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feed <飛丸日記 4月10日> 「意地悪な神様」 (2021/5/10 0:11:21)
210410 足尾 神川

100㎞フライトは、30数年前、ハング界で皆が目標にしていた。
私が師匠と呼んでいた憧れの方が、富士宮から秩父まで飛ぶ。
当時は富士宮がハングのメッカだった。
100㎞には僅かに足りず、また秩父に降りる難しさが認識された。
筑波山近郊から北上するルートが開発され、舞台は筑波へ移る。
60㎞から80㎞前後が飛べる様になり、毎年日本記録が更新されていく。
誰が最初に100㎞を超えるのか。
そしてその偉業がなされ、更に翌年には同学年の友人が132㎞を飛んだ。
次の目標は100マイル(160㎞)。
その翌年1988年4月17日(日)、私が172㎞を飛んだ。

暫く私の記録は破られなかった。
理由は簡単、コース上に福島空港が出来、同じルートが取れなくなったのだ。
破られたのは、17年後、破ったのは、嬉しいかな、大学の後輩である。
距離は一気に214㎞。
不思議な事に、同じ日、2005年4月17日(日)。
いや、これは偶然ではない。
4月中旬は、天候の条件が飛び抜けて良くなる期間なのだ。
コースは岡山県大佐山から琵琶湖湖畔へ。舞台は中国山地へと移る。
2015年4月「夢のクロカン・ツアー」と銘打って、
わざわざブルネイから岡山に飛びに行った理由もそこにある。

さて、今回。
昨年4月の帰国後、1年後の4月中旬に向け、準備を進めてきた。
結論は、残念ながら間に合わなかった。
ランディングはからっきしダメ。
先週、先々週と、技術の衰退を思い知らされた。
ブランクがあまりに長い。

いや、ハングで得たノウハウが、ビジネスで役立つ様に、
ビジネスで得たノウハウは、ハングでも役立つ筈だ。
駐在前と今では、大学生と社会人位の違いを感じる。
5,6年でのこの成長は、きっとハングでも役立つ筈だ。

4月3日の大失敗で 気合がトップ・ギアが入る。
昔の記録、ノウハウの記述を読み返し、また装備も見直す。
昔使っていた「TOP NAVIGATOR]という計器は、本当に素晴らしかった。
高度計、昇降計、GPSが備え付き、なんと上昇気流の軌跡が表示される。
感覚に劣る私には 最高の武器だった。
記録のある場所に行けば、また上昇気流が掴める。
コロナ禍の大掃除で見つけたが、残念ながら電源すら入らない

そうした中、新たに購入した「Navitor」なる計器。
少しづつ「フライトの技」を思い出し、やっと「Navirot」を空中で使う。
期待以上の計器だった。
体力の低下、技量の低下は否めないが、ポイントは総合力である。
グライダーの進歩、計器の進歩、飛び方の知恵等が衰えを補ってくれる。

好条件にも恵まれ、久しぶりの大フライト。
東風に乗り、関東平野を横断する。
秩父の手前の山並みまで辿り着く。
秩父には降りられない。関東平野の最も深い部分を目指す。
目測で、ギリギリ100㎞か。

フライト終了後、改めてきちんと測ってみると、なんと99.6㎞だった。
んんん、相変わらず、神様は意地悪な方である。

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