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link Team Maru-WGC Team Maru-WGC (2024/12/25 18:57:23)

feed Alfold Cup 2024 優勝しました (2024/7/13 19:08:13)
初めての表彰台体験。2位はハンガリーのKornelさん、3位はスロベニアのJernejさん。


ハンガリー Syatymaz 飛行場 で開催された Alfold Cup 2024 の Mix-Open クラスで優勝 しました!小さな大会ですが、海外の大会での優勝は初めてで、グライダー競技会での優勝自体も1997年の日本選手権以来です。

Alfold Cup はハンガリーの南、セルビアとの国境の近くにある Syatymaz 飛行場のクラブ Aeroklub Alfold が主催する招待制のグライダー競技会です。メーデーの休みにあたる週に開催するため日本の5月連休時期の開催となり、私にとって参加しやすい時期に開催されています。2クラス(mix Open、mix 15m)で20~40機のグライダーが参加するフレンドリーなコンペです。2009年から LX Navigation Cup の名称で40機前後の参加で開催されてきましたが、2021年からは Alfold Cup と名称を変更して開催しています。私はハンガリーの友人から招待いただき、2017年に初参加、その後も2018年、2019年、2022年、2023年とコロナ禍を除いて毎回参加させていただいてます。毎年顔をあわせていることで、ヨーロッパでありながら、ホームクラブのように飛ばせてもらえていて、飛行場のスタッフの皆さんにも毎年あたたかく迎えてもらっています。主な参加者はこのクラブのメンバーの方ですが、毎年参加しているスロベニア、チェコからの方や、今年初参加となるフランスからの参加者もいました。過去には、イタリア、セルビア、オーストリアといったハンガリー近隣の国からの参加者もいらっしゃいます。参加者、スタッフとは毎年のように顔を合わせることで会話もはずむようになり、操縦の仕方や機材のことを教えてもらったり、様々な質問や相談をしたり、新機体の動向を聞いたりと、アットホームな雰囲気の中でシーズンはじめのレースの飛び方を組み立てることができる貴重な場所です。

 自称:セルビア・マフィアが所有する飛行場の別荘でコーヒータイム
(Uvaleの世界選手権は最新のJS5で出場予定とのこと)


日本の国旗も掲揚してもらっています。

Szatymaz飛行場は2022年の世界選手権の開催された Szeged飛行場 の10km隣に2000年代に開設されたプライベートの飛行場です。800mの平行滑走路を2本(17-35、19-01)備えています。滑走路の西側には森に沿ってコテージが並んでおり、コテージの前にグライダーを係留できます。オーナー機用にハンガーも建設されました。ゴルフ場にコテージが併設されているイメージで、Eat Sleep Fly Repeat を実践できます。

各コテージの前にグライダーを係留。いつでもすぐに飛び立てる環境です。


この大会では毎日朝食、夕食が提供されます。朝はブリーフィングルームで朝食をとり、係留をほどいてラインナップ、日中フライト後、夕刻に着陸すると日陰の涼しいエリアでグライダーを係留して、夕食をとります。フレンドシップコンペなので、食事を皆さんで一緒に取るのがこの競技会の約束事になっています。

チェコのLudekさん。
今回はチェコビールの樽を2樽持ち込んでいただき、2日間のチェコ・ナイトが行われました。

フィニッシュした後のビールは最高です

飛行場にワインセラーもあり、飛べない日はワインティスティングも行われます。(飛行場オーナーがワイン畑を持っているとか。。)

飛行場での夕食

フライトについて

今大会は7日間中最初の4日間に競技フライトを行うことが出来ました。

Task1 の飛びやすい積雲ストリート


day task
no
type task
km
maru
pos
maru
km/h
maru
%
Winner
km/h
wx comment
4月28日 1 AAT 350km 5 107.15 84 117 2 cu スタート前が悪くて水を抜いてしまった。スタート後は積雲で置いて行かれた
4月29日 2 AAT 310km 1 102 100 102 1cu,
blue
悪くなると思って一人でスタート
4月30日 3 AAT 360km 2 122 97 124 1cu 悪くなると思って一人でスタート
5月1日 4 RT 233km 1 90 100 90 blue 悪くなるので早めスタート、max altでないが一人出たところでスタート

結果の良くなった要因

  • 気象条件が飛びやすかった
    • 1Cu、パフ、ブルーといった、飛びやすい(判断に迷うことが少ない、判断を切り替える要素が多くない)コンディションが続いたこと。(積雲が多いと、積雲の選択に迷いが生じます。また、雲量が増えるとオーバーデベロップになり、覆われて対流が弱くなるので、それまでのフライトのとらわれない判断の切替(ギアチェンジ)が必要になることが多いです)
    • 不安定なコンディションが無かった(シャワーによるオフトラック。オーバーキャストに伴う判断のギアチェンジなど)
Task2 後半のブルー

  • タスク設定が飛びやすかった
    • タスクに使えるサーマルタイムから想定されるスタートタイムと、曳航開始~曳航終了~ゲートオープン後の時間の差が大きくなく、ゲートオープン後に、スタート待機の時間が長くなかったことで、スタートタイミングを迷うことが少なかった(だいたい皆さん同じ判断になるので同じタイミングのスタートになることから、一人でスタートする判断をしても、道中同じになることが多い)
    • 平均速度から分かるとおり、そこまで良いコンディションにならなかったので、ドナウ川を越える広い範囲のタスク設定が無かった(ドナウを越えると地質が変わるので、飛び方を変える(ギアチェンジする)必要がある)
  • 参加者のレベルが拮抗していた
    • 世界ランキング100位以内(潜在的チャンピオンクラス)、200位以内(世界選手権シングルランク)の選手が出場していなかった。(2位の選手は世界ランク400位、3位の選手は世界ランク250位クラス)。私の世界ランク(955位)と比較した場合は、十分高いですが、2022年の経験から、世界選手権シングルクラスとは一緒に飛べなくても、その次のクラスとは一緒に飛べると思った。
  • スタートがうまくいった
    • コンディションが弱くなるのに備えてと、一人で飛ぶケースを想定してアーリースタートを心がけた(結果的に合流できたことが多かった)
    • 機体数が少なかったのもあり、「どの機体とスタートする」ことに固執せず、想定スタート時間と、そのときの高度と、コンディションの変化で、見切りで一人でスタートしたケースが3回あった(結果的に合流できたことが多かった)。昨年のAlfoldi Cupでは、どの機体とスタートする、と同時にスタートすることに固執しすぎていたところがあって、遅れたときに、取り戻すまで慌ててしまっていた。
  • クライムが安定した
    • 2023年ヨーロッパ選手権の後半からセッティングに満足できるようになった、インボードフル、テール1L+5Lの重心位置でのクライムが安定した
    • グライドで遅れても、クライムで取り戻せるときが出来た
  • グライド開始の判断の改善、グライド中のスネーキングの改善
    • クライムで遅れた場合も、一緒にグライドすることに頭が行きすぎていて、高度差があるまま慌ててサーマルアウトせず、トップまで上がりきって遅れてサーマルアウトする判断をして、遅れてグライドしていても、おなじようにグライド出来た
  • 高度を下げなかった(キープハイできた)
    • 1800m~2000m程度の対流高度で、900m以下に下げたのがほとんど無かった(対流高度の上半分で飛べていた)
2022年のハンガリーでの世界選手権では、途中からクライムがうまくいくようになり、分かりやすいコンディションでは各タスクはそれなりに飛べる自信がついたのですが、2週間全体の結果としてまとめるには、大きな失敗の日があったことで、全体の結果につなげる難しさを感じていました。

2023年のAlfoldi Cup では、気象条件がトリッキーな日が多く、クライムが再び思わしくなくなりました。スタートは、良いスタートが取れたときもあるのですが、一緒にスタートするガグルの判断に迷ってレイトスタートになってしまうときが有り、昨年できたはずの自信を持ったスタートが出来なくなっていて、一進一退でした。とはいえ、一人だけ降りてしまうみたいなのは無くなり、下げた状態からのリカバリーも出来ていましたので、ギアチェンジの判断は出来ていたのですが、結果が良い日が無かったことで、全体の振り返りを冷静に出来ていなかった(嫌なことは忘れたい)ため、結果としては失敗したけどプロセスは良い判断ができた日の記憶の強化が出来ていなかったと思います。(結果に目が行ってしまい、プロセスにフォーカスできていなかった)。

2023年のヨーロッパ選手権も、ヨーロッパらしいトリッキーな日が続き、前半はクライムの悩みが続きました。とはいえ、ミゼラブルな失敗はしてない(そこそこは出来ている)、ザ・ヨーロッパ天気に昨年から切り替えられてないだけ、との前向きなフィードバックをリーダーから受け、クライムの改善点がセカンドウイークで見つかり、クライムの改善により全体の調子が2日続けて上がったのですが、最終日に楽観的に追いかけすぎてブレーキをかけるのが遅れるといった、やりがちなミゼラブルな失敗をやらかしてしまい、意気消沈でシーズンを終えました。あまりにも意気消沈してしまい、2023シーズンは振り返りが出来ていませんでした。

マルチタスクを処理する能力は、年齢により下がってきているのを感じています。ですが、フォーカスできていることに対しては、以前より逆にパフォーマンスが出せるようになってきたと感じています。フォーカスする能力は、以前よりあがっていると感じていますので、フォーカスしなくてよいタスクを削り、パフォーマンスを出せるように体調管理を第一にすることと思っています。以前は、自分の得意分野はマルチタスク処理能力と思っていたのが、逆になってきているのを感じています。

フォーカスを高めるため、出国1週間前までにグライダー関係の理事業務はなるべく片付け、渡航前から渡航中は理事業務はお休みさせていただいて、期間中にフォーカスしなくて良いことを減らしています。(会社は有給でお休みいただいています。)

体調管理のため、陸送日の前日朝着(深夜便)で入れる便を手配し、移動中は極力睡眠をとり、渡航後はホテルにアーリーチェックインして昼寝、陸送前に移動の疲れを少しでも取ることで陸送時に疲れを出さないようにします。陸送も17:00(日本時間の24:00)までに到着できるようにスケジュールし、陸送中は時間で区切って休憩を取るようにします。現地でも、夕食後は頭を使う作業はせずに睡眠にスムーズに入れるようにし、渡航後最初の3日間は特に早く寝るようにして、大会中も21:30就寝、6:10起床で8時間半の睡眠時間を確保できるようにします。耳栓、遮光カーテンで睡眠に集中させます。

結果、振り返りの時間はさらに削ることになりましたが、飛行場から宿への帰り道で音声入力で振り返りをいれるようにして、手短に、自分の言葉で振り返れるようにしました。

2023年までの良かったところはチェックリスト化して再現できるようにして、フライトのプランニングはあまり深く考えすぎずにシンプルに考えるようにしました。結果にフォーカスせず、プロセスにフォーカスして、毎日自分としてのやりきった感が持てるフライトを心がけていました。フォーカス力が高まって、フライト中の没入感はあがったと感じています。フローの状態に入れている気がしています。この「フローの状態」に入れると無心で飛べるので、毎フライトこの状態に入りたいと思っています。



今回、優勝という形で成果を出すことが出来ました。参加している顔なじみの選手の皆さんからも多くの祝福を頂きました。TEAM MARUを支えてくれているチームメンバー、サポーターの皆様、応援してくれている皆様に優勝報告ができたこと、とてもうれしく思っています。この結果が少しでも恩返しとなれば、と思っています。ここまでの応援に感謝しております。本当にありがとうございました。



本年はあと2回、選手権に出場して練習を予定してします( ポーランド選手権 ヨーロッパ選手権 )。どちらもヨーロッパらしいトリッキーな日があると思いますので、判断の切替をポイントに、自分が納得できるようなフライトをしたいと思います。引き続きの応援、どうぞよろしくお願い致します!


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