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link falsadaフライトブログ falsadaフライトブログ (2024/11/1 21:06:26)

feed わびと錆 (2022/7/13 0:09:42)
今は古びた倉庫の中。赤茶けたペンキの缶、どこに使われていたのかわからない錆びたチェーン、壊れた草刈機。無造作に見えるようで区画分けされた配置のそこは、レトロなんか言う陳腐でぶった言葉には含み得ない、確固とした何かを感じさせるところだった。

月曜日、長旅から帰った我々は大雨の中飛び道具を運んでくれた車を洗った。残った四人で数百キロ走り続けた体をいたわってやった訳だが、次乗る人が心地よく乗れるだろうかと思いを馳せる。ゆったりと流れる時間に旅の終わりを感じてはいたのだが、東風に流されてまた旅に出た。ゆっくりしたい気分ではあったが、風の誘惑に抗えるはずはなかった。

高みから盆地を眺め満足した後、いつの間にか周りを暖かい色の光が包んで時を告げると、帰り際に寄るところがあると言われた。

その向かった先がその倉庫だった。
用事というのは、恰幅の良いイントラさんが道具の受け取りに行きたいとのことだった。鈍重なドリルだった。ドリルを貸してくれた小さな親父よりも、借りた側の恰幅の良い彼の方がどこか似合っていたような気がした。倉庫の主に口うるさく説明を受けている間こそっと抜け出して、ふらふらと倉庫を眺めていた。すると身長の高いおじいちゃん先生がひょひょいと僕を手招きした。

ここで冒頭に戻る。
おじいちゃん先生は倉庫の中から裏に渡るまで色々な好きだと思うところを教えてくれた。その場所をおじいちゃん先生は心底好きそうだった。新品なものなんてひとつもなかったかもしれない。それでも培ってきた知恵でなんでもできそうだった。鈍重なドリルもその一部だった。その場所の魅力はおじいちゃん先生にも表現できないし、ましてや写真なんかには捉えられないものだった。

その温もりのある情景に包まれると、いつもの日常の匂いがした。

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