲に覆われてしまったと思われても中層雲により日射が減ったことで中層雲が雲散し、日射が復活、復活した日射によりまた中層雲が発達して、日射を遮ることを繰り返すケース。
    • いくつか要因はありますが、リフトが弱まったタイミングでは弱まったリフトに合わせた行動指針が必要です。同じ選択基準でリフトを選んでしまうとリフトをつかめず止み間に降りてしまう場合があります。リフトが弱まったタイミングではむやみに動かず0以上をキープできるのであれば待つことも時に必要です
    • そろそろ本流のリフトが出てくる前のボコボコした状況であることを理解してゼロメインテインで待つ。イラストですとよくツクシが生えてきたようなイメージで地面から細いリフトが何本が出てきていますが、全周回れるようなサイズで無い場合、でもなんとか全周で0をキープできるような場合です。リフトの始まりの時間帯、低減率の悪い(上層が冷えていない)高気圧に覆われて風が弱い(トリガーが無い)熱射型のリフトの場合、なかなか地面から空気が離れてこないのですがその始まりのような細いリフトが何本が出ている場合があります。こういった場合はそこでキープして5分~10分待つことで本流のリフトが出てくる場合があります。(日中のまだ空気のアクティブな時間帯にもかかわらず低く下げてしまい、地面から空気が離れてくるのを待っているケースがあります)
    • 地面の乾き具合。上記のサイクルに影響を及ぼします。雨上がりすぐなのか、ここのところ雨が続いて全体的に湿っているのか。空から地面の色をみて、黒茶っぽいのか、乾いた茶色なのかを観察します

  • クライムの最適化(まとめ)
    • リフトをいかに感じて最適な位置にポジションさせるか
    • リフトを感じるためには(トリムの積極活用で添えているだけの状態に、全身の筋肉のリラックスで全身でG変化を感じる、重心位置)
    • アイポジションの使い方(旋回のやや内側を見ている状態で姿勢を理解する)
    • コアの中でのさらなるブローの活用(コアに入ったと思ってもさらに次の強いコア、ブローが来る場合があります。ブローが来たときに絞り込んでさらに良いクライムを使います。リッジサーマルでまわっているときにこの現象はしばしば発生します。)
    • よくある失敗
    • 握りしめ(筋肉の強ばりからリフトのG変化が感じづらくなる)
    • センタリングに熱中しすぎると自然と体が縮こまり、舵を引いてしまい、最適な速度から速度が抜けすぎてしまう
    • 外を見る割合が多過ぎて逆に姿勢が乱れる(まだ外を見る時間を増やせるレベルでないので、まずは前を見て正しい姿勢で飛ばせているかをチェック。前を見ずに正しい姿勢で飛ばせるようになってから外を見る割合を増やしていく)
  • ツールの利用 moving map タイプのフライトコンピューターの活用
    • 旋回中に流されている方向が確認できる(どれくらい流されているか、を実感する、バンクを入れて流されることを修正することの重要性に気がつく)
    • 上がりきってロールアウトする際にまずは流されてきた方向にロールアウトします。綺麗に流されてきたところをトレースすると再びリフトに遭遇できる率は確実にあがります。流されて来た方にまっすぐロールアウトすることの習慣づけに使える
    • 上昇中に流されている方向が変わってきたことに気がつける、ウインドシアの可能性があります
    • デジタルアベレージャー、オーディオバリオの利用
    • SeeYouでの振り返り
    • 旋回は小さく一定で回れているか?(バンク30度以上)
    • 上昇率は一定か?
    • 使っているリフトの下限、上限はおなじか?
      • 下げすぎる前に見つけられているか?
      • 上がり切れているか?
      • トップの変化を意識できているか?
    • リフトから離れる判断が出来ているか?
      • バログラフの上がとがっているか?上昇率が悪くなったのにいつまでもしがみついていないか
  • ガグルへのエントリー、ガグルでのポジショニング
    • 先行機の旋回の円筒をイメージ
    • 円筒に遠くから巻き付いていくイメージ
    • エントリー前は増速、円筒に巻き付くイメージでエントリー時に減速しながら先行機のポジションを180度にとれるように速度を調整
    • よくある失敗
    • 円筒をイメージできないと先行機を点で捉えてしまうため、点(先行機)にフォーカスしてしまい、先行機にぶつかるようなコース取りになってしまいます(意識しすぎるとそこに向かってしまう)
    • 等速でエントリーしていくため、180度のポジションが取れずに接近してしまう
  • 重心位置
    • クライムには最適な重心位置があります
  • 正しいイメージ
    • 全体を通じて言えることですが、正しいイメージは正しい前提知識と正しいデモにより正しいイメージがインプットされます。間違ったイメージを一度インプットするとそのイメージを上書きするのには労力がかかることをインストラクターマニュアルでも説明しています。
  • 様々なリフトで練習する
    • 平地のサーマル
    • リッジ
    • コンバージェンス、前線
    • ウエーブ、ローター
    • 様々なリフトを経験して、最適なクライムを追求することで、様々な上昇気流を理解し、対応できるようになります。皆さんが経験しているリフトはごく一部のタイプのリフトです。


②【ウェーブコンディションで飛ぶ】  Aug.14(Wed) / Camp3日目 


複座でクロスカントリーのトレーニングへ。同乗者はWGC2018クルーの市岡さん
Waveに入りました!


3日目は台風の接近で1,500m付近(850hpa)の南西風が強まるが3,000m(700hpa)では風速が逆に弱まる予報でピンネシリのブレーキングwaveになる予報になりました。午前中は湿度が多すぎてピンネシリのウエーブウインドウが閉じているため、ウインドウが開くまで待ちの時間に地上でwaveの座学を実施しました。13:00過ぎに日口さんから行けるタイミングになったとのアドバイス、たしかにちょっとウインドウが開いたように地上から見えなくもないですが、、、、ローカルパイロットのアドバイスを信じて離陸。離陸するとピンネシリにウインドウが開いている状態がわかります。慣れた曳航パイロットHさんの曳航で雲をよけながら狭いスポットに入れてもらいました。

13:30に離陸した一発目 は上昇風がしっかりしているエリアがなく、メインテインがやっとで1時間ほどのフライトでした。 2発目 は上昇風がしっかりしてきて、バンドは4000-4800ftの狭い範囲ですが1+40ほどのフライトが出来ました。

  • ブレーキングwaveとは?
    • 通常waveは上空へ行くにつれ、風速が強まるほどwaveとしての強さは良くなります。上空で風速が減少している場合、海の波のような状態でwaveの波頭が崩れる状態が発生します。このエリアに達するとそれまでのwaveの上昇は急に悪くなり(上昇が止まり)、層流で静かに上がっていたのが急にローターエリアのようなあれた状況になります。
  • 湿度が多いwaveの注意点
    • ウエーブウインド(上昇帯)があっという間に雲で閉じてしまうことがよくあります
    • 常にエスケープルートを確保しておくこと。1ターンごとにどのルートでエスケープするか、どうなったら(どこまでウインドウが閉じたら)エスケープするかを決めておく。ピンネシリのwaveで言えば、西側を向いて上昇していて、東向き(石狩川側)にターンしたらウインドウが閉じていた、なんて場合も考えられる
    • 最悪ウインドウが閉じてしまった場合の対処を決めておく
    • 雲の前面で上昇しているつもりが実際は雲と一緒に流されていて、風上側に雲が沸いてくる。直前の雲だけ見ていると雲に飲み込まれてしまうので、2手、3手先の雲をみて、上昇帯のラインを意識していると沸いてくる雲に目が行きやすくなる。沸いてきたらすぐに風上側にラインを変更する
waveの雲の前面を試していると、さらにその前面に雲が出来て雲に覆われそうになります。
複座3機でお互いを視認しながら、良いところを選んでの上昇となりました。
次第にウインドウが狭くなってきて、1機が離脱、残り2機で15度バンクで旋回がやっとくらいの状況までさらにウインドウが閉じていき、残りの2機もエリアを離脱して滝川に戻りました。


【同期と飛ぶ】Aug.15(Thu)/ Camp4日目
TEAM MARUのFacebook投稿をみて、十勝から航空部同期の友人が応援に来てくれました。卒業以来飛んでいない、という友人との同期フライトが出来ました!お互いなんともいえない感動がありました。こういうつながりはうれしいものです。
同期フライト 

差し入れにいただいた「お酒に合うガトーショコラ」美味しくいただきました。

③【リッジコンディションで飛ぶ】 Aug.16(Fri) / Camp最終日
北海道に近づいている台風の影響で、湿度高く上空の風が強い予報。午後から雨になるかも、ということで今日は早めのスタート。
雲が厚く、湿度も高い。が、上がる場所はあるはず!

ピンネシリにぶつかる斜面上昇風を使ったリッジソアリング

次のパイロットに情報をつたえます。再度リッジソアリングにチャレンジ。

上空はさらなる台風の接近で150度の南東風が2,000ft-5,000ftで30-40ktになりましたが、地上は10kt以下。美唄山系の陰になって滝川の地上はあまり風が吹いていません。SkySight の予報では美唄山系から南東風でのwaveの予報と、2,000ftから樺戸山系(ピンネシリのエリア)の南東斜面には斜面風と思われる上昇帯を示しており、美唄山系から樺戸山系の間の谷(石狩川上空)にも上昇帯が予報されていました。

曳航パイロットの方からの美唄山系からの南東風ウエーブでのローターが砂川SA付近に発生しているとのレポートから 10:30にスタート 。砂川SA付近を試してみるものの先ほどのローターが無くなってしまい、石狩川を渡ってピンネシリ山系のリッジを試してみることに。skysightの予報通り川の上も沈下が少なくピンネシリ山系に渡れました。2,300-2,500ft付近でなんとかメインテイン出来るリッジ(150度の風にほぼ直交するリッジ)が見つかり高度維持しながら様子を見ることに。地面を見ると貯水池の波は立っていないので、地面付近は風の陰に入りウインドカーム、尾根線の木々はうねっているので、上空だけで働いているリッジのようです。安定してあがるときと、安定して上がらなくなる時のサイクルがあり、弱い時をなんとか乗り切って強いときに高度をなるべく稼いでのメインテインが続きました。

  • 偏流の取り方(必ず斜面から風上側をキープ。風下に流されるとリーサイドの沈下に入る)
  • 旋回は必ず風上側にターン
  • 速度抜きすぎない(マニューバブルな速度を維持)
  • 斜面との距離の取り方(近すぎても上昇率が良くない)、高度が上がるほど上昇帯は斜面より前側に傾いている
  • 木々の揺れ方を観察(波打つ位に揺れていればよい風が吹いている)
  • 尾根の形を観察(尾根の形がベンチュリーになっている場所があればそこは風が吹き抜ける場所で、強い風が吹いています。実際そのような尾根のところは風向にそって木々が倒れていました。リッジリフトも強くなります)
  • 斜面の下の地面を観察(貯水池などあれば波打っていたりしているか)。
  • 下から続いている斜面風は斜面が長いと加速される距離が増えるので斜面風がしっかりしていることが多いです。また、斜面の地面から日射のエネルギーが供給され続けます(今回は使うケース無し)

メインテインが難しくなり、滑走路に戻そうとしたところで尾根から降りた平野で強い1.5m/sで3500ftまで稼げました(このリフトの発生理由は不明、日射は全くない状態)
これで上空のコンバージェンスに乗り移れたようで、ピンネシリ山系を南下して、南斜面に出ればさらにリッジで上げられそうなもくろみで南下してみましたが、空気が動いている感じがしないので諦めて戻りました。
再度先ほどのラッキーな平野のリフトを拾えたところで1m/sであげなおし。やっとリフトが安定してきたのでここで前席に交代してもう一つ別のリッジを試してもらい、ここで先ほどのデモンストレーションを前席にもトライしてもらえました。

2時間ほど飛んだところで 前席を交代 。普段から山飛びをしているパイロットなので、最初にレベルを確認してみましたが、地形観察が不十分なことが分かったので、テイクオーバーして最初に風の観察、斜面の観察のデモ(上記一人目で実施したポイント)を行った後に交代して前席に試してもらいました。
4,000ftまでとれたので、コンバージェンスも試してもらい、どの順番でトライするのか(近い順、しっかりしている順、高度を有効に生かしてなるべく全部試せる順)を試してもらいました。
そのうち、対流が強くなって雨域が広がってしまい、リッジの上にも雨域の沈下がかぶってしまってリッジがワークしなくなってしまいました。(リッジの吹き上げる風と、雨域の沈下の沈下の風の上下方向シアが発生)。1+10ほどで2発目のフライトは終了となりました。もうちょっと時間をまとめてトレーニングしたかったところです。。

Youth camp 2019 in Takikawa 無事に終了。台風の影響で難しい気象条件が続きましたが、事故なく毎日飛ぶことができました。うち3日間はサーマル、ウェーブ、リッジと違うタイプのコンディションとなり空の可能性を感じられたキャンプとなりました。

Youthの皆さん、また一緒に飛びましょう!「楽しんで」ね。



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