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<飛丸日記 5月6日> 「人生初の退却」
飛丸日記
(2024/12/25 18:57:24)
<飛丸日記 5月6日> 「人生初の退却」 (2022/5/30 23:49:47)
写真中央、遥か遠方に小さく見える山、山形県と秋田県の県境の山並みである。
クロスカントリーは基本、風下に飛ぶ。
追い風に乗った方が、距離を伸ばすのに有利だからだ。
この日、昨日の南西風に比べ、南東風が吹いていた。
よし、今日は山形空港の西ルートを飛んでみよう。
昨年下見した朝日岳山麓、先ずは朝日岳を目指し、そこから北上する。
目標ランディング地点は昨年下見した、十分一山から90㎞のポイントだ。
流石にここまで思い描いた通りに飛べる事は滅多にない。
飛ぶ前から90㎞先の下りる目標の田んぼがイメージ出来ていた。
昨年の下見のお陰である。
その田んぼを眼下にして、ランディング体制に入る。
そこで強い上昇気流にあたる。
34年前、173㎞飛んで日本記録を出した。
相変わらず不遜な私、実はこれ、173㎞飛べたのではなく、173㎞しか飛べなかったのである。
今やホームエリアとなっている足尾山での日本目のフライト。
当時お世話になっていたWind Sports、その宿舎に茨城、福島の立体地図があった、
当日朝、何度も飛ぶコースをイメージする。何度も何度も。
このラインを越えたら100マイルだな。空中でその瞬間を意識出来た。
4年連続で更新されていた日本記録、昨年は同学年の友人が136㎞を飛んだ。
誰が最初に100マイルを越えるのか、皆で競い合う。
そんな中、私が初めて100マイルを飛んだのだが、その喜びも束の間、その直後に大混乱に陥った。
空の上で、迷子になったのだ。自分が何処にいるのか、全くわからない。
止む無く谷間を飛び、そのままランディングした。
「To be Greedy」(貪欲足れ)
目標は何処までも高くなければならない。
さもなくば達成してしまった時に、目標を失って混乱する。
34年前に犯した失敗、その記憶を思い出しながら、どうすべきか考えに考えていた。
ガツンと来た上昇気流を捉え、遂には秋田県境の山並みを眼下に見る。
問題は秋田県の地図が全く頭に入っていない事だ。
計器の地図を拡大するが、十分なランディング場が確保できるかまではわからない。
視程が悪く、谷間の平地は見えるが、そこに電線が走っていたら危険である。
んんん。
30年以上前、私にはクロカンの師匠がいた。
世界記録を持つラリーチュードである。
インタビューの記事を読み、「クロカンの極意」を会得する。
それは「前に進むという強い意志を持ち、そして下りない事である。」
「目標に向かって常に前進する。後戻りはしない。致命的な失敗をしなければ、何をやっても良い。」
考えてみると、私のスタイルの基本である。
クロカンにおいて、誓って一度もこのスタイルを変えた事はなかったのだが。
昨日目標にした103km のフライトを空中で達成した事を確認した後、この時はなんと退却を決めた。
計ってみると、距離にして丁度10㎞。
人生初の退却である。
さて、この時の判断が正しかったのかどうか。
今のところ、人生57年、ここまでやって来てわかった事がある。
「その時の判断が正しかったかどうか、それを決めるのは将来の自分である。」
翌日、先ずは秋田県地図を購入した。
それにしても、「神様は時々振り向いてくれる。」また「神様は意地悪である。」
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<飛丸日記 5月6日> 「人生初の退却」 (2022/5/30 23:49:47)
写真中央、遥か遠方に小さく見える山、山形県と秋田県の県境の山並みである。
クロスカントリーは基本、風下に飛ぶ。
追い風に乗った方が、距離を伸ばすのに有利だからだ。
この日、昨日の南西風に比べ、南東風が吹いていた。
よし、今日は山形空港の西ルートを飛んでみよう。
昨年下見した朝日岳山麓、先ずは朝日岳を目指し、そこから北上する。
目標ランディング地点は昨年下見した、十分一山から90㎞のポイントだ。
流石にここまで思い描いた通りに飛べる事は滅多にない。
飛ぶ前から90㎞先の下りる目標の田んぼがイメージ出来ていた。
昨年の下見のお陰である。
その田んぼを眼下にして、ランディング体制に入る。
そこで強い上昇気流にあたる。
34年前、173㎞飛んで日本記録を出した。
相変わらず不遜な私、実はこれ、173㎞飛べたのではなく、173㎞しか飛べなかったのである。
今やホームエリアとなっている足尾山での日本目のフライト。
当時お世話になっていたWind Sports、その宿舎に茨城、福島の立体地図があった、
当日朝、何度も飛ぶコースをイメージする。何度も何度も。
このラインを越えたら100マイルだな。空中でその瞬間を意識出来た。
4年連続で更新されていた日本記録、昨年は同学年の友人が136㎞を飛んだ。
誰が最初に100マイルを越えるのか、皆で競い合う。
そんな中、私が初めて100マイルを飛んだのだが、その喜びも束の間、その直後に大混乱に陥った。
空の上で、迷子になったのだ。自分が何処にいるのか、全くわからない。
止む無く谷間を飛び、そのままランディングした。
「To be Greedy」(貪欲足れ)
目標は何処までも高くなければならない。
さもなくば達成してしまった時に、目標を失って混乱する。
34年前に犯した失敗、その記憶を思い出しながら、どうすべきか考えに考えていた。
ガツンと来た上昇気流を捉え、遂には秋田県境の山並みを眼下に見る。
問題は秋田県の地図が全く頭に入っていない事だ。
計器の地図を拡大するが、十分なランディング場が確保できるかまではわからない。
視程が悪く、谷間の平地は見えるが、そこに電線が走っていたら危険である。
んんん。
30年以上前、私にはクロカンの師匠がいた。
世界記録を持つラリーチュードである。
インタビューの記事を読み、「クロカンの極意」を会得する。
それは「前に進むという強い意志を持ち、そして下りない事である。」
「目標に向かって常に前進する。後戻りはしない。致命的な失敗をしなければ、何をやっても良い。」
考えてみると、私のスタイルの基本である。
クロカンにおいて、誓って一度もこのスタイルを変えた事はなかったのだが。
昨日目標にした103km のフライトを空中で達成した事を確認した後、この時はなんと退却を決めた。
計ってみると、距離にして丁度10㎞。
人生初の退却である。
さて、この時の判断が正しかったのかどうか。
今のところ、人生57年、ここまでやって来てわかった事がある。
「その時の判断が正しかったかどうか、それを決めるのは将来の自分である。」
翌日、先ずは秋田県地図を購入した。
それにしても、「神様は時々振り向いてくれる。」また「神様は意地悪である。」
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