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北朝鮮ミサイルを冷静に分析! その2 (2023/12/26 15:07:36)
前回では、主に北朝鮮が今まで打ち上げてきたミサイルについて、その詳細を考えてみました。
今回では、北朝鮮が打ち上げ始めた、「固体燃料ミサイル」について、考えてみたいと思います!
まず、今まで北朝鮮が打ち上げてきたミサイルは、その燃料に十中八九ヒドラジンが使われていると考えられます。
化学式で表すとN₂H₄…。
このヒドラジンは、酸化物と接するだけで燃焼が始まるため、ロケットの燃料として使うと、シンプルで信頼性の高
いロケットを作ることが出来ます。
しかし…。
ヒドラジンを構成しているH…。水素は、高い熱量を出しますが、N…。窒素は、燃焼はするものの、そんなに効率よ
くは燃えません。
それに対し、日本のH2ロケットは、H水素とO酸素を燃料としています。
この二つの元素による燃焼は、重量あたりで考えると、最も大きな熱量を得ることが出来ます。
つまり、出力の高いロケットエンジンを作ることが出来るんですね!
ただし…。
水素も酸素も、常温では気体のため、これを液体の状態でタンクに閉じ込めようとすると、大きな圧力が発生するた
め、丈夫で重い燃料タンクが必要になってくるんですね!
この圧力を少しでも小さくし、ロケットを軽くするため、H2ロケットでは、打ち上げ直前に、冷え冷えの状態の燃
料を注入します。
温度が上がる前に宇宙に行けばいい!という考え方ですね!
サターンⅤ型ロケットの場合は、燃料はケロシン(灯油)と酸素ですが、この場合、冷えた状態で入れなければいけ
ないのは酸素だけ…。
ケロシンは常温では液体なので、冷やす必要がなく、その燃料タンクも軽量に出来るメリットがあります。
その代わり、水素を燃料としたときよりも、熱量が少なくなるため、ロケットエンジンの出力も少なくなるわけです
ね!
さて、ここからが本題!
いま、北朝鮮が取り組んでいるのは、「固体燃料のミサイル」です。
この固体燃料のエンジンって、率直に言いますと、液体燃料のエンジンよりも効率が悪くなります。
これ、何故かと言いますと、固体燃料エンジンの場合、燃料を固体にするために、他の燃焼効率の悪い元素を混ぜな
いといけないからなんですね!
純粋に燃えるものだけの燃料にすることが出来ないんです…。
そのため、端的にいうと固体燃料エンジンは、液体燃料エンジンに比べて、バラストを持って飛んでいるようなもの
なんです!
だから、効率が悪いんですね!
…。で、北朝鮮は、最終的には、この固体燃料ミサイルに、「核」を積みたいのだと思うのですが…。
実は「核」って、小さく軽量に作るのが難しいんです!
例えば、広島に落とされた原爆「リトルボーイ」は、その重さが4.4トンでした。
この重い爆弾には、約80キログラムのウランが積まれていたそうですが…。
このウランのうち、実際に核分裂が上手くいき、エネルギーを放出したのは、わずか1.3パーセントだったそうで
す。
つまり、北朝鮮が本当に固体燃料ミサイルに「核」を積むのであれば、とんでもなく大きなミサイルが必要というこ
とですね!
日本のH2ロケットでも、低軌道に投入できる衛星の重さは約6トン…。
それを考えると、北朝鮮は、固体燃料ミサイルに移行したいのであれば、かなり大きなミサイルを作る必要がありま
す。
ただし…。
北朝鮮が、原子力潜水艦を持ったとすれば、話は変わってくると思います。
原子力潜水艦があれば、標的に近寄って、射程の短い核ミサイルを打ち出すことは可能ですからね!
この先、北朝鮮がどのように動くのか…。
いたずらに北朝鮮を怖がるだけではなく、ちょっと冷静になって、そのミサイルを分析してみても良いかと考え
今回の記事を書かせていただきました!