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feed Condorの飛行機曳航はなぜ難しい? (2023/1/30 11:20:00)
 昨日の日本滑空協会での講習会でCondorでは飛行機曳航が難しいのだがと質問がありました。確かにCondorの飛行機曳航は難しいので改めてその理由について考えてみました。
 
1.離発着時の横風が強すぎる
 Condorではタスクを作る際にタスク全域の地形を考えてうまくリッジ風が出るように20〜25km/hの風(5.6~6.9m/s)で作られることがしばしばなのですが、離発着場の向きはほとんど考慮されていないのでこれが思いっきり真横からくると現実ではとても発行許可が下りないような横風での離発着となってしまうことがあります。
こうした時はやはり横風曳航時の基本である風上側の翼を少し下げる、速度が出てきた時に急に風上側に機首を振られないよういつでも反対側のペダルを踏み込めるように心構えをしておくことが必要になると思います。
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2.ジョイスティックの感度
 実機だと曳航を始めた時は舵の効きが悪くパタパタとエルロン方向に動かして機体を制御する必要が有ります。これがフォースフィードバックのジョイスティックを使うとうまく再現されるのですが、通常のスプリング式のジョイスティックだとスティックにかかる力は常に変わらなくて曳航開始時にもスティックが重いままなので、スティック操作が小さいままでつい風にあおられてしまうこともあると思います。グライダー操縦の基本はいきなり大きな舵の操作をせず機体の動きを見ながら操縦していくことですが、曳航開始時には意識してスプリングに逆らった大きな動きをするとよいと思います。
 
3.曳航索の長さによる影響
 Condorの飛行機曳航の曳航索の長さのデフォルトは50m。一方、実機の場合日本では普通は60mです。私がタスクを作る時には意識して60mに設定していますが、海外の方のつくったタスクでは曳航索が50mのままの時があると思います。曳航索が短いと後ろのグライダーは振られやすい傾向にあるので追従が難しくなってくるようです。Condorでも後流に巻き込まれると面倒ですのでしっかりと追従の位置をキープしましょう。
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4.曳航機のバンク角度
 Condorの曳航機は結構な角度で旋回していきます。旋回開始時にはグライダー側も遅れずにしっかりとバンクいれないと振り回されるので注意が必要です。このようにCondorの曳航中の旋回は結構神経使うのですが、たまに360度以上も回って曳航機がサーマル旋回しているんじゃないかと思うような時があって、そうした時は旋回時間が長くて妙に疲れます。
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5.曳航機のパワー
 Condorには曳航機として5種類の機体があるのですが、パワーの弱い機体も幾つかあります。Condorではフルバラストで飛ぶ時が多いのですが、DuoDiscusやArcusでフルバラストにしている時など離陸総重量の大きな機体でこれらの弱い曳航機に当たってしまうと、なかなか速度が上がらず地上走行が長くなってしまうことがあります。速度の遅い時間が長いと舵の効きが悪い時間が長くなりますし、さらに横風が強いと制御が難しくなります。
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6.曳航機の飛行経路、離脱後の動き
 Condorの曳航機は不思議(不穏 ???? )な動きをします。山や木などの障害物をすり抜けて通ることが出来るのです。そのため、R/Wの終端すれすれまで森が近づいていても、森の木々をすり抜けて上昇することがあるのですが、グライダーがそれに追随していくとグライダーだけは木に衝突して墜落してしまいます。そのあたりはタスクセッターが注意しているのですが、結構ギリギリになっている場合もあります。その場合にはスムーズな地上滑走で早めに離陸できるようにすること、どうしてもぶつかりそうな時はちょっとスティックを引きぎみに木にぶつからない程度の高目の高度を我慢して維持してみましょう。
 また、R/W付近に斜面がある時も要注意です。なぜか曳航機は斜面を気にすることなくグライダーを曳航したまま幽霊のように斜面(山)の中に消えていく場合があったりします。その場合は、離陸時に木を避けるようにギリギリに斜面を避けるように動くか、仕方がないのでそこで離脱して上昇風を探すか一旦R/Wに着陸して曳航をやり直します。曳航をやり直すと曳航機の機種が変わることもありますし、経路も変わることがあるのでうまくいけば別の場所に連れていってくれるでしょう。
 幸いにもCondorの曳航機は後ろのグライダーに引きずられることがないので索が切れない限り進行方向を変えることはありません。いわゆる釣り上げや万歳をすることがないのでグライダー側でどんな動きをしてもタグパイロットを危険にさらすことはないので、曳航機が山の中に隠れてしまった場合はちょっと無理をして追従してみましょう。(だからといってCondor内でどんな追従の仕方をしても良い訳ではありません。正しい追従を目指しましょう。)
 曳航の最後に困ることは、離脱後の曳航機の動きが読めないこと。実機ではローカルルールとして曳航機は離脱後は右旋回、グライダーは左旋回というように決まっていることが多いと思いますが、Condorでは曳航機はまっすぐR/Wに向かうように離脱後の旋回の向きを判断しているようです。Condor Forumでも時々旋回方向を固定して欲しいとか自分で決められるようにして欲しいといった要望があげられますが、残念ながらいまのところ変わる動きはありません。Condorの曳航機は離脱指示直前にパワーを落として速度を落としますので、グライダー側も離脱後少し直進して速度を巡航速度まで落としながら曳航機の動きを見て旋回方向を決めましょう。
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7.トリム設定
CondorではR/Wに入った時にトリムも含めて全ての操縦装置は中立の位置になっています。その後、何かコントローラーを動かすと初めてコントローラーが認識されて操縦できるようになるのですが、その際いきなり各操縦装置がコントローラーの位置に動いてしまうという困った動きをします。少し分かりにくいのですが、フラップやトリムをスライダーに割り当てている時は要注意です。コントローラーを何もいじっていない時にはグライダー内のフラップやトリムは初期設定値になっているのに、最初に操作した時にそのコントローラーの全ての機能がアクティブになって各スライダーの位置に合わせた設定に動いてしまうのです。つまり、前回フライト時にトリムを前寄りに設定していたとしても、新しくR/Wに入った時にはトリムは中立の0%になっていて、何かボタンを押した瞬間にトリムがスライダー位置に合わせた値に変わってしまう、つまりスプリング式のジョイスティックを使っている場合にはスティック位置がガクッと急に動いてしまうのです。曳航が開始してからトリム調整を行う時は要注意です。やはり実機と同じくフライト前に各舵を動かして飛行前点検をすることが必須です。特にオンラインサーバに入った時は曳航の順番待ちでない限りいきなり曳航が始まってしまうので急いで飛行前点検をしましょう。Condorでもパイロットから発航準備よしの合図を出来るようになったら良いなと思ったりします。
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8.滑空機ごとの特性
 初めてCondorで単座機を飛ばそうという時にはクラブクラスのStdCirrusを使うことが多いと思います。しかし、StdCirrusはちょっと癖があって、水平尾翼がフライングテールになっているので注意が必要です。一般の機体では水平尾翼にエレベーターがついていて操縦するのですが、どうやらフライングテールの場合は中立位置近くの操作特性があまり良くなくて、中立位置での微妙な操作が難しいようです。そのため、離陸時に思いも寄らずふわっと浮き上がってしまうことがあったりして私はどうも好きになれません。その他、私にはまだCondorで使った経験がないのですが、ASW15も同じくフライングテールなので、もしかしたら同じような性質を持っているかもしれません。StdCirrusやASW15で飛んでいて飛行機曳航が難しいと思われるようでしたら他の機種に乗り換えて練習を進めてみるとよいでしょう。
 
 Condorには翼長や重量などいろいろな機体があってそれぞれの操縦特性があります。それを面倒と思うか楽しいと思うかは人それぞれですが、Condorはいろいろな機種を取っ換え引っ換え飛ぶことが出来るのが楽しみの一つではあります。大ざっぱに説明すると、フラップの無いクラブ機は旋回・サーマリング技術の習得に最適、Stdクラスはバラスト搭載してのサーマリング・距離練習、18mクラスはスムースな動きでしかも滑空性能がよくXCの醍醐味が楽しめる、15mは操作は難しいが機敏な動きができるので荒れた気象条件でもきびきびとフライトすることが出来て個人の技量が多いに試される楽しいけど難しい機体と言えます。これらの特性は離着陸時にも反映されるので飛行機曳航についてもやはり徐々に難しくなっていくと言えます。
 
 
 以上、Condorで飛行機曳航が難しくなってしまっている理由をいろいろと考えてみました。ただ、いずれも良く考えればグライダーフライトの基本を押さえていれば対処できるとも言えます。曳航開始時には次に起こることを予想してすぐに対処できるように準備する。風に煽られてやばいと思ったらすぐにレリーズ引いて離脱して安全に降りましょう。オンラインサーバに入っている場合はR/W内に安全に止まればEscキーを使って再スタート(曳航待ち最後列に並び直し)可能です。さぁ、あとは皆さんの練習次第です。上記の説明を意識しながらしっかりと曳航機への追従練習を行って下さい。
 
Naoki_NT3

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