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知の旅は終わらない (2020/2/8 8:18:33)
『知の旅は終わらない~僕が3万冊を読み100冊を書いて考えてきたこと~』 立花隆
文春新書 2020年1月刊
自伝。
自伝なんておもしろくはないだろ。立花隆ファンぐらいしか買わんだろ。
と思っていたが、おもしろかったし、売れてるらしい。
やっぱりこの人はすごい。私が最も好きなジャーナリスト。
自伝だけあって、自著のことがよく出てくるが、自著のいい宣伝になってると思う。
実際、まだ読んでない著書で読みたくなったのもあったし。
ちょっと抜書き。
〇・・・いかなる思想にものめりこまず、ハマらず、必要以上に尊敬したりせず、軽い気持で接触することが大切だということがわかります。思想においては、花から花へ飛びまわる蝶のように、浮気したほうがいいんです。あがめたてまつってはいけません。・・・宗教とか思想というものは、ある時代の誰かが頭の中でこしらえて、頭の中からひねり出した一連の命題です。どんな大思想(といわれているもの)にも、笑ってしまう他ない珍妙な部分があります。そういう部分でちゃんと笑えることが、精神的に健康であることの証しなんです。しかし、若いうちから何かにのめりこんでしまうと、そういう健康さを失ってしまいます。/精神的健康さを養うために、若いうちは、できるだけ沢山の思想的浮気をするべきなんです。異性体験に関して、「できるだけ沢山の浮気をしなさい」なんていったら物議をかもしかねませんが、思想に関しては、そうすべきであるとはっきりいいます。浮気が足りない人は、簡単に狂うんです。簡単に溺れて、自分が溺れているということにすら気がつかないことになるんです。人間の頭は狂いやすいようにできてるんです。
#ぜひ、若い人に伝えたい。
〇・・・写真をふんだんに盛り込んで、フルカラーで作ったのが『エーゲ 永遠回帰の海』なのです。これは僕が描いた百冊以上の本の中でも、内容的に三本の指に入る本だと思うし、数十年たっても古びることがなく読まれつづけると思っていたのですが、なぜか思ったほどは売れませんでした。
#三本の指、と言われると読みたくなるなぁ
〇<地平線のドーリア>武満が自分の作品の中で一番気に入っていた。/<モーツアルトの四〇番>この曲はいつも素晴らしいと思っていて、・・・
#この2曲、聴かなくちゃ。。
〇死後の世界が存在するかどうかというのは、僕にとっては解決済みの議論です。死後の世界が存在するかどうかは、個々人の情念の世界の問題であって、論理的に考えて正しい答えを出そうとするような世界の問題ではありません。/・・・/死後の世界はまさに語り得ぬものです。それは語りたい対象であるのは確かですが、沈黙しなければなりません。
#代弁すると、仏事や法事なんてお付き合いですよ。
評価:9点