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feed <飛丸日記 3月27日、4月3日> 「やるか、止めるか」 (2021/5/9 0:47:25)
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ハンググライダーでは 着陸の瞬間、意図的にグライダーの機首を上げ、
失速させ、ふわりと地面に着陸する。
普段は45㎞/h前後で飛んでいるが、着陸の際には
風に正対させ、最後は失速させて、対地速度を30㎞/h以下に落とす。
所謂「フレアー」である。
このタイミングや、動作そのものがうまく行かないと、どういう事になるか。
ハングをご覧になった事が無い方にも、想像に難くない。

「高度1000mまで上昇するって、よく怖くないよなあ。」
ハングの説明をすると、よく言われるお言葉。
実は全く逆である。
怪我をするのは地面と衝突する時。
高度があれば、それだけ危険に対して回避操作や回復操作が出来る。
イザという時の為に、パラシュートも持っている。
高度が高い程、安全であり、気持ちも落ち着くものである。

「フレアー」は、ハングの中でも特殊な技術である。
1時間飛ぼうが、3時間飛ぼうが、「フレアー」は一回だけ。
飛ぶ時間が長ければ長い程、空中での技術は磨かれる。
でも、「フレアー」は一回に一度だけしか練習できない。
そして、最も危険な瞬間である。

駐在で、あまりにブランクが空いてしまったハング。
2018年4月、ブルネイから琵琶湖湖畔まで大学時代に教わった方を尋ねた。
そして帰国後、2020年7月12日、ハング再開の準備に、再び琵琶湖へ。
何れもこの「フレアー」を思い出す為である。
「天使のランディング」
教わった時には、「成程、これだ!」と思ったのだが、大きな問題に直面した。
「忘却力には自信がある。」
教わった事を、今や殆ど覚えていないのだ。
人間は進化もすれば、退化もする

3月27日(土)1時間57分のフライト、筑波から栃木県大田原市まで62㎞。
徐々にフライトの勘と地形に拠るポイントを思い出していくが
締め括りは酷いものであった。
35年前、今まで一度しか経験した記憶がない大失敗をしでかした。
「フレアー」に失敗して、機首が地面に激突、とその瞬間、
グライダーと地面の間にヘルメットが入り、グライダーは損傷しなかった。
いや、もっと大事な身体が、そのクッションとなったのである。
なんと無様な光景か。
4月 3日(土)1時間47分のフライト、筑波から大田原市まで65㎞。
1週間で3㎞の前進、しかしランディングは、なんと2週連続3回目の大失敗。
飛ぶコースを自分で考え、着地点も空中から自分で探す「クロスカントリー」
最初から最後まで自己完結。
それだけに、誰もいないところに降りて、怪我でもしたら・・・。
あってはならない事だ。

ハンググライダーは自動車、パラグライダーはオートバイ。
衝突前に、先ず構造物がクッションとなってくれる分だけハングは安全。
危険性の比較をこう例えて言う事が多い私だが、とは言えそれは時と場合による。
滑空速度つまりは地面に衝突する時の速度はハングの方が速い。
そして、構造物は時に凶器となる。
フライト時間約1700時間、飛行回数も丁度約1700回。
ブランクは、飛行時間をこなせば勘所は思い出すが、ランディングは違う。

自分はもう39年もやっているから大丈夫。
昨今コロナで起きている何の根拠もない自己過信の落とし穴と同じだ。
猛反省。
ハンググライダーに中途半端は許されない。
片手間でやれるスポーツではない。
「やるか、止めるか」
いや、私の場合、ここ数回のブログで書いた「選択」をするものではない。
気合を入れて、取り組み直す。
それ以外の道はない。


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