RSSHEADLINES SKYSPORTS

今は、板敷から東京へ戻るTXの中。
隣には、関西出身なのに、滅多に関西弁で話すのを聞いたことがない先輩とギターを持った寡黙な少年がいる。
少し疲れているけど、九州の余韻と今日の飛びで満足した少年は、無口で、静かにしている。

彼の表情は面白い。
目まぐるしく変化するわけでも、全く変わらないわけでもない。
他のみんながリッジで飛んでいた時に早めに降りていた彼。
同期が1500m上がった時の彼。
挑戦的なコンディションで飛び出して、あえなく降りてしまった時の彼。
彼の表情はいつも穏やかだが、すこーしだけ感情が現れる。
自信、野心、戸惑い、羨望、満足、反省。
今彼は今日の振り返りをしている。
彼は今日、板敷で1000m上がったのだ。
九州で1000m上がれなかった彼はより低い山で1000m上がった。
人一倍高度を上げることに熱心な彼は、今日、誰よりも高く飛んだ。
シングル機とダブル機の違いをものともせず、彼一人が高く上げた。
それでも満足しない彼の目標は3000m。
我々はその時まで見守ろうではないか。

日暮れどきの電車の中は、彼の表情のように穏やかだった。

S