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Condor3で何が変わった? (2024/11/5 23:18:32)
Condorの新しいバージョンが発売になって一週間になりましたが早速皆さん試しているでしょうか。発売当初には大勢の人が一斉に購入/ダウンロードをしてしまったために随分と混乱が生じていましたが、ダウンロードサーバーの改善も進んで今では比較的スムーズにダウンロードできるようになっているようです。
さて、そういう私も購入を済ませて使い勝手を試しているところですが、マニュアルを読んだり少し使ってみてCondor2と比べて新しくなったところをまとめてみました。思いつくままに書いたので項目が順不同になっていますが、購入を考えている方の参考になれば幸いです。
【マニュアルより】マニュアルのダウンロードは こちらのページ から。
・Condor3のインストールにはPCのストレージに約60GBの空き容量が必要。インストール後は約35GB。
・グラフィックボードの要件としてメモリー2GB、ベンチマークスコアで6000以上となっているのでCondor2からは若干上っているものの、モニター画面を使用する場合は引続き比較的古いPCでも問題なく使えている模様。
・Condor3にはバージョンが二つ:
- スタンダード:標準仕様といいながらインパネ内のフライトコンピューターをLX9070に切り替えることができる。ただしインパネに搭載されている機種のみで、パネルの横にPDAとしてフライトコンピューターがついている機体はCondorオリジナルのPDAのみ。
- XC:Hawk vario、Flarm、バグワイパーが搭載。(Storeでは最初からXCオプションのついた購入をすることも、一旦スタンダードバンを購入して後付けでXCオプションを購入することも可能。V2から無料アップグレードによりV3スタンダード版を入手した人はXCオプションを購入するとXC版として使えるようになる)
・フライト中に翼に虫等の汚れがついて飛行時間とともに滑空性能が落ちてくるようになった。性能低下のスピードはタスク画面で設定可能。XC版を購入した人はバグワイパーを使って適宜バグを落とすことができるが、実機と同じく飛行速度によっては使用制限あり。マニュアルでは50~125km/hを推奨、150km/hで動かしてしまうと故障してバグワイパーが翼の途中で止まってしまいそれ以降は操作ができなくなる。なお、バグワイパーを使うにはXC版を購入して、Hangar-Settings画面でBug wiperにチェックマークを入れておかないと機体に装着されない。
・音声無線システムの導入:Condor2ではテキストチャットのみであったが、Condor3では音声での無線通話が可能。通常の無線機のようにPush to talk ボタンを使って発話する。無線チャンネルは50チャンネルあって標準以外のチャンネルを使うことも可能。(Discord等では発話した時だけマイクが自動的に入るが、Condor内の音声チャットではボタン操作が必要になる模様)
・複座フライトの導入:オンラインサーバーに接続することで複座機に2名のパイロットが搭乗可能となった。まず後席が接続した後、前席がその機体に接続して同乗フライトをすることができる。後席は機長権限を持ち、キー操作によって前席と後席のどちらが操縦するかを選択することができる。複座機の同乗者との無線は常にONになっている模様(複座機に同乗している時には常に話が聞こえるのでPush to talkボタンはいらないということらしい。)
・タスク設定
- 空域制限の設定:リアルの空域を取り込むことが可能。さらにタスク画面でエリアごとに制限のOn/Offを切り替えることができるようになっているので、Condor2の様に制限なしにすることや一部の制限だけを有効にすることもできる。また、制限空域に入った場合のペナルティ設定によって違反即タスク終了とすることもできる。
-
スタート/ゴール時のペナルティ設定:スタート時の高度制限に際して、制限高度以上で通過した際にペナルティは課されるもののそのままスタートできる設定が可能。また、速度制限もタスク画面で設定することができて、高度制限と同じくペナルティを課す/スタート不可の設定切換ができる。いずれもリスタートして正しい高度/速度でスタートラインを通過するとペナルティはキャンセルされる。(Condorのデフォルトフライトコンピューターではスタートライン通過時に高度/速度が表示されるのでスタート時のペナルティをすぐに確認することができる)
- Area assigned
task(AAT)対応:新たにCondor3内でAATタスクを作成することが可能となった。半径5km以上のエリアが設定可能。制限時間もタスク画面で設定できる。
- 気象:ベースとなる気象設定に加えて、移動可能な気象ゾーンを最大8個まで作成可能。サーマル設定において新たにActivityにVariation項目(サーマルの密度のばらつきができるということ)、Bugの頻度項目が追加。逆転層を高くすることで積雲をover developmentさせることができ、その程度によって降雨・雷の発生をさせることが可能。
【使ってみた感想】
発売当初にはインストーラーの容量は30MBくらいだったのですが、現在は500MBくらいの大きさの物に変更されています。再インストールする際には最新版のインストーラーをダウンロードして下さい。また、Condor3のインストールにはインストーラーを立ち上げた後に、機体やシーナリーのデータ、約15GBのダウンロードが必要なので回線の細い人はインストールに数時間かかります。そのうちUSB媒体での発売がCumulus SoaringかCondorWorld社からあるかもという書き込みがForumであったのですが、今のところ続報はでてきていません。
PCの必要要件についてForumではAMDのCPUを使ったPCではIntelに比べてパフォーマンスが低いとの書き込みが幾つかでています。どうもCondor3はIntelチップに最適化されているようです。また、V3になっても32ビットアプリのままというのも辛いところで、CPUの一つのコアしか使えなくて今どきのマルチコア/マルチスレッドの恩恵を得られないようです。そのため古いPCと最新のPCとで意外とパフォーマンスの差が大きくなくて、古いPCでも十分に使えるということらしいです。シーナリーで多くの3Dオブジェクトを扱えるようになったり、複雑な気象を扱えるようになった割にはシングルコアで十分対処できているというのは、開発陣は相当がんばっているということかもしれません。64ビットになるとさらにすごいことになると思うのですが32ビットからの移行もかなり大変なことなんだろうと思うので善良なユーザーとしてはこれも我慢我慢というところでしょうか。
ということで、実際に使ってみるとモニター画面ではCondor2に比べてそれほど描画速度の低下はなくCondor2とそれほど遜色なく使えました。一方、VRにするとかなり描画速度が低下してしまったのが残念なところ。マニュアルにはVR各社の推奨する必要条件を満たせば良いとあるのですが、RTX2070で30〜40FPSくらいしかでてこなかったので、Oculus側の設定やCondor側の画質調整を色々試しているところです。
さて、実際にフライトをした感じはどうかというと、Condor2に比べてかなり気流に揺さぶられる感じです。本家Forumをみると実際のフライトに近くなったとの書き込みがリアルのグライダーパイロットから結構ありました。私は今ではいわゆるペーパーパイロットなのでそのあたりはよく判らないですが、オーディオバリオのピーピー音がCondor2のスタティックな感じからYoutubeでみるフライト動画の音に似てきたかなと思っています。
新しく導入された動く気象ゾーン、降雨についてはまだあまり体験していないのでどんな具合なのかよく判らないのですが、あるオンラインサーバーに入った時に遠くから降雨が迫ってきて雷がぴかぴか光っているのをみました。降雨ゾーンとの境界にはいると途端にものすごい乱流になって恐怖を感じました。フライトの途中で気象条件が変わるというのはCondor2には無かった新しい体験でこれからはタスクのバリエーションが大きく変わるのだろうなと思います。
ところで、初心者の人は購入した直後のFree Flightのフライトを試してはいけません。強風でかなり大気の荒れている気象設定なのでまともに飛べないのではないかと思います。私は購入した直後、はやる気持ちを抑えきれずにすぐにStart flightを押してしまったのですが、いきなり強風に煽られて操縦に四苦八苦してしまいコントローラーの調子がおかしいと勘違いしてしまいました。確認用に使ったタスクが残ったまま発売版としてしまったのだろうと思います。そこでデフォルトで入っているタスクはどんなものだろうかと調べてみたのですが、”Novo Mesto 100km triangle”が一番穏やかなタスクなので、タスクの作り方が判らない場合はLoadボタンからこちらのタスクを読み込んで飛んでみて下さい。お試しで飛ぶには良いのではないかと思います。ただ、これでもWindやThermalsのTurbulanceがModerateになっているので両方ともLightかNoneに変更し、飛行機曳航を空中スタートに変更してから飛び始めると良いと思います。
Condor3では安いほうのスタンダード版でも最新鋭のLX9070というフライトコンピューターが使えるようになりました。Condor専用版とはいえ本物のLX9070が使えるのは大きな魅力なのですが、いかんせんパソコンのモニターでは画面がちょっと小さくて情報が読みづらいのが残念です。VRを使っていてもかなり見難いという感じです。インフォボックスの数を減らしてフォントを大きくするなどCondor用に表示プロファイルを作る必要があるでしょう。まぁそれよりもまずはCondorデフォルトのフライトコンピューターを使ってタスク攻略ができるよう使い込んで行きましょう。デフォルトFlight computerの問題点としたら、Condor3では細かな空域制限を設定することができるのですがフライト中のマップや近接アラーム時に制限高度が表示されないというところ。これについては本家Forumでも指摘があって開発陣が次期アップデート時には改善したいと回答していました。
なお、Condor2ではPDA(Personal digital assistant)と呼んでいたものが、Condor3ではFlight computerに変わっています。古い機体ではスマホやタブレットをパネルやキャノピーに取り付けていたのですが、最近の機体ではパネルの真ん中に大きく埋め込まれているのでFlight computerという呼称に改めたのだと思います。書き込みをする時にはPDAの方が短く表記できて良かったのですが、毎回flight computerと書くのは長ったらしいなと感じてます。
このFlight computerの扱いについてはJVSCのタスクサーバーで一緒に飛んでいる常連の方からジョイスティックのボタンが足りないとの悲鳴が聞こえてきています。デフォルトのFlight computer用に通常のスピードタスクで最低4個、AATタスクなら最低8個、LX9070を使いこなすなら最低12個のボタンが必要です。先に作った デフォルトのキーアサイン表 を眺めながらボタンの設定を考えてみて下さい。テンキーボードやロータリーエンコーダのついたマクロキーボードを新調するというのもボタン不足解消に役立つと思います。特にVRを使う場合には通常のキーボードは使いづらいのでボタン不足は切実な問題です。
さてさて、思いつくままに書いてみましたが参考になりますでしょうか。私のほうではCondorデフォルトのFlight computerの使い方について日本語での解説書を準備中です。JapanシリーズのシーナリーのV3への移植についてはまだ十分な情報やツールが公開されていないので少し時間がかかりそうです。それでも既にAA2の移植版であるAA3は既に公開されていますし、デフォルトシーナリーのSlovenia3はエリアがかなり広がっているので色々なタスクを楽しめそうです。JVSCタスクサーバーもできる限り12月からはCondor3のサーバーを立てられるよう準備して行きたいと思うので、皆さんCondor3での慣熟フライトを進めておいて下さい。
Naoki_NT3